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税理士に求められる3つの資質

税理士 高橋寿克です。
(本稿は、当初の回答に違和感があったので、大幅に加筆修正しました)
繁忙期もやっと終わり、税理士法人TOTALも少し落ち着き始めています。
これからは税理士試験の勉強を頑張る季節ですね。

 

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DAI様からのお問合せです。
内容
■年齢 26才
■性別 男
■資格 税理士試験 財務諸表論(平成24年)
■職歴 
現在の税理士法人のみ
■学歴 日東駒専 平成24年卒
■会計事務所経験 10名弱の税理士法人 平成24年秋入所
■居住地 首都圏

 

事務所の方針で「3年は営業に出さない」ということで入力業務中心で未だに所内での業務のみで今後やっていけるのか不安です。
毎日残業もあり、今年の確定申告後から体調も崩してしまってミスも増えて先輩にすごく迷惑をかけて今の職場から転職することを考えています(というよりも最近ではミスがあまりにも多くて、この仕事が自分に向いているのか不安になっています。)
事務所の方針についていけない所もあります(所長が帰るまで業務を続けなければならない等)
いわゆる体育会系の事務所で、先輩2人も試験を本気で受験するようには見えないのも今後どうするかを考える上で気になりますが、自分が抜けて事務所に迷惑かけるのもどうかと思っています。

 

Q.
回答を頂けたら幸いです。よろしくお願いします。

 

A.税理士になるために求められる資質は、
1.コミュニケーション能力
2.作業の早さ、正確さ
3.勉強熱心さ・専門知識
です。

 

1.コミュニケーション能力
「3年営業に出さない」というのは、(郊外の歴史のある事務所等の)新卒を多く採用するような会計事務所ならよく見られます。
会計事務所の外回りは、無資格者でも所長の事実上の代理として動くことになるので、お客様の年齢を考えると、担当者があまり若すぎると釣り合いが取れません。
また、科目なし等比較的勉強の進んでいない者(DAI様も入社時点では科目なしですよね)を採用する場合、最初は手作業からというのは珍しいことではありません。
ただ、税理士になろうという方にとっては、入力業務等の所内作業のみだとコミュニケーション能力は磨きにくいのも事実です。
また、お客様を直接担当しないと、お客様に直接感謝されたり、自分が社会の役に立っていることを実感する場面がないので、やりがいを持って楽しく仕事ができません。こうなると成長もどうしても遅くなります。
26歳という年齢を考えるとそろそろ外回りをしたいですね。
焦る気持ちもわかります。

 

2.作業の早さ、正確さ
会計事務所は、繁忙期は毎日のように残業もあり、繁忙期が長く疲れがたまるため、確定申告前後くらいには体調は崩しやすくなります。
体育会系の事務所は、平均して残業が多く、また、気合と根性を強調するため不合理なルールが温存されやすいという欠点もあります。これにより体調が悪くなれば、ミスも増えます。
(所長が帰らないと仕事をやめられないってすごいですね)
ミスの多さは、頭が疲れていたことによる一時的なものでしょうか。
それとも、そうではなくて、暇な時期で体調が良くてもミスが多いなら、作業量・経験がまだ足りていないか、業務の標準化や手順等の教育が不足している可能性もあります。
ただ、ご自身が向いていないかもと心配するほどですから、残念ながら適性に恵まれていない可能性もあります。
もっとも、まだ26歳で若いですから、人並みに近いくらいまでは何とかなると思います。

 

3.勉強熱心さ・専門知識
税理士は、専門職です。やはり専門知識の蓄積、勉強は必要です。このため、多くの中堅の会計事務所は、2~3科目合格者を募集します。
先輩が勉強していないこと、ご自身が昨年、おそらく簿記論を合格できていないことを考えると、勉強したり専門知識を身に着けるのには適していない会計事務所なのかもしれません。
実務優先で勉強がおろそかになる方が多いのかもしれませんね。
税理士試験は、暗記と速記が重要なので若い方が有利です。

 

個人的には、
(1)早く他で働きたい(早く外回りをしたい気持ちが強い)場合
今月いっぱいで辞めて、7月は試験に専念して、8月の試験後に転職活動するのが良いかなあと思います。
若いうちに勉強をすすめましょう。
退職時期については、2月~3月前半、5月半ばに辞めるのは、同僚・事務所にとって迷惑だと思います。
ただ、6月以降やめる分には、それほど忙しくないし、税理士試験後の採用で補充すればいいだけです。
DAI様がそこまで気をつかわなくてもいいのでは。
なお、転職活動の際には、外回りにいつごろから出るのか、面接時に確認してみるといいかもしれません。
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税理士法人TOTALでは、受験に専念するために3月末や、5月末にお辞めになる方が毎年のようにいます。
受験スタッフも、今くらいから時間を減らし始めて、受験モードに入ります。
また、男性正社員なら多くは、入社3か月頃には外回りに出るようになります。
女性は希望をきいて、担当を付けなかったり遅くしたりするケースも多くあります。
そういえば、来週から作業ばかり3年半もやっていた男性税理士有資格者が税理士法人TOTALに入社します。
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(2)もうしばらく今の事務所で仕事をしたい場合
外回りをしないこの期間こそ試験勉強に集中しましょう。先輩にひっぱられることなく、今年・来年で最低でも簿記論は合格したいものです。
なお、
税理士に求められる資質
1.コミュニケーション能力
2.作業の早さ、正確さ
3.勉強熱心さ・専門知識
は、小さな事務所や独立する場合は、一人である程度すべて備えている必要があります。
ただ、従業員30名以上の事務所になると機能分化・役割分担ができるので、
どれか一つの能力があれば問題ありません。
欠点を直して低いレベルで安定させるより、自分の得意なものを生かした方がいいのです。
DAI様は、まだまだ若くてこれからいくらでも変われます。
成長してよりよい会計人になってください。
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会計事務所は、新人教育が得意なところはBIG4を除くとほとんどありません。
また、会計事務所職員は若すぎるとお客様と話が合いません。社長さんは、自分より若い人を「先生」とはあまり呼びたくないものです。
それにもかかわらず 新卒等の若者を採用するのは、色に染まっていないので素直で、事務所のカラーで育てられるし、素直で簡単には辞めないためです。
都市部で税理士試験科目合格者の新卒を採用するのは、大企業と同じような感覚のポテンシャル採用です(BIG4や一部の税理士法人)。
優秀な中途の方が少ない郊外はともかく、「都市部」で税理士試験の科目も持たないような新卒が多い会計事務所は、やめにくい、染めやすい人を取ろうという傾向が顕著で、クセがある会計事務所も多くなります。
もっとも最近では、人材不足からやむを得ず新卒の採用を増やしている会計事務所もあります。
税理士法人TOTALも今年は新卒採用の拡大を検討しています。
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(なお、当初の回答に違和感があったので、加筆修正しました)

 

 

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税理士 高橋寿克

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