20代前半 大学を中退して税理士試験受験

2015年03月07日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

今週、障害者の方を採用しました。
前向きに生きる姿は清々しいものがあります。
期待しています!

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J様からのお問い合わせです。

■年齢 22
■性別 男
■資格 英検2級
日商簿記一級 税理士科目(簿財相法)
■職歴 なし
■学歴 商業高校卒業
地元私立大学を1年時に中退
■会計事務所経験 なし
■居住地 東海地方

大学中退後はずっと実家で独学で勉強しました。
バイト等もしていなかった期間が3年近くあります。
昨年法人税と合わせて所得税も受験しましたが法人税のみ合格で所得税は不合格となりました。
今年所得税に再挑戦し五科目揃えるつもりです。
その後は地元の個人税理士事務所で修行という形で何年か勤めさせて頂き、20代後半に独立開業したいと考えております。

Q.1
税理士になってから個人事務所に就職するのは難しい、という話を聞きました。本当は五科目揃えるまで勉強に専念したいのですが、今から事務所でバイトなどをすべきでしょうか?

Q.2
独立開業後も高卒の税理士を雇う企業は中々いないという話も聞きましたが、本当にそうなのでしょうか?それならば今からでも大学へ行こうと考えております。

A.1
ここまで来たら、どちらでも就職はあまり変わらないような気がします。
むしろ、5科目取ってしまった方がすっきりするかもしれません。
今年の夏に就職すれば良いのでは。

心配しなくても、就職は可能でしょう。嫌う事務所もありますが、J様の年代でそこまで合格科目を持っている人は少ないですから。

社会人経験がない方を採用すると、当初は会計事務所は赤字です。
5科目もちに2年くらいで腰掛されたり、お客様を引き抜くようなことをされると最悪です。
所長としては、就職したら最低3年、できれば5年程度勤務してほしいなと思うでしょう。

A.2
あまり書くと、『税理士法人TOTALは学歴偏重ですか』って言われるし、スタッフには怒られるし、税理士事務所の就職には関係ないので書きたくないんですが…。

避けるのも不自然かなあ。

税理士の学歴については

税理士試験の結果
(「平成26年度(第64回)税理士試験結果」)から
税理士試験合格者の
80%が大学卒であり、
16%が高校卒・専門学校卒になります。

===================
税理士法人TOTALでは、税理士試験同様、おおむね15%くらいの方が高校卒・専門卒です。
税理士も2名おられ、現・次期本部長・社員となります。当社の採用・昇進基準は、仕事ができるか、結果を残したかであり、特に学歴による差別はありません。

参照 「税理士の学歴
===================

常識は、時代や地域によって違います。
首都圏では、大学進学率が高くなっています。
今や、東京では3分の2が大学に進学します。
このため、進学に向かない商業高校の評価が残念ながら低くなってきました。
(東海地方は、全国的にみても商業高校に優秀な生徒が集まっている地域です)
首都圏では、大学も地方国立よりも、早慶上智やMARCHの方が評価が高いことが多く、国立至上主義の地方とは意識にズレが生じています。

情報はマスコミ等を通じて東京から発信されます。
このため、地方の実情と合わないことも起こります。
ただ、東京一極集中の結果、時間差をもって地方に波及していくものも多くなっています。

高卒の税理士と契約する企業はもちろんあります。
高卒で独立している税理士はたくさんいます。
高卒でかなり成功している税理士もおられます。

今の60代以上の方だと、高卒・商業高校卒でも成功している税理士も珍しくありません。
私の恩師は普通高校卒ですが当時、県内でトップクラスの税理士事務所を作られました。

学歴が関係ないかというと、そうとも言えないのが実社会です。
私自身、開成学園・早稲田大学の学歴に助けられたことは決して少なくありません。
特に、金融機関(都市銀行、地方銀行、保険会社)、上場企業(ハウスメーカー等)、医者、学歴が高い社長ほど学歴を気にする傾向があります。
大学を出たということは、一定の基礎学力と若い時期に一定の努力をしたという証明にはなります。

この傾向は、インターネットの普及により、情報化社会が進展し、ますます大きくなるような気がします。
昔は一部の人しか知らなかった税理士の学歴が、今やホームページで簡単に確認できる時代です。

もちろん、一方で、高卒を逆に利用して差別化に成功している税理士もいます。
それに、お会いした後は、人柄や営業力勝負で、学歴は重要ではありません。

ただ、検索してみるとわかると思いますが、
50歳以下の世代で(2世でない)開業税理士で、一定以上の成功をしている人は合格者の比率以上に大卒の方が多くなっています。

J様は、大学に行く時間がもったいないと思うかもしれません。

日本の大学(特に文系)は、
職業訓練の場ではなく、広く一般教養を学び、
自分が何者であるか、
これからどう生きてくのか
を迷いつつ自己鍛錬する場でもあります。

私の大学での一番の思い出は、
ゼミの卒業旅行で
「運命はあらかじめ決まっているのか?
人が考えること、努力することは宇宙の歴史の中で意味があるのか?」
仲間と夜通し話したことです。

急ぐ気持ちもわかりますが、
『人生に無駄はない』
ともいいます。

お若いですし、行くべきか迷っているなら、そして何かを見つけられると思うなら、今から大学へ行ってもいいかもしれません。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

質問者のJです。
お忙しい中質問に回答して下さりありがとうございました。不適切かもしれませんが、この場をお借りしてお礼申し上げさせて頂きます。
また、学歴に関する事など、答えにくい質問にも回答して頂き、ありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。

高橋先生の助言、非常に勉強になりました。先生の助言を元にこれからよく考え自分の進むべき道を見出していこうと思います。失礼しました。

2015年3月9日 9:36 PM | J

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