キャリアコラム
司法書士の営業・集客方法
士業であっても、資格を取得しただけで自動的に仕事が舞い込むわけではありません。特に司法書士の主要業務である登記業務、中でも不動産登記においては、単発の依頼が多くの割合を占める傾向にあります。
事務所を安定して経営していくためには、ターゲットを明確にした戦略的な営業・集客活動が不可欠です。今回は、現在の司法書士業界における主要な集客手法についてご紹介します。
Web集客
インターネットは、相談者の不安を解消し、事務所の信頼性を可視化するために極めて重要なツールです。
- ホームページ(HP):来所に至る経緯が紹介であっても、多くの依頼者は事前にHPを確認されます。プロフィールや実績を掲載することで、相談前の心理的ハードルを下げる効果があります。
- ブログ・コラム:専門知識を一般の方の役に立つ記事として発信し、信頼向上とSEO対策を狙います。 当事務所ではスタッフが交代で執筆しており、数年間は順調に閲覧数が推移してきました。ただし、昨今は生成AIの普及により検索行動が変化しており、当事務所でも流入数が減少に転じるなどの影響が出ています。これからは「AIには書けない独自の見解や体験談」の発信がより重要になるでしょう。
- ポータルサイト登録: 多くの司法書士が利用していますが、掲載数が増えるほど自事務所の存在感は相対的に薄れてしまいます。他事務所との差別化要因をどう打ち出すかが鍵となります。
- Web広告:かつての過払い金請求ほどではないにせよ、現在は相続や債務整理などの分野で活用されています。ただし、広告費の高騰により費用対効果の見極めは難しくなっています。また、価格比較のみを目的とした層への対応など、受託後の円滑な業務遂行まで見据えた戦略が必要です。
対面集客
業務依頼を安定的に獲得する鍵は、やはり「人との繋がり」にあります。
- 紹介ネットワーク:銀行、不動産会社、他士業(弁護士・税理士等)からの紹介は、今も昔も依頼の大きな柱です。目の前の案件を誠実に完遂することが、次なる紹介へと繋がります。
- 既存顧客へのフォロー(リピート受託):「一度きりの関係」にしない工夫も重要です。例えば、株式会社の役員改選(重任登記)のタイミングでのご案内は、リピート受託に直結します。過料発生を防ぐことは、法人のお客様の利益を守ることにも繋がります。
- セミナー開催: 高齢化に伴い、相続や終活といった生前対策のニーズが高まっています。専門家としてのプレゼンスを高める上で、セミナーは非常に強力な営業手段となります。
- 地域活動・相談会:司法書士会や商工会議所の相談会は、地域住民との貴重な接点です。千葉司法書士会では、相談員は当番制となっており、定期的に一般の方と交流する機会があります。
(新人への支援)千葉司法書士会では、平時に一般の方から会へ問い合わせがあった際に登録年次の若い会員を優先的に紹介しているそうです。こうした「後進を支援しよう」という会の姿勢は、新人にとって非常に心強いものです。 - 飛び込み営業:信頼関係が重視される業務の性質上、効率が悪く、現代では優先順位は低いと言えます。当事務所でも、コロナ禍で受託が減った際に検討したことはありましたが、最終的には「信頼の構築には非効率」と判断し、実施に至りませんでした。
成功への鍵:信頼を裏切らない「誠実さ」
特定の集客手法に依存せず、Webと対面の両面からアプローチを継続することが不可欠です。相続や会社設立など得意分野を明確化し、「どのような層にアプローチするか」というターゲット設定を行うなど、自事務所の強みに合致した戦略を構築することが成功への鍵となります。
しかし、いかに集客に成功しても、受託した業務を確実に、かつ誠実に完遂することが何よりも重要です。質の低いサービスや悪い評判は瞬く間に広がり、事務所の存続に影響しかねません。最後は「誠実な実務」こそが最大の営業になるのです。
この記事の内容が、合格後の事務所選びの基準や、将来の独立イメージ構築の参考になれば幸いです。
司法書士事務所で働くことに興味や関心を持ちましたら、こちらの採用情報もぜひご覧ください。
司法書士法人TOTALでは、皆様のご応募をお待ちしております。
執筆者

司法書士法人TOTAL
司法書士試験合格者の皆様、司法書士試験受験生の皆様、これから目指そうかお考え中の皆様、司法書士法人TOTALです。
当法人の特徴としては、
<事務所>
事務所は、千葉県船橋市発祥
令和6年9月に丸の内事務所開設
<司法書士資格>
司法書士資格者4名在籍(うち1名未登録)総勢11名(令和6年9月現在)
司法書士受験を奨励・受験生を歓迎しており、現在発表前ですが今年度も複数名受験しています。
実際、受験生から司法書士に合格し、現在事務所の要として活躍している人もいます。
司法書士会の配属研修も、複数回受け入れ実績あります。
司法書士試験以外にも、行政書士試験、土地家屋調査士試験に挑戦するなど勉強熱心な人が多いです。もちろん一般事務が得意な方も歓迎です!
<主要業務>
主要業務は、登記業務
不動産登記と商業法人登記をバランスよく受託しています。
どちらかに特化している事務所が多いと思いますが、両方それなりの件数を扱っている事務所は少ないのではないかと思います。
<事務所方針>
事務所方針として、きめ細かく、丁寧迅速に高品質なサービスを提供し、信頼される事務所、所員であることをめざしています。
個が輝きながら、一人で背負わず組織で仕事をします
<メッセージ>
働き方は様々だと思いますが、私たちの事務所ならではの比較的柔軟な対応ができる可能性があります。実務経験を積みたい方は、是非お気軽にお問い合わせください。
司法書士法人TOTAL 採用情報