キャリア相談室

税理士を明確には目指していない…モチベ低い?本音、面接で話して大丈夫か

(こちらの質問は令和6年10月にいただいた内容です)

ご質問いただいた内容

相談者

名前:むーみん
年齢:21
性別:女性
資格:日商簿記2級、税理士試験:簿記論・財務諸表論 結果待ち
学歴:MARCH3年生 現在在学中
職歴:飲食業、塾講師 アルバイト経験
会計事務所経験:なし
居住地:首都圏

相談内容

就活に向けて調べているうちに、こちらのサイトを見つけ、記事をたくさん読ませていただきました。ぜひこちらで質問をさせていただきたいと思い、今回メールを送らせていただきます。

私は、現在大学3年生で令和6年度税理士試験会計科目を受験し、令和6年10月現在結果待ちで、法人税の勉強を始めている段階です。会計科目や法人税法の合格等に関わらず、新卒での就職を考えています。3年生のこの時期から、大手の説明会やワンデー体験等のイベントが始まっているため、いくつかに参加している段階です。

また、現在アルバイトは飲食の接客業をしていますが、社会人として働く前に、会計事務所の雰囲気を知っておきたい、少しでも実務経験を身に付けたいと感じています。そのため、学校の落ち着く4年生から会計事務所や税理士法人のアルバイト(または長期インターン)を始めようと考え、その面接も順次受けています。

正直、現在は【税理士になりたい】という明確な目標があるわけではありません。就職に有利なように2科目を取った、さらに実務に役立つように法人税の勉強を始めている、といった状況です。(実際働き始めたら変わるかもしれません。)そのため、まだ余裕のある4年生のうちは勉強に専念しながらアルバイトを経験し、その後社員になってからしばらくは仕事に専念したいと考えています。

もちろん、ここまで勉強しているし、若いうちに勉強しておいた方がいい、といったことを考慮すると早めに税理士を目指すべきということは理解しているつもりです。

ただ、自分の体力やキャパを考えた際、いくら受験に理解がある事務所でも、社員として慣れない仕事と勉強を両立する自信はないのが正直なところです。

就活での面接の際、2科目結果待ちで税法を勉強している、と面接の際に言うと、おそらく税理士を目指している、ととられると感じています。一方で以上のような正直な心情を言って大丈夫なのか、といった不安もあります。

過去の記事を読ませていただいて、むしろ勉強よりも仕事を優先してほしい事務所も少なくないということはわかりました。

事務所の側から考えた際、税理士の資格は今のところそこまで目指していない、といったモチベーションが低いような発言をしても大丈夫でしょうか。やはり採用の際にマイナス要素となるのでしょうか。(もちろん事務所の系統にもよる可能性も理解はしています。)

長文となってしまい、恐縮ですが、ご回答お待ちしております。

回答

後悔するよりも本音で話して

むーみんさん、こちら回答まで時間をいただいてしまって申し訳ありませんでした。令和6年度の試験結果はいかがだったでしょうか。ご自身の進路に向き合い、悩みながらも着実に行動している様子に、とても誠実でまっすぐな印象を受けました。アルバイトや説明会への参加、法人税法の勉強など、しっかりと地に足のついた準備を進めているのですね。慣れない仕事と勉強の両立に不安を抱いている点も、将来をきちんと予想し正しく見つめていると思います。特に会計事務所入社1年目は大変ですから、、、しかしむーみんさんなら十分乗り越えられると思います。

さて、いただいた質問の中心は「税理士になりたいという明確な目標が今のところはない中で、面接でその気持ちをどこまで正直に伝えてよいのか」ということかと思います。私としては、自分を無理に卑下する必要は無いので、ある程度は面接で本音をお伝えするのが良いと考えます。自分の想いをさらけ出せず入社後に後悔するよりは、しっかりと希望を伝えて採用された事務所で働く方が良いのではないでしょうか。 

税理士業界は人手不足が続いています。一昔前、業界未経験者が会計事務所に入社するには2科目ほぼ必須といった時代もありました。しかし今は状況が大分異なります。業界未経験・科目合格無しの社会人経験者を中途採用する事務所はたくさんあります。このような状況ですから、学生で2科目合格している場合、税理士業界内で将来有望な若手(20代で税理士になるポテンシャルがある…等)と評価されるはずです。むーみんさんが令和6年度試験で2科目合格していればもちろん、1科目くらい不合格でも令和7年度試験で挽回できていれば問題は無いでしょう。法人税法も勉強していて、合格ラインまで来ているなどあればなおさら評価は上がります。

就職イベントへの参加をお薦めします

新卒採用を強化しようしている事務所も昔に比べたら多くなってきました。8月の試験後と12月の合格発表後に、大手専門学校が就職イベントを開催します。ここには新卒採用に力を入れている事務所が出展していますから参加することをお薦めします。もちろん税理士法人TOTALも出展しますよ。

ただ、新卒入社のスタッフを一から丁寧に育てる仕組みがある事務所は、もちろんいくつかはあると思いますが、大手と言われる事務所を含めても、まだまだ多くはないのが現状かもしれません。むーみんさんにとっては、新卒入社のスタッフをきちんと育てられる教育体制や、税理士資格取得を応援してくれる風土や制度がある事務所を選べると良いでしょう。そのため面接の際に下記の質問をして確認してみると、入社後のイメージも沸きやすくなると思います。

  • 昨年はどれくらい新卒で入社した方がいますか?
    (同期の人数は何人くらいですか?)
  • 新卒入社のスタッフへの教育体制はどんな内容ですか? 等

事務所の規模も大事かもしれません。新卒入社のスタッフを社会人教育も含めて一から育てていくには、そのためのスタッフが必要です。ある程度の規模がないと、新卒入社のスタッフは1人か2人です。いわゆる大企業を除く会社にとって、それだけの人数のために、特別な教育コストをかけるのは大変厳しいことです。結果的に教育面やフォロー面で手薄になる部分が出てくるかもしれませんから。

むーみんさんは質問文でも記載いただいたとおり、ご自身の目指すべき明確な税理士像が固まっているわけではありませんよね?まだ学生なのですから、それ自体は何ら悪いこととは思いません。むーみんさんご自身もそれを自覚していて、だからこそ幅広く役に立つ法人税法を勉強しているのだと思います。そうなると、これは一概には言えませんが、むーみんさんが最初に入社する会計事務所は、資産税や医療特化のような専門型でなく、取り扱い業務が幅広いいわゆる総合事務所と言われるところの方が合う気もします。実際に働いて、様々な経験を積みながら自分にあった仕事を見つけていくというのも社会人スタートとしては王道の一つです。

最後に。もう今年度試験の直前期ですね。8月の試験本番で実力を発揮できるよう応援しています。


文中にも記載しましたが、税理士法人TOTALは8月8日にTACの「就職説明会」(東京会場)に、8月9日に資格の大原「就職フェア」(東京会場)とTACの「就職説明会」(大阪会場)にそれぞれ出展します。会計業界最大級の就職イベントです。先輩社員も多数参加しますので、興味のある方はぜひTOTALのブースまでお越しください。私も東京会場には参加します。皆様のご参加をお待ちしています!

税理士法人TOTALも発起人の1社になった一般社団法人 会計事務所連携協議会で、新卒採用強化が議題の一つになっています。一定規模以上の会計事務所でもどちらかというと新卒採用をしない方がスタンダードではありますが、優秀な人材を会計業界に呼び込もうと協力して頑張っています。

TOTALグループの令和7年度の新卒・第二新卒は30名でした。このうち、社会人としての一歩を踏み出す方々、そしてこれまでの経験を活かしてさらなる成長を目指す方々を中心に、総勢22名が4月の新入社員研修に臨みました。


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執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL
代表社員税理士

高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国17拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

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