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女性に30代からの税理士試験受験を勧めない理由と地方の過疎化

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

「女性に30代からの税理士試験受験を勧めない理由と地方の過疎化」

 

新たに税理士を目指すシングルマザー様からのご質問です。

 

■年齢 33歳
■性別 女性
■資格 簿記二級
■職歴 田舎の税理士事務所4年
■学歴 偏差値50の大学数学科
■会計事務所経験 正社員で4年。
主にパソコンが使えない上司の補助が仕事。
自身の担当は年間売り上げ600万~7000万の家族経営8社。
■居住地 田舎
■その他(特殊事情等)
今年の5月より、通信で2019年試験の簿記論を学習しています。

 

集中力の意思の弱さにより、なかなか勉強は思うように進んでいません(月40時間)

 

シングルマザーで家のこと、子供のこと、仕事のこと、勉強に、、、と時間がないのも事実ですが、時間があっても集中できていないのも事実です。

 

これまで回答されてあるのを拝見させていただきましたところ、30代の女性に新規には勧めていないと書かれてありましたので、上記私の状況を見ていただけると「勉強は辞めて子育てと仕事に集中したほうがいい」と考えられることはわかってはいるのですが、
今のこの勉強している自分(将来、税理士になった自分)を想像するのが楽しいので、これからも頑張って勉強を続けていきたいとは思っています。

 

もう一つの理由としては、今の事務所の給料が手取り13万なので(それ相応の仕事しかしていないわけですが)
今後子どもを大学まで行かせてあげられる気がせず、税理士になってお金を稼ぎたいという目標もあります。

 

そして、元旦那や、今の事務所の人たちを見返したい!できる自分になりたい。顧問先の相談になんにでものることができるようにないたいなど、野望はたくさんあります。

 

「一年一科目ずつで、何年かかってでもゆっくりと合格していこう」と考えています。

 

今の職場は母子家庭を理解していただいているので、かなり働きやすいです。
私は数学科出身ではありますが、かなりのマイペース(遅い)ので、この試験が自分には向いていないこともわかっています。そこは練習のみ!と頑張る気持ちでいます。

 

Q.

アドバイスをいただけたら幸いです。

(都合により一部、原文を編集しています)

 

 

A.

地方の女性に税理士事務所が人気です。

 

女性は、ノルマが厳しい「営業職」や、体力を必要とする「現業職」、納期の関係で残業がきつく家庭と両立しにくい「IT技術者」(プログラマー、SE)を嫌う傾向があり、依然として事務職が人気です。

 

経理は、コンピューターの普及やクラウド化により簡単になり、派遣社員の仕事かアウトソースされ正社員の需要は減っています。金融機関も、超低金利のため収益環境が厳しくなり、フィンテック・AIをにらんで人員削減が急速に進みそうです。地方・郊外には事務職は極端に少なくなっています。このため、人不足が叫ばれる中でも、一般事務職の求人倍率は0.4倍程度で推移しています。

 

そんな中、税理士は、男女差別の少ない仕事で、仕事と家庭の両立がしやすく、専門職としてやりがいもあるため、女性にとって大企業の少ない地方では数少ない魅力的な事務仕事です。

 

それなのに私が女性に30代からの税理士試験受験を勧めない理由は

 

(1) 税理士試験は、暗記と速記が中心の試験 若い方が有利
税理士試験は暗記力と速記力が必要で若い方が有利な試験です。
加齢とともに科目合格率がきれいに下がります。

 

平成29年度 税理士試験科目合格率
20代前半 34.0%
20代後半 24.5%
30代前半 21.6%
30代後半 18.2%
40代以上 13.3%

 

若ければ税理士試験の合格は簡単です。それこそ偏差値50(「新たに税理士を目指すシングルマザー」様の大学偏差値50ではなく、10くらい高く出る高校偏差値です)を切る高校の出身者でもいくらでも税理士になっています。大昔、私に簿記論を教えてくれたのは、20歳で税理士試験に合格した普通の高校出身の女性の先生でした。

 

他方、30代後半スタートで税理士試験に合格しようとすると通常は一定の高学歴(MARCHクラス以上が目安になります)が必要です。
30代前半スタートは独身なら何とかなりますが、子育て中だと時間がなくてきついかもしれません。

 

(2) 税理士試験は長丁場
30代スタートなら、働きながらでは順調でも合格まで5年はかかります。女性の場合は家事、育児と仕事、勉強の両立は大変です。シングルマザーで助けが得られにくいことを考えると10~15年かかるかもしれません。それでは子供の学費が必要な時期に間に合いません。税理士試験の合格が青春の思い出作りでは意味がありません。
私は、3年で受かった30代スタートの女性を2人知っていますが、ものすごく優秀でストイックな方たちでしたし、当初2年は受験に専念していました。

 

(3)せっかく受かっても、女性税理士が独立して成功することは難しい
税理士のお客様は主として経営者です。経営者(社長)に占める女性比率はわずか7.8%くらいしかありません。その中には親から同族承継した資産保有会社や、名目だけ女性社長の会社もあり女性経営者比率は高いとは言えないでしょう。その上、女性社長の会社は、一部の男性社長のようにガツガツと営利を極大化するよりも、マイペースで社会貢献したいという会社も多くなっています。ちなみに上場企業の女性社長は36名で1%未満しかいません。

 

一方で、仕事と家庭の両立がしやすく、専門職としてやりがいもあるため、税理士は女性にとって魅力的な仕事です。このため女性税理士の数は年々増え続けて1万人を超え、15年前に10%になった税理士にしめる女性比率は14.8%と増加が続いています。

 

女性税理士の増加傾向は、女性社長の増加をはるかに上回るため、以前に比べても年々、女性税理士の開業は難しくなってきています(女性税理士のお客様は女性に限るわけではありませんが)。このため、女性税理士は、勤務のままで独立しない方が増え続けています。

独立だけでなく、社員税理士、所属税理士と多様な選択ができることは女性にとってのメリットでもあります。

 

個人的にはやはり、33歳ならば一般的には、受験より地道に働いて給与を上げていく方がむしろ楽で効率的だとは思うのですが…。
税理士事務所は、(賃金カーブが緩やかで知られる)女性も40代以降も年齢とともに給料が上がる今どき珍しい仕事です。

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税理士法人TOTALには、受験生ではない30代前半の会計事務所未経験の女性が多く入社しています(受験生ももちろんいます)。ありがたいことに、いつの間にか彼女たちが担当のみならずマネジメントなどもしてくれてうちの主力メンバーになっています。

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それでも、「新たに税理士を目指すシングルマザー」様の場合は月の手取りが13万円というと、仕事内容から考えても安く、このままでは希望を持ちにくいですね。
今の事務所よりも良い事務所が近くにあって転職できれば一番いいのですが…。
地方の特色は他に転職のための選択肢がないケースも多いことだと思います。
仕事も豊富で子育てしやすい都市に引っ越すことも視野に入れることはできるのでしょうか。
田舎の実親の近くでないと子育てもままならないのでしょうか。

 

地方の衰退、過疎化について

 

インターネットの普及により情報格差が減り、地方のユーザー・消費者が都市の業者と直接つながってしまい、地方の業者も近くの業者と争うわけではなく最大手との競争にさらされています。このため、政治家がどんなにがんばっても地方の過疎化は進んでいくでしょう。
解決策は私には浮かびません。いずれ、地方は明治時代のような里山になるのではないかと危惧しています。
この傾向は遅れて税理士業界でも見られるようになってきました。都市部の大手税理士法人が地方の仕事をすることも増えてきています。

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税理士法人TOTALも、関東を出て全国展開を来年以降行います。いずれ大阪(神戸、京都)、名古屋、福岡、仙台、札幌等には出店したいものです。
3大都市圏以外は県庁所在地かそれに準ずる市に限られ、いわゆる田舎に出店するのは難しいと考えています。出店できないエリアは通信を使ってカバーすることになるでしょう。
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悲観的な意見が多くすみません。

 

勉強すること自体は楽しいです。夢や目標は人生の原動力、生きる活力です。
ここまで私が書いても試験を頑張れるというなら、なんとか簿記論、財務諸表論はできるだけ早く受かりましょう(1科目につき年間500時間くらい勉強が必要とされています)。
その後は、奨学金を使ってでも東亜大学の通信制大学院等で税法の大学院免除を受けながら週一科目に合格すれば税理士になれます。

 

実際に成功してお金を稼いでいる女性税理士はどんな方でしょうか
(1) 営業力があるタイプ:
人を引き付ける魅力、営業力がある女性。やり手おばさんタイプやこの人といると成功しそうと感じさせる女性など。
(2) 夫や親が税理士・近隣士業
税理士である旦那さん以上に営業力、マネジメント力、技術力のある地方の優秀な女性税理士も何人か知っています。
また、親に限らず高齢でお辞めになる税理士のお客様を引き継ぐこともあります。

(最近は、事務所の売却が一般的になったため昔よりは減っていますが)

 

税理士になったら、独立は営業力勝負です。いかにお客様に選ばれるか、好かれるかを考えていくことになります。最初から営業力のある方はあまりいません。子供のために何が何でも頑張るという思いがあればきっと成長できるでしょう。

 

もう一つの答えは、税理士や税理士になりそうな男性、隣接士業(公認会計士、司法書士、社労士、行政書士)の方との再婚です。

士業同士の方がわかり合い、助け合える点も多いでしょう。

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税理士法人TOTALでも、夫が税理士や税理士の卵という女性スタッフはかなりいます。その中には、シングルマザーだった方が再婚したケースもあります。

ちなみに私も妻が子育て中に勉強して司法書士になってくれました。ありがたいことだと感謝しています。

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税理士 高橋寿克

この記事に関するコメント

  • とても丁寧で詳しくお返事をいただき、ありがとうございます。
    何度も読み返し、自分なりに考えました。
    全てが先生のおっしゃるとおりで、納得できます。

    私が税理士を目指すにあたり、いろいろと先は厳しいことは分かっていたつもりですが、
    「暗記力と速記力」は20代と30代ではそれだけ違うのだということや、

    「女性税理士が選ばれるのが大変なこと」
    など、思っていた以上に先は明るくはないことを実感しました。
    (子どもとの時間を削ってまでなにをやっているんだろう・・)と思うところも事実です。

    しかし、やはり勉強は続けたいと思います。もっと頑張らないとと、気持ちが入りました。

    実務では、相続や税務調査などもっといろいろなことを経験してから、自信をもって他の事務所に移れるように、前向きに取り組んで行きたいと思います。(給与は確実に増えてはいくようですが、なにしろ出だしが少ないため、25年在籍のベテランさんでも、パートの給料か?と思う程少ない給料だそうです。)

    先生の奥様は、司法書士さんということで、ご夫婦で支え合われていてとても素敵ですね。憧れます。私も、いつか再婚できる時は、そういった方とできたらいいなと思います。

    今後の受験に関しては、厳しいことは分かっていても、以前のようなママ税理士に憧れるだけの自分には戻りたくありません。まだ始めたばかりですので、とにかく簿記財表まで頑張ってみます。

    具体的にアドバイスまでいただき、大変感謝しております。 本当にありがとうございました。

    2018年9月17日 10:45 PM | 新たに税理士を目指すシングルマザー

  • >新たに税理士を目指すシングルマザー様

    真面目な頑張り屋さんなのですね。

    否定的なことを書きすぎて申し訳ありませんでした。
    科目合格すれば昇給や転職の武器に、
    独立すれば自分の裁量でビジネスができます。

    大変だとは思いますが子育てと仕事、勉強、頑張ってください。

    2018年12月1日 7:05 AM | 税理士 高橋寿克

  • 女性税理士です。
    「女性税理士 独立」で検索し、本サイトを拝見いたしました。
    失礼ながら、執筆されている方の、女性軽視や偏見がまざまざと読み取れる記事で、
    非常に残念な気持ちになりました。
    このような記事の内容を疑問を持たずに公開されているような税理士事務所では働きたくないと感じる女性も多いのではないかと思います。
    失礼なコメントでをお許しください。
    書き込まずにはいられませんでした。

    2018年12月16日 2:05 AM | 女性税理士

  • >女性税理士様
    コメントありがとうございます。
    ご不快な思いをさせて申し訳ありません。

    記事は、質問者(今回は「新たに税理士を目指すシングルマザー」様)に誠実に、お役に立てることを書こうと思って書いています。

    そのため、
    ・税理士試験はそれほど簡単ではないこと、
    ・一般論では必ずしもこの方の状況ではお勧めできないこと、
    ・女性の独立もそれなりに大変で所属税理士も多いということ
     (稼ぐことをメインで考えておられるので)、
    ・それでも頑張るなら成功のための方法論
    を書いたつもりです。

    さすがに、人の人生に影響を与えるので、30代半ばでシングルマザーという現状を鑑みると、無責任 に税理士を試験を受けて合格し、独立するということを単純に礼賛する気にはなれませんでした。このためややネガティブな事実を厚めに書きすぎたかもしれません。
    一般論というよりは、具体的にその方のためを思って書いているつもりです。

    資料を調べて事実に基づいて書いたり、若干修正したつもりですが、
    事実と違っている、女性軽視や偏見と読み取れる部分は具体的にはどちらになりますか?
    ご指摘いただければ、内容によっては修正を検討させていただきます。

    2018年12月18日 6:56 AM | 税理士高橋寿克

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