税理士試験の受験資格(職歴・学歴)

2020年01月14日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「税理士試験の受験資格(職歴・学歴)」

今年もよろしくお願いいたします。

 

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カミーユ様からのご質問です。

■性別 男性
■資格 日商簿記3級、FP技能士3級等
■職歴 地方公務員(役場)
■学歴 農業系専修学校(2年制)
■会計事務所経験 なし
■居住地 東日本の地方
■その他(特殊事情等)

現在、生まれ育った地元の役場に勤務しています。
山間地、過疎地である当地には所謂「士業」を開業されている方は行政書士2名しかおらず、「司法書士」「土地家屋調査士」「税理士」などが居ない過疎地状態となっています。
私は平成31年4月から会計管理者を拝命し、予算の出納管理、監査書類作成、決算書作成等を業務として行っています。この時期は税務署へ提出する「法定調書」や各市町村に送付する給与支払報告書の作成を日頃の業務の中、進めております。

今回ご質問するのは、私の現在の業務内容が「税理士」の受験資格に該当するのか?お伺いしたいからです。

 

先程申し上げた「士業」の方が身近に不在なため、住民からの相談が当方に多数寄せられるのですが、役場職員もご存じの通り数年単位で異動するため、どうしても専門的知識を習得できない状況にあります。
私は以前住民票・戸籍等を取り扱う窓口業務の係長を3年ほど務めていましたが、住民からの相談内容が多岐にわたる中、相続や税務関係の相談は複雑なものがあり、何とか答えようとしても自分自身の知識不足により、相談にうまく答えられず悔しい思いを何度も味わいました。
そこで昨年から日々の仕事やプライベートの時間をうまくやりくりして、司法書士資格の取得に向けて勉強をしておりますが、住民から寄せられる税務関係の相談にも答えられる税理士の資格も将来的に取得可能か調べております。
国税庁のホームページでは「職歴による受験資格」が記載されていますが、個別の事例については「受験資格認定」を受ける必要があるようで、安易に聞けない状況にあります。

 

Q.
上記のような内容ですが、私の今の事例で税理士試験の受験資格があるのかおわかりでしたらお聞かせください。
なお、現在の「会計管理者」の業務は今年の3月で1年間となりますが、平成26年度~27年度の2年間、担当者として上記の会計業務を行っております。

よろしくお願いします。

 

(今回は、人物の特定をさけるために若干、原文を修正をしています)

 

A.

はっきりとした規定はありませんが、いくつか可能性は考えられます。

税理士試験の受験資格は

(1)学識

(2)資格(簿記1級、全経上級等)

(3)職歴

(4)個別認定

です。

今回は(3)の職歴に関するご質問ですよね。

①法人又は事業を営む個人の会計に関する事務 

が2年以上という要件があるので、この「法人」に、町のような「公法人」も含まれるなら、カミーユ様の場合すでに通算3年たっているので問題ないでしょう。

②税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務

これは、原則は税務署、県税事務所、市民税課に2年以上いたということです。例外的にどのくらいで「関する事務」というのかが問題になります。

③行政機関における会計検査等に関する事務

「検査」が要件とされるので、直接は該当しなそうですが「等」がどこまで拡張されるのかという論点です。

実際のところ、これらは形式的な基準で、証明が出れば国税当局はチェックしないと思います。

身近でも上司に頼んで書いてもらったという話はお聞きしたこともあります。

フランクに頼める関係ならば、お願いして書いてもらえば大丈夫だと思います。

カミーユ様で悩まれるのは、在職中のため、あまり正面切って聞きにくい・たのみにくいということですよね。

 

「職歴」以外で受験資格は (1)「学識」が考えられます。

「法律学」又は「経済学」に属する科目を1科目以上履修というのは受験資格で一番多いのですが、別に法学部卒や経済学部卒である必要はないのです。

カミーユ様も2年制の農業専修学校卒なら、おそらく総授業時数は1700時間を超えているでしょうから、履修科目に「農業経済学」あたりがあれ学識要件を満たすことになるはずです。

さすがに「法律学」又は「経済学」に属する科目は、1科目はあるような気がします。

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税理士法人TOTALのスタッフでも、理系の大卒ため学識は無理だと思って簿記1級(結構難しいです)を取ろうとしていた方がいました。
私が、一般教養で法学系又は経済学系の履修科目を持っていないか確認するように指示をしたところ、やはり履修しており、幸い簿記1級は受験しないでよくなったスタッフがいました(彼女はその後、税理士になられました)。

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もしも上記にあたらない場合、(4)個別認定 で (3)の職歴で「会計に関する事務」事務に類していると認められるものに、2年以上従事したことを文書にして国税局に個別認定を求める手もあります。

 

細かいしわかりにくい点もあるのでリンクを貼ります。

参考)国税庁のホームページ

「受験資格について」

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/qa/qa03.htm#a-24

 

 

カミーユ様の地方(県)に、東京に住みながら新幹線で多数のお客様を抱えている友人の税理士がいます。東京では価格競争が厳しいですが、地方は競争がないので単価は高いそうです。

 

税理士試験の受験資格が取れると良いですね。

公務員は地域に根差して信頼は厚いでしょうから、過疎地なら資格さえあれば生涯現役もありうるでしょう。

地方の衰退は大変です。一人一人が高齢まで頑張って自分のため、生まれ育った町村のために社会全体を持続可能にすることが求められるのでしょう。

 

 

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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