早慶卒、大学院免除有資格者の信金から会計事務所への就職

2019年01月31日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「早慶卒、大学院免除有資格者の信金から会計事務所への就職」

 

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りほ様からのご質問です。

 

■年齢 33歳
■性別 女性
■資格 簿記論、財務諸表論、国税徴収法
税法2科目免除
■職歴 信用金庫10年
■学歴 早慶卒、大学院免除
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京

サイトを楽しく拝見させていただいています。
先生の誠意溢れる鋭いご回答に感銘をうけました。

 

お忙しい中恐縮ですが、相談させてください。

 

もともと税理士になりたかったので、在学中に3科目取得しましたが、その後、新卒で信用金庫に就職しました。

信用金庫では、法人営業を6年ほど経験したあと、本部の管理部門で勤務しており、その間に夜間大学院に通学し、税法免除しました
ゆくゆくは税理士になりたいと思っていたものの、気がつくと30半ばになっており、転職するならもう年齢的に余裕がないな、と感じています。
(結婚、出産の予定はありません。)

 

ただ、資格だけはもっているものの、実務経験もまったくありませんし、法人税、消費税といった必須科目の知識もほとんどありません。(通信で勉強したことはありますが、受験できるレベルではなく、受験経験はありません)

融資や事業計画書作成のアドバイス、パソコン業務(エクセルや、簡単なマクロ作成ぐらい)などはできるかもしれませんが、大学院免除ですし、他の税理士試験合格者と比べて、大きく知識、経験が劣っていると思います。

 

Q.

このような状態でも、会計事務所へ正社員としての転職はできますでしょうか。できれば、多少残業が多くても構わないので、しっかりと業務を学べる事務所を希望していますが、資格だけあってもまったく実務経験がないため、敬遠されるのではないかと心配しています。
また、転職する上で、優先して勉強しておくべきことはありますでしょうか。

よろしくお願いします。

 

A.

心配には及びません。
希望年収が高過ぎなければほとんどの会計事務所で正社員に採用されます。

 

受験歴、資格はすでに大学院免除で終了し、あとは実務で勉強をすればいいだけです。

10年位前の買い手市場の時代なら、もしかしたら大学院免除の嫌いな所長の事務所では採用されなかったかもしれません。

今は、空前の人不足、会計事務所業界は典型的な売り手市場です。

官報合格者が確実に減り続け、大学院免除者に対する偏見はほとんどの事務所ではありません。大学の学部卒業後、すぐに大学院に行く人はいまだにやや歓迎されませんが、りほ様の場合は働きながら夜間の大学院免除ですから仕事との両立も立派です。

 

職歴は、金融機関で新卒以来働き続けており、会計事務所との相性は最高です。

女性には珍しく、法人営業を6年続けており、法人のお客様訪問の即戦力です。

さらに、本部の管理部門に異動したということは信金内でも仕事ぶりを高く評価されていたということでしょう。

融資や事業計画書の作成経験は、起業家支援中心の会計事務所では重宝されます。

 

学歴は、早慶卒で税理士としてはほぼ最高レベルです。

 

お勧めするとしたら、

・お客様が法人中心

・法人の起業もある程度やっている

・法人税・消費税のマニュアルがある程度整っている(経験不足を補える)

・事務所が成長していてお客様が増えている(仕事量がある)

事務所が望ましいと思います。

 

お勧めしないのは、

・のんびりとした成長が止まった事務所(仕事量や学ぶものが少ない)

・社内ルールがないバラバラの事務所(金融機関出身者にはつらい)

・資産税中心の事務所(法人中心の今までのキャリアが生きない)

・所長が高学歴のスタッフを嫌う事務所

・経験者採用中心の事務所

くらいでしょうか。

 

希望年収がある程度高くなれば、必然的に業務量も増えます。

多少残業が多くても構わない旨を伝えれば所長に歓迎されるでしょう。

 

あまりにも条件がそろい過ぎなので、転職するうえで優先して勉強してもらいたいことは特にありません。強いて言えば、受験から間が空きすぎているので過去のテキストや法人税・消費税の本(税法は毎年改正されます)にざっと目を通すくらいでしょうか。

早めに転職活動をして、就職が決まった事務所のルールに合わせて仕事を覚えていくのが良いでしょう。

 

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りほ様のような方は、税理士法人TOTALでもぜひ採用したいですね。

機会がありましたらご応募お待ちしています。

 

そう言えば、最近、金融機関(地方銀行・信用金庫等)からの転職希望者が増えています。超低金利で融資の利ザヤが採りづらくなり、その分を無理な金融商品の販売手数料や遺言信託を増加させて補おうとしているのか現場の社員の負荷が上がっているように思います。りほ様は違いますが、はめ込み営業を嫌った転職が目立ちます。

税理士法人TOTALにも金融機関出身者がたくさんおられますが、優秀な方が多くおおいに頑張ってくれています。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

お忙しい中、ご回答いただきましてありがとうございます。身に余るお言葉にとても励まされました。

信用金庫の仕事もやりがいがあり、また、職場環境にも恵まれて辞めるのが申し訳ないという気持ちもあったため、このまま勤務し続けることも考えていたのですが、やはり税理士を目指そう!と改めて思いました。
お客様の成長に寄り添えるような税理士になりたいです。

先生のように人を大事にする所長さんがいらっしゃる事務所は、とても魅力を感じます。正社員も目指せるとのことでしたので、まずは就職説明会などに参加したいと思います。

この度は、本当にありがとうございました。

2019年2月1日 8:03 AM | りほ

>>りほ様
確かに今の仕事も評価されて恵まれていそうですね。転職すべきかどうかは、実際に就職活動を在職中に行えばもっと感覚的にわかる部分もあると思います。
なお、大原簿記学校やTAC主催の合同就職説明会は、求職者により募集側のスタッフの方が多い状態になり、参加会計事務所も減り続けています。残ったのは人不足がひどい事務所が中心になりつつあります。

2019年2月3日 6:24 AM | 税理士 高橋寿克

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