地方在住者の都市部での税理士事務所就職
2014年08月31日/ 高橋
税理士事務所・会計事務所の就職情報の税理士 高橋寿克です。
税理士法人TOTALは、9月の千葉出店・10月の西東京出店が正式に決まりました。 ここに来て加速していますね。
他本部への異動に伴う後任(所沢・東村山本部)や、新設予定(柏・池袋・渋谷・立川)など、本部長候補を募集しています。
30代半ば~40代で、会計事務所経験が長く、法人については一通りのことができる経験・技術のある方、ご応募お待ちしています(資産税事務所経験者も併せて募集中です)。
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TEN様からのお問合せです。
■年 齢 24才
■性 別 男
■資 格 簿記論・財務諸表論 受験
■職 歴 親の会社の経理(半受験専念)
■学 歴 低偏差値の私大経済学部・経営学科卒
■会計事務所経験 大学卒業後、数か月
■居住地 三大都市圏以外の地方
高橋寿克先生初めまして。税理士を目指している者です。
税理士について調べている時、こちらのホームページを発見して、掲載されている記事がとても興味深くいつも拝見させていただいています!
早速ですが、税理士の就職について質問させていただきます。
自分は、今年の試験で「簿記論・財務諸表論」を受験しました。
自信はあります!
しかし、今年の9月から今度は「消費税法・法人税法」の、専門学校の通信で学び、来年の8月の試験後、専門学校で開催されている会計事務所の就職説明会に参加し、就職先を探そうと考えています。
あと1年間実家を手伝いながら受験に専念します。
そこで、大学卒業後約3年半の社会人経験・実務経験が無いまま就職先を見つけるということになるので、やはり不安になります。
自分は、12月の合格発表後、もし「簿記論・財務諸表論」が不合格だとしら、1科目増やし、来年は3科目受験する予定です。
ちなみに「消費税法・法人税法」は2回目の受験になります。
Q.1 こんな自分でも、就職先は見つかると思いますか?
Q.2 面接時に人柄面で良い印象が与えられると思うので、まだまだ直前期ではない1月か2月くらいに「マラソン」に挑戦し、履歴書に「マラソン完走経験有り」と書こうと考えています。この就職戦略を、どう思われますか?
A.1 質問で一番困るのは、ご自身の経歴を書かれて、「私でも採用されますか?」という形式のものです。
それは私よりも、希望する会計事務所に応募してみるしかありませんよね。
税理士事務所の就職は、今年、例年になく売り手市場で大原やTACの就職情報誌がいつになく分厚くなっています。
特に中堅以上の税理士法人の人不足は深刻で、会計事務所「経験者」はどこでもひっぱりだこです。
未経験者にとってもずいぶん広き門になってきています。
数年前に就職活動をした人で、今年転職する人はあまりの楽さ、内定の取れやすさに驚いている方も多いでしょう。
ただ、TEN様は、地方在住で、「専門学校で開催されている(都市部の)会計事務所の就職説明会に参加し、就職先を探そうと考えています」ということなので、事務所数がかなり限られ採否は予測しにくいと思います。
大原簿記学校やTACの就職説明会は、3万以上ある税理士事務所・税理士法人のうち、1%にも満たないごく一部しかもともと参加していません。
その中から、実際に面談にまで進むのは数か所に過ぎません。
高い広告宣伝費が必要なので、今人手が足りない結果をすぐに求める即戦力優先の採用になります。
さらに、地方からの応募者の方を(引っ越しを伴って)採用する場合、会計事務所の所長・経営者としては、定着してくれないと負担・ショックも大きくなります。
慣れない土地での一人暮らしとなるため、採用基準が若干上がります。ポテンシャルが高い人、結果を出せることが確実な人、コミュニケーション能力・組織適性が高い人を優先します。
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税理士法人TOTALでは、5人の引越を伴う地方出身者を採用してきました。うち、会計事務所未経験者は2名です。
残念ながらお一人だけ、短期で退職なさっています。 ・記帳代行を(半分くらい)するという方針(税理士法人TOTAL) 税理士法人TOTALは、税理士業務を専門知識をもったサービス業だと考えています。
会計記帳のアウトソーシングは、人的リソースがない会社の選択肢として当然あって良いと考えています。 ・自計化が原則100%であるべきという考え方(彼) 職業専門家は、会社がやるべき記帳を代わりにやることは望ましくないという考え方もTKCを中心にあります。
彼はそういった事務所で育ってきました。
2つの考え方が合わなかったことが理由です。「どちらが正しい」ということではありません。
当社は残念ながら合同就職説明会に今夏は参加しませんでした。 (今冬も参加しないかも)
合同就職説明会は、たくさんの就職希望者とお会いできますが、あわただしいのが欠点です。
どうしても対応が雑になり、本来、来てもらいたい人にも連絡が不十分になりご迷惑をおかけします。 できれば本当に当社を志望してくれる方とじっくり向き合った採用活動をしたいと思っています。
ご興味がある方は、いつでもご応募お待ちしています。
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TEN様の場合、来年の夏時点では、2科目(場合によっては1科目でも)合格者で税法受験済みなら一応、(税理士試験に関する)資格基準はクリアします。
職歴はほぼなく、学歴も目立たないとなると、コミュニケーション能力・人柄で判断されるでしょう。
東京都・南関東3県(神奈川県・埼玉県・千葉県)・愛知県・福岡・沖縄など、ごく一部の地域を除き、地方の衰退は進んでおり、少子高齢化・製造業の空洞化もあり、生き残りをかけた争いをしています。
産業は農業と観光と公共事業くらいしかないという県もいくらでも存在します。 会計事務所業界も、一部の例外を除き、地方は選択肢が限られています。
税理士法人と言っても、親子でやっているものや、TKC会計事務所の名目だけ(実質は別々)の合同事務所も多く、個人事務所と変わりません。
優秀な若手は都市部に流出していっているため、高齢になった所長・代表社員の若い頃と業務水準もあまり変わらなかったりする事務所もあります。
税理士法人TOTALは、最近地方(東北、北海道、関西等)からの求職者が増えています。
その中から、入社してくれる人も出てきています。
うれしいことですが地方の疲弊も感じざるをえません。
TEN様の場合、希望通り就職説明会で採用されればそれが良いでしょうが、もし不採用なら、地元の会計事務所に就職して(2科目+税法受験なら選ばなければ難しくないと思います)、都会に出たいというなら3年後くらいをめどに会計事務所経験者(場合によっては税理士有資格者)として転職活動をすればいいのではないでしょうか。
それでもまだ20代後半で十分に若いと思います。
A.2 最近では、採用で、今まで以上に人柄・コミュニケーション能力等が重視されてきています。サービス業としては当然の流れでしょう。
「マラソン完走経験有り」は、一部の所長には有効、多くの所長には、無意味又は逆効果だと思います。
知り合いの税理士事務所所長に何人も、マラソン、トライアスロンが好きな方がおられます。
事務所でマラソンイベントに参加などというケースもあります。そういう事務所ではプラス評価をするかもしれません。
ランニング自体は運動ですから、健康増進のためには良いのでしょう。
でも、税理士試験受験生が完走をすることにあまり意味はないような気がします。
「高校の部活でがんばりました」という話と一緒ではありません。
ストイックな努力家と言う評価もありうるでしょうが、一方で、一生懸命集中して勉強しない人、他のことに手を出す変わった人という評価をする所長もいるでしょう。
人柄は、会話や文章、生き方の中に滲み出るものです。
所長には、人生経験・人を見る目でTEN様より一日の長があります。
小細工や無理なアピールよりも本質を磨いていくべきでしょう。
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