税理士が、会計事務所・税理士事務所の就職のお悩み・質問に本気で答える!

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弁護士と税理士業界

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

 

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ゆう様からのお問合せです。

■年齢 36歳
■性別 男
■資格 簿記検定1級
   予備試験の受験を検討中
■職歴 メーカー事務10年
   総務5年、経理3年、ほか2年
■学歴 早慶
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京都23区内

高橋先生、こんにちは。
いつもためになるブログを楽しく拝見させて頂いております。
突飛な内容で恐縮ですが、税理士資格取得について、ご質問をさせて頂きたく。

 

現在、税理士の合格要件として、
司法試験合格者は税理士試験合格者となることができる免除規定があります。

形式的には、司法試験合格=税理試験合格者なので、2年間の実務経験があれば税理士資格は取得可能では?と思っております。
ちなみに私は過去、会社員として2年間の経理経験があるので形式的には可能かとは思います。

 

もちろん、実質的には、実務をこなすために税務知識・スキル等は当然必要であるため、会計事務所での実務経験も必要かとは思います。
そのため、会計事務所に就職するために、司法試験合格後、科目合格(多くて2科目程度)をしてから就職し、実務を身に付けた後に資格取得者を名乗る方法ができなくもないと思うですがいかがでしょうか?

ちなみに、似た例として弁護士が税理士を兼業する可能性を勝手には推察してます。
・税務訴訟業務を多く手掛けるため、信頼性のため税理士資格も名乗る。
・法律事務所として開業した後、事務所の成長・総合サービス化に伴い、税理士も名乗る。実務は税理士、事務員を雇用して運用する。

 

Q.

司法試験合格者から転向して税理士(弁護士等にはならず)になるのは、現実的なのでしょうか?
また、その実例を先生がお聞きになったことはありますでしょうか?

司法試験合格者から弁護士にはならず、税理士に転向した例は聞きたことがないため、ご質問させて頂きました。

突飛な内容かつ官報合格者の方にはご不快な面もあるかとは思いますが、現実的な可能性が少しでもあるのか知りたいため、ご回答、何卒よろしくお願い致します。

 

 

過去のブログを拝見しますと税理士試験における税法文言の丸暗記も実務をする上で必須とあるので税理士のなり方として、適切ではないかもしれませんが…。ただ、一方で批判はあるものの制度上、司法試験合格者にも税理士試験合格扱いとしているの以上、最低限度の根拠(同じ法律家)もあるのでは?とも思っております。

 

A.

少なくとも私は、司法試験合格者が、弁護士等にはならずに税理士になった実例を知りません。
おそらく、親の税理士事務所を急に継がなくてはいけなくなった等の差し迫った件がなければ、一例もないと思います。

 

税理士法3条1項三号で、「税理士となる資格を有する者」に
 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)

とあり、「弁護士となる資格を有する者」は、司法試験に合格しただけではだめで司法研修所において「司法修習」を受け、修習終了時に行われる試験に合格し、「修習を終えた者」でなければなりません(弁護士法第4条)。

税理士登録の際に、最高裁判所が発行する司法修習生の修習を終えた旨の証明書(コピー)の提出を求められます。

 

法曹になるために司法試験を受けて、
多額の金と時間を費やして司法試験に合格し、
さらに300万円近い貸与の借金を背負って1年の司法修習を終えて、
弁護士登録せずに税理士になる人はいないと思います。

 

こんな質問がなされること自体が弁護士業界の危機を表しているのかもしれません。
以前(400名強合格時代)は、弁護士といえば社会的なエリートで地位だけでなく所得も事実上保証されていました。
今は、社会的な地位は依然として高いですが、合格者は就職難が深刻で、ノキ弁(軒先弁護士)、タク弁(自宅弁護士)も一般化しています。それ以上に深刻なのは、一括登録日から1か月以内に登録しないいわゆる未登録者が毎年500名を超えている(4分の1以上)ということです。新人には仕事がないのが問題です。
個人的には1500人なんて生ぬるいことを言わずに1000人くらいまで合格者を絞らないと問題は解決しないと思います。
(実際には多くの弁護士は依然として頑張っておられますし、所得が高い若手弁護士の方も多くおられるのは言うまでもありません)

 

税理士は、30年前も今も変わらず飽和とコンピューター化で将来性がないと言われています。それゆえ、無理な合格者増はないし、受験生が減少して税理士業界の労働市場の需給はタイトになっています。 
多くの会計事務所は、優秀な若手が減って悩んでいるのが現状で、2科目合格者の取り合いが起きています。

 

ちなみに弁護士登録している税理士は545名で0.73%に過ぎません。
弁護士の数と比しても1%台です。

参考)資格別税理士登録者数
(平成27年3月31日現在 出典「税理士界」)

資 格 別

人 数

国家試験合格者 34,321 45.67
試験免除者 25,178 33.51
税務署等出身特別試験合格者 6,328 8.42
公認会計士 8,727 11.61
弁護士 545 0.73
税務代理士 37 0.05
資格認定者 10  0.01

合   計

75,146 100.00

 弁護士が、税理士資格を持てるのは、弁護士が少数のエリートだった時代の名残りで、「弁護士はすべての法律の専門家」という建前からだと思います。
社会保険労務士、行政書士、弁理士にも同様の規定があります。
条文を読めるという点では弁護士は優れていますが、業務上重複する点はほとんどありません。
このため、実際には、税理士業務をやっている弁護士はほとんどいません。

 

税理士登録する弁護士は、
(1)営業の看板
「弁護士(真ん中に大きく)・税理士・行政書士(左右に小さく)」
 という看板を見かけることがあります。
税務訴訟は勝率が極端に低く積極的に手掛ける弁護士はほぼいません。
税理士会の顧問弁護士は税理士登録なさっていますね。

 

(2)親の税理士事務所を継承
親が税理士事務所を経営していて、子供が弁護士になった場合

 

(3)総合事務所化を目指す
一定規模以上の事務所で、清算業務や資産管理等を行う場合、内製もあり得ます。その場合、登録するのは所長弁護士がほとんどですが、税理士業務は結構大変なので、実際に業務を行うのは、採用した税理士や無資格者になります。

最近では(3)も徐々に増えてきています。それでも、弁護士が主導する形はほとんどうまくいっていません。

 

弁護士は、一撃が大きく獲物を求めて移動する狩猟型のサービスです。
税理士は、地域に根差し、地道な人づくり・信頼関係が必要な農耕型のサービスです。
文化が根本的に異なります。

 

最終的には、士業の総合事務所化は進むでしょう。

 

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税理士法人TOTALも、司法書士、公認会計士、社会保険労務士、行政書士とTOTAL NEXTグループを構成しています。 
後は足りないのは、弁護士と弁理士です。
特に弁護士は需要が多く、「良い先生紹介して」とよく言われます。

 

「弁護士法人TOTAL」を作ってもらいたいと思っているのですが…。
たくさんの弁護士を知っていますし、お声掛けもしますが、
包括的に提携してくれて、お客様にサービス業としてきちんと接してくれて、高いレベルのサービスを属人的でなく標準化してリーズナブルに安定して総合的に提供してくれる弁護士事務所・弁護士法人をまださがせていません。

(本気で検討してくれる弁護士の先生、ご連絡お待ちしています)

 

私が開業当初、
「士業を産業化して、日本一の総合士業事務所を作りたい」
といったら、税理士はもちろん、行政書士や社労士の誰にも相手にされませんでした。

 

今は、この壮大な夢に、優秀な、税理士、行政書士、社労士、司法書士、公認会計士の方が集まってくれています。
私たちの実力がまだまだで弁護士から選ばれていないだけなのかもしれません。

 

コンピューターが普及して、専門知識のコモディティ化が進むと、
お客様との人間関係を大切にし、総合化・組織化した上で、標準化して生産性を上げないと士業は生き残れないのは、情報化社会では必然だと私は思っています。
いつか、みんなもそのことに気が付いてくれるでしょう。

 

お客様との信頼関係や顧客基盤の広さでは、士業の中で「税理士」が一番です。
そのときまでに圧倒的なシェア、高い技術レベル、信用度を上げて、多くの志高い弁護士から選ばれるように頑張りたいと思います。

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税理士 高橋寿克

この記事に関するコメント

  • 高橋先生

    お忙しい中、突拍子のない質問にも詳細に回答頂き、ありがとうございます。実務の世界では弁護士兼税理士は非常に少ないので、ある程度は想像はついたのですが。
    どうしても、実際の本業の先生の声、そして税理士の先生が弁護士の先生との将来的なかかわり方のお考えを知りたかったので質問させて頂いた次第です。
    ご回答ありがとうございました。

    2015年7月25日 11:30 PM | 匿名希望

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