体育会系の会計事務所からの転職

2010年06月23日高橋

東京都と千葉県の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

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K様からのご質問です

■年齢・・・25才
■性別・・・男性
■資格・・・日商簿記2級 宅建 税理士科目受験歴なし
■職歴・・・不動産会社(上場企業)にて営業半年
会計事務所 1年7カ月
■学歴  早慶卒
■会計事務所経験 東京の50人規模の事務所にて1年7カ月
■居住地 都市圏
■その他 税理士試験受験の為、7月に退職予定

大学卒業後、思い切り働き力をつけたいと思い、忙しい事で有名な会社に入社致しました。
しかし景気の悪化から、仕事も無く、残業も無い会社になり、このままではいけないと思い、自分に専門性をつけるべく、会計事務所に入所いたしました。
この会計事務所も、他の事務所と一線を画しており、長時間労働ですが資格の有無を気にしない事務所で体育会系のノリです。

当初は仕事も経験しないうちに資格を目指すことに疑問を感じ、力をつけてから必要性を感じた上で資格の取得を目指そうと考え入所致しました。
現在では会計事務所の仕事に触れ、この世界で生きていきたいと感じるようになるにつれ資格をとり、より専門性の高い、付加価値の高い仕事をしたいと感じております。

そこでお聞きしたい事があります。

Q.今の会社では、勤務時間が長すぎ、税理士試験を目指せる環境ではありません。しかし、転職するとなると20代で転職回数が3回目になり面接に不安を感じます。
その上で3つの選択肢で悩んでおります。
(1)1~2年受験に専念した後転職(最低3科目合格を前提)
(2)勤務時間の短い事務所に転職し、働きながら受験
(3)現在の職場で3年以上キャリアを積み、その後受験にシフト。
また、次の就職の際には、一定以上規模のある事務所で、仕事の仕組み、働く環境ができているところを第一に希望しております。
是非アドバイスを頂きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

A.
仕事の成果はある程度まで努力・労働時間と正の相関関係があります。若いうちの苦労は財産だとも言われます。
不動産業界に入られ、又、体育会系の会計事務所に入所された趣旨はそういうことが念頭にあったのかもしれませんね。

資格の有無に関わらず、仕事量や、どれだけ新規顧客を獲得したかを評価するという会計事務所は、社員の精力を受験ではなく仕事に集中することができるので短期的な成果を上げやすく、給与の絶対水準を比較的高めに設定できるので、生活費の高い大都市圏では最近増えていますし。その分、午後9時(10時?)前には帰れないし、税理士試験の受験はできないなどの悩みもあります。

スタッフが100人近いの税理士法人の先生が、「自分以外は働いてくれた方がいいので本音では私以外に税理士はいらない」と言っていたような極端な例もあります。

私は、体育会系の会計事務所には、税理士試験に法人税を含む3科目以上合格してから入るべきだと思います。
・ 「税法の専門家」としての業務水準の向上にあまり神経が使われないことが多い
・周囲に、受験を無視する・馬鹿にする風潮があると自分だけ本気で勉強しにくい
からです。

K様の場合、税理士業務はやりがいのある面白い仕事だということは実感なさっていることと思います。ただ、税理士業界は、中小企業という付加価値が上げにくいマーケットである分、どこかで教育コストや税理士になれないリスクをコントロールしなければいけない構造になっています。

税理士法人TOTALは、税理士受験生には1年でも早く合格して欲しいと思っていますし、そのための環境整備をしていますが、その分残念ながら受験中の給料はそれなりにしか払えないのも事実です。
お金は税理士になってから、自分のためにもできるだけ働いて稼いで欲しいと思っています。

K様の場合、

(1)   がお勧めです。
初年度から、会計2科目と法人税法(又は所得税法)を受験、
翌年の9月からは落ちた可能性が高い科目の上級コースと新規に税法1~2科目を勉強

12月の結果、初年度3科目合格なら就職する。不合格科目があれば科目の変更をして2年目まで専念する。
K様が希望するような中堅以上の会計事務所は税理士試験3科目以上の条件を課しているところが多いことも見逃せません。

(2)   は資金余力がない場合か、ミニ税法で4~5科目目を合格する場合の選択になります。

(3)   は一般企業に転職することを視野に入れる場合でしょう。
一般企業なら、3年以内の転職を繰り返すと転職時の評価は著しく下がります。

会計事務所は、一般企業勤務の職歴の短さは評価が低いですが、会計事務所の2年程度の転職は税理士試験受験のためなら許容されます。税理士試験のつらさは、所長税理士が一番良く知っていますので。

ただ、次の就職の際は、できるだけよく検討して、3年以上の勤務が可能な事務所を探すべきでしょう。

税理士試験は、今、K様が考えている以上に大変かもしれません。ますは今年の試験に向けてがんばってください。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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