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税理士試験4科目合格者の場合(就職 or 受験専念)

東京都と千葉県の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。
T.M 様からのご質問です。

 

■年齢 32歳
■性別 男
■資格 税理士科目合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法)
■職歴 肉体労働系の派遣やアルバイト(正社員としての職歴なし)
■学歴 MARCH卒業
■会計事務所経験なし
■居住地 東京

 

仕事は肉体労働系(大手電機メーカーの倉庫など)の派遣アルバイトなどの経験しかありません。28歳の時から税理士試験の勉強を始め、現在相続税法を勉強中です。

 

Q.
4年間、ほぼ受験に専念してきましたが、このまま受験に専念すべきか、あるいはすぐにでも就職すべきか迷っています。しかし、社会人経験の不足した、会計事務所未経験者を採用するような事務所があるのでしょうか。

 

A.
中には採用する税理士事務所もあると思います。できれば就職活動を早めにすることをお勧めします。受験専念をさらに一年続けるのには反対です。
税理士試験4科目までお疲れ様でした。28歳まで職歴がない理由が不明ですが、大学院、病気、株式投資家やミュージシャンを目指していた?等色々ありうると思います。
税理士法人TOTALは、30代になるまで正社員の職歴がなかった男性を何人か採用していますが、まずは、「社会人」になるのにかなり苦労しています。
社会人は、コミュニケーションスキルと事務処理能力のバランスが必要ですが、それらは、きちんとした正社員教育を受けるか、若いうちに周りをみながら、かつ指導を受けて身につけることが多いと思います。
私の場合は、いわゆるお局様に、あいさつ・電話の受け方、時候文の書き方にはじまる礼儀・常識を教えていただきました。上司やお客様にかわいがられる中で身につけたものもあります。
30代半ばになると、今さらそれを教えてくれる人は少なくなりますし、注意もしてもらえない危険性もあります。正社員経験がないなら、自分でマナー本の数冊くらいは読む必要があるでしょう。
また、どうしてもある部分が発達し過ぎて、逆にある部分が欠落するというバランスの悪い人間になりがちです。
若さは人間形成にとって貴重です。なまじ知識があるベテランより、素直さがある若者の方が組織にはなじみやすいのです。
組織としての一体感や和を求める日本の大企業が、大卒の新卒至上主義で、中途はスポット中心かつよほどの人でないと採用されないこと、メーカーでないと博士はもちろん修士でも採用されないのは若さの可能性・可塑性という理由があるのです。

 

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税理士試験は難関試験です。このため官報合格してから働こうと言う気持ちは分かります。
しかし、30半ば近くまで社会人経験を積まないことは将来の自分の山の高さを制限してしまいかねないのです。個人的には税理士試験の専念は、(TM様の場合、いまさら言っても仕方ありませんが)最大で連続3年にとどめるべきだと思います。
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仕事と受験の両立は大変です。ただ、4科目合格なら最終合格へのモチベーションは高いでしょう。途中で挫折する危険性はもうほとんどありません。
一方、税理士という「専門家」になりたければ普通は5年程度の勤務経験は必要です。税理士法人TOTALでは最短なら2年で税理士業務の基礎技術はマスターできるように工夫していますが、せいぜい一通りは出来る程度です。一流の税理士になるには最低5年、通常なら10年以上かかるのです(税理士登録のために2年の実務経験を要求しているのはかなり合理的です)。
そうすると働きながら、その間に苦労して税理士試験の受験をするのは決して遠回りではないのです。
受験に専念し官報合格者(大学院免除者を含む)になると、給料は高くなります。また、独立等でやめられる確率も上がります。このため、業界未経験者の税理士有資格者は、中小会計事務所の場合、税理士3~4科目持ちよりもさらに就職活動で苦戦することも珍しくありません。
官報合格者の業界未経験者を採用するのは一定以上の会計事務所が多いので、求められる水準が上がり、社会人経験のなさはいっそうのハンディになりかねません。
最近の不景気により、会計事務所の採用はかなり狭き門です。それでも、丹念に探せば人柄を認めてくれてTM様を採用してくれる会計事務所はあるような気がします。
大変ですが、まずは就職活動、そしてその後は実務と受験勉強もがんばってみませんか。

税理士 高橋寿克

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