若いうちの苦労は…
2015年01月17日/ 高橋
税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。
今回、返事が遅くなって申し訳ありません。
情けない話ですが、私は毎年1月に風邪をひきます。
普段は、ハードワークで緊張しているので、体調が持つのですが、年末年始に気を緩めるので風邪をひき、そのまましばらく治りません。
一応、病院には行くのですが、不摂生なので…。
今年は長くて、もう20日を経過しているのですが、治りません。
(ヤバい病気だったりして?)
私の周りでも、長く治っていない人が多いようです。
体調には気を付けてくださいね。
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おまたせしました。それでは、
ロミオ様からのお問合せです。
■年齢 21歳
■性別 男
■資格 簿記論
■職歴 なし
■学歴 専門学校在学中
H27年3月卒業見込み。
■会計事務所経験 なし
■居住地 地方
初めまして、ロミオと申します。
ご質問させて頂きたく投稿している次第でございます。お忙しい所、大変申し訳ございませんが先生にご回答して頂けたら幸いです。
私は、H26年度税理士試験合格発表後、就職面談会にて就職活動を行っていたのですが、結局の所、内定を確保出来ずこれから先の進路選択を悩んでおります。今の所、選択肢として以下の二つを考えております。
(1) 専門学校又は職業安定所が紹介している求人に早速応募する。
懸念事項→個人的に、就職したい事務所(原則二科目合格を要件としています。)があり上記のように就職した場合は、科目数を揃えた後、いずれはそこに転職しようと思っているのですが、紹介を受けた事務所を短期で辞めてしまった場合、迷惑が掛かりそうな気がしますし、勉強時間がある程度確保出来るかどうか、面接の時に受けた説明と違って実情は、、という事もありそうで心配です。
しかし、色んな事務所を経験するのも遠回りのような気もしますが、そうでもない気もします。
(2) 税理士試験までアルバイトと試験勉強を両立させ、発表後、合否を見て就職活動をする。
懸念事項→社会人経験も無いまま、フリーターになってしまうので就職に当たって不利にならないか心配です。
因みに、アルバイトは授業料と生活費その他諸々を賄える水準まで稼ぐつもりです。親から早く経済的に自立してほしいと言われましたし、また私も親、祖父母にこれ以上負担を掛けさせたくありません。(月の収入が現在70000円程でアルバイトを今後増やすつもりです。支出は全額自己負担の場合、概算で120000円程、貯金90000円程、3月一杯まである程度負担してくれるよう、親と交渉しようか検討中です。)
Q.どの選択肢が最も将来を見据えた上で適当でしょうか?
お忙しい中、大変恐縮ですが、ご回答の程宜しくお願い申し上げます。
A.
税理士試験は長丁場になりやすく、大変です。受験生は合格しないとどうしてもやめることになりがちです。すぐにやめられると現場は大変です。
教育ができる会計事務所はほとんどありません。最低でも数年は働いてもらいたいから、採用上有利な中堅以上の会計事務所は従来は①会計事務所経験者か、②税理士試験2~3科目合格者を募集要件にするところが多くみられました。
最近では、どこの業界も人不足です。オリンピックまでは人不足は解消しないという意見もあります。
そこで最近では、合格科目のない若手未経験者を採用する中堅会計事務所も増えてきています。
もっとも、理念経営で、「資格の勉強」より「お客様のために!」と洗脳しやすいように若い未経験者を求めるタイプが増えているので、税理士資格を目指す方は見極めは必要です。
熱血系、若手中心で、税理士が少ない(従業員10~15人に対して税理士登録者が最低一人くらいは必要です)事務所は資格勉強軽視の確率が高くなります。
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実は税理士法人TOTALも、人不足に悩んでいます。成長率30%なので、人を常に必要としています。
このため、20代半ばまでの方は、税理士試験の科目を持っていなくても選考対象にして、2年くらい入力・内勤で育てることにしました。教育システムから変えていかないといけませんが、
「あなたと共に成長したい!」という経営理念からすると遅すぎる変更だったのかもしれません。
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正月らしく? ことわざ・格言でつないでみました。
一般論なら、2~3科目合格までの受験専念をおすすめしています。
しかし、親から経済的な自立を求められている・自分でも家族に負担をかけたくないと思っている現状では、受験専念はできません。
私のお勧めは(1)です。
きちんと税理士事務所を選ぶのはもちろん大切ですが、まだ入社してもいない会計事務所の心配をしても始まりません。
「渡る世間に鬼はなし 」
入ってみたら、良い所長かもしれない(税理士は良い人が多いですよ)。
上司(お局さん、番頭さん)が面倒見の良いかもしれない。
先輩がいろいろと教えてくれたり、やさしいかもしれない。
もしかしたら素敵な女性が同僚かもしれない。
転職しようと思っていた事務所より良い事務所かもしれませんよ。
「住めば都」って言うでしょ。
え、「そんなにおいしいことあるわけない」
そうかもしれませんね。でもしばらく頑張ればいいじゃないですか。
ロミオさんを採用した事務所ってことは、人が必要だったってことですから、頑張れば仕事はあるってことです。
仕事が多すぎて受験勉強の時間が確保できるか心配?
初めて仕事をしたら、気も使うし、時間も使うし大変です。
だって、専門学校はお金を払って教えてもらうところですが、
会計事務所は労働の対価として給与をもらえるところなのですから。
「働かざる者食うべからず」です。
勉強時間は与えられるものじゃなくて、移動時間や昼休みなど細切れの時間を活用したり、遊興・娯楽、(最後は)睡眠を削って作り出すものです。
税理士試験を受験するってことは、一流の税理士になることが目標ですよね。
仕事もがんばって、受験勉強もがんばるのは当たり前ですよ。
どちらも絶対に必要なんです。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」って言いますよね。
20代前半なら、長時間働いたって一晩寝れば大丈夫。むしろ速く成長できる良い経験だと思えばいいじゃないですか。
「本当に長時間労働がひどかったらどうするんですか?」
長時間労働を奨励しているわけではないので誤解しないでくださいね。
月30~40時間くらいの残業なら気に病む必要はありません。頑張りましょうよ。
月80時間を超えるような残業時間が続くなら、もうやめるしかないですね。
(厚生労働省の過労死の目安は80時間連続2~6か月か、100時間超です)
「三十六計逃げるに如かず」
「短期で辞めてしまったら迷惑が掛かりますよね?」
もちろん、理由がなく短期で辞められるのは困りますが、辞める理由があるなら、ロミオさんを引き留められる魅力がないその事務所が悪いのです。
気に病んでも始まりません。
もっとも、雰囲気は良いし勉強にもなる、長時間労働だけが問題だというなら、アルバイトとしてその事務所で働く等の交渉をしてもいいかもしれません。
なお、(2)のアルバイトを勧めないのは、一流の税理士になるためのプロセスとして必要性がないからです。
また、20代前半をフリーターで過ごすと、社会的評価が低くなるし、基本的なビジネスマナーをきちんと学ぶ機会がなくなる危険性があります。
「色んな事務所を経験するのも遠回りのような気もしますが、そうでもない気もします」
こんなことを書くと、自分も年齢が上がってきているのを感じますが、
悩めるって若いってことです。悩めるロミオ様の若さがうらやましい。
私は、2か所事務所に勤務しましたが、両方から違う気付きを得ることができました。転職活動では会計事務所経験者として、プラス評価してくれます。
「人生に無駄なことなんてない」(本田宗一郎)
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体調の優れない中、私事の相談に時間を割いてくださった事に、まず感謝感激です!
回答された文を一文字一文字、文字通り穴が開く程読み返しています(笑)先生の仰る通り、仕事も勉強も両立させてこそ一流へ至る過程なんだと思います。たとえ仕事に忙殺されたとして、学習時間の確保が容易でなくなったとしても、それはそれで良い経験なのかもしれません。
ことわざ、格言が心に染み入ります。これからの社会人人生を送る上での指針として心の奥底に閉まっておこうと思います。
回答を頂くまでの間、多少の進展があり、具体的な進路については未だ決めかねていますが、先生からのご助言大変参考になりました。重ね重ね御礼申し上げます。
2015年1月20日 11:18 PM | ロミオ