公認会計士受験生の転進 社会人経験なしの派遣の危険性

2008年03月01日高橋

  • Q、
    ①年齢23歳
    ②性別 女性
    ③公認会計士試験の受験経験あり
     今後、税理士の勉強に転化し、夏に簿財の受験予定。 
    ④資格 簿記1級
    ⑤実務経験なし
     
    税理士事務所への就職を希望しています。私が通う受験学校の就職専門スタッフで相談してみたのですが、「税理士科目を取得していないと就職は難しい!」と、派遣を勧められました。
    今日はじめてこのサイトを目にしたんですが、学校に頼らず、これからはもっと自分から行動を起こして就職に一歩でも近づこうと、決意は固く決まりましたが、こんな私でも就職は本当に可能でしょうか?また、留意点などありましたらアドバイスをいただけたらうれしいです。

 

A、

簿記1級を合格していること

簿財を受験予定であること

間口がやや広い女性であること

おそらく学歴も会計事務所の職員の平均を上回っているであろうこと

(文章からも聡明な様子が伺われます)

以上から、実務経験や3科目合格を必須としているBIG4他を除き就職は可能でしょう。

 

もし、不採用が続いたとしたら

募集のミスマッチ(事務所の特徴をきちんと分析しましょう)かコミュニケーション能力不足の

ケースくらいかな。

 

少なくとも、首都圏は現在も売り手市場です(2008年当時)。

派遣でしか就職できないという受験学校の意見は理解に苦しみます。

うがった見方をすれば、まこ様を派遣社員として抱えたいということなのかもしれません。

 

よく、短期的なお金だけで安易に派遣を選ぶ人がいますが

新卒で、社会人経験なしに派遣社員になるのは危険です。

社会人として必要な研修もなされないし、責任感の欠如の元です。

そもそも、秋葉原の事件を見るまでもなく派遣は常に解雇の危険性と隣り合わせですし、

スキルアップも望めません。

正社員とは壁もあり、帰属意識のなさは精神的につらいでしょう。

派遣労働とは諸外国では、技術がある人が、時間と技術を売る仕組みです。

日本の派遣制度は大きな欠陥を抱え、たくさんの事件を起こしていますよね。

 

繰り返しになりますが

 

派遣は将来賃金や。独立のための技術獲得で大損です。

格差社会の「負け組」に確定しかねません。

 

留意点があるとすれば

1、大手、中堅は必ずしも新卒を歓迎していないということ

新人社員教育にはコストがかかります。

会計業界は、最大手でも数百人という中小企業のためノウハウの蓄積が不十分で

定着率の低さとあわせて投資コストに見合わないと考えます。

わが税理士法人TOTALも昨年は社会人経験がない新人を4人採用しましたがなかなか大変でした。

いくらポテンシャル採用のうちでも今年は経験者が欲しいのも本音です。

 

2、正社員とは名ばかりで派遣要員として採用している中堅会計事務所もあること

それを明示している税理士法人もありますが、中には入社するまでわかりにくい会計事務所もあります。

気のせいかもしれませんが公認会計士の方が主催する事務所が多い気がします。

お客様からの派遣需要は中堅事務所ならありますし

派遣は実は儲かります。

公認会計士の方が合理的なのかもしれません。

私は、新卒の方でそこまでして儲けたくないですね。

面接の際に業務内容を聞くのが一番ですが、

見破る方法は、スタッフ数と顧問先法人数が1:10程度あることを確認するという手もあります。

派遣が多い税理士事務所はスタッフ数に対して法人数が極端に少なくなります。

 

その他の一般的な注意点はこのサイトにだいぶ書いてきました。

参考になれば幸いです。

この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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