税理士試験受験生の減少と会計事務所の残業時間

2018年02月26日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「税理士試験受験生の減少と会計事務所の残業時間」

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カフェイン様からのお問合せです。

■資格 簿記論 財務諸表論 消費税法
■職歴 30歳で初就職
■学歴 19歳でIT系専門中退 21歳で簿記系専門再入学
■会計事務所経験 会計事務所2年目(5月で丸2年)
■居住地 福岡

 

高橋先生、以前こちらで相談させて頂いて会計事務所に就職をしたカフェインです。

 

就職した会計事務所がかなりキツくて転職しようか悩んでおります。
今、担当件数は18件。事務所は正社員が30代の男2人、40代の女1人
30代の女2人、パートが30代女2人、50代の女1人。所長が70歳超えてます。非常勤で30代の税理士が1人来てます。

 

担当は、
年商500億円の会社1件
年商30億円の会社1件
年商8億~年商1億円の会社複数
売上2億円~3億円の医療法人複数
その他は、小規模な個人病院と会社が少しあります。

年収は300万円です。

 

給与計算2件と、回収してきた資料に科目コードを書いて、整理して、パートさんに入力して貰って、試算表をチェックして、二期比較して、お客さんに説明といった基本作業がメインの仕事です。

 

お客様の電話対応がかなり多いのと、頼まれた資料の作成などがかならず、日常業務にイレギュラーで入ってきて通常業務がなかなかスケジュール通りにできません。

 

入社してから定時で帰れたのは数えるほどで、泊まりこみ、朝帰り、2時帰りは必ず毎月あります。
休日も昼から全て出勤して日々過ごしています。
月の残業時間は100時間は超えていますが、定時以降は所長は帰りますし、休みの日は誰もこないうえに、残業代は1円もでないので、精神的にはゆったりとした気持ちで残業時間を過ごしています。

 

12月の年末調整、確定申告36件、2月申告4件、3月申告1件と、ここから先の事を考えたら恐怖で眠れません。

 

科目合格者が私しかいないので、担当も重たいところばかりを任されていますが正直キツイです。

 

Q.

そこでご質問なのですが、職歴がまだ2年目、正社員で働いたのもこれが始めて、辞める理由も、体力的に限界だからというような感じで、次に就職先がすぐに見つかるのかという不安があります。
会計事務所は、ほとんどがこのような所ばかりなのでしょうか

 

A.

うーん、就職がうまくいかなかったようですね。申し訳ありません。

 

それにしても、ひどいですね。

会計事務所がそんなところばかりとはさすがに思いません。

 

100時間残業で、その上、残業代なしとはすごいですね。

そもそも、毎月100時間残業のスタッフがいる事務所は、人不足がひどい首都圏でも、最大手クラスとベンチャー色の強い急成長の一部事務所くらいだと思います。そういうところは給与水準もそれなりに高いところが多いですし、普通は(みなし残業を超える部分については)残業代も支給されます。

100時間残業、残業代なしとなると、個人の確定申告が多い昔ながらのお爺ちゃん事務所の繁忙期くらいしかあまり思い当たりません。

(うちのとあるスタッフも、70代のおじいちゃん先生の事務所から移ってきて、繁忙期の確定申告期には2日くらいしか休みがなく、残業代が出なかったと言っていました)

 

一般的には、最近は時間管理がうるさいところが増えており、月60時間以上の残業は減る傾向にあると思います。大企業は月60時間残業を超えると50%の割増賃金になります(中小企業も平成31年4月から超過割増率が適用)

 

サービス業の生産性向上は、待ったなしです。政府は働き方改革実現会議にて、現在は事実上上限がない36協定の特別条項の上限時間を平均60時間、年間720時間とする方向で検討しています。複数月の平均で80時間、単月では100時間のブラック残業を規制する方向で議論が進んでいます。

 

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それにしても泊まり込み、朝帰り、2時帰りが毎月ですか。

税理士法人TOTALでは、おそらく、私以外はどれ一つ、過去に一度もやったことがある人はいないはずです。

そもそも、経営者の私自身でも、最近はほぼ記憶にありません。

(10年以上前に、私は1週間に3回徹夜したことがありましたが、もう遠い昔の話です)

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わからないのは、他の従業員は休日出勤をしておらず、カフェイン様だけが過剰な残業をしているとみられる点です。

 

一つには、科目合格者が他にいない事務所だという点はあると思います、

最近は人不足で、他の産業との人材争奪戦になっています。税理士試験受験生は、年率10%近く減り続けています。このため、税理士試験科目合格者は希少で、税務処理が難しい、比較的大きなお客様の担当を依頼されることが増えています。

特に、所長が高齢の事務所は若くて優秀な税理士受験生が入ってきません。所長が60代後半以上の中小会計事務所は税理士受験生にとって入ると危険になってきたのかもしれません。

 

もう一つは、カフェイン様の職歴が、会計事務所以外にないため、社会人としての経験不足、事務処理経験の不足がどれくらい処理能力の不足を引き起こしているのかという点です。

カフェイン様のキャリアからして、個人別担当売り上げが1200万円未満なら、残業時間の多さは、カフェイン様のスピード不足や段取りに問題があるのかもしれません。

もっとも、その場合でも、ここまでのブラック残業を放置している所長、番頭さん又はお局さんは問題です。担当を減らすか、生産性を上げる教育をすべきでしょう。

逆に、カフェイン様のキャリアで担当売上が2000万円級だとしたら、明らかに無理な仕事量で、体力的にも限界になるでしょう。

 

いずれにせよ、ここまで来たら、早めに転職しましょう。このままでは健康に問題が起きかねず危険です。

心配しなくても、カフェイン様は、今、会計業界で一番不足している税理士試験3科目合格の会計事務所経験者です。どこの事務所でも引っ張りだこで転職は容易でしょう。

 

 

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

返事がおそくなりまして申し訳ございません。

初めての就職なので、所長に洗脳されているようで
自分は仕事をさばくのが遅いものだと思っていました。

私の売上を計算した所3100万円ありましたので、
異常値であることが高橋先生のおかげで初めてわかりました。
ありがとうございました。

転職を検討してみます。

2018年7月29日 1:25 PM | カフェイン

>カフェイン様
売上3100万円ですか。
2年目としてはなかなかない数字ですね。

転職の成功をお祈りいたします。

2018年7月30日 1:16 PM | 税理士ひさ

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