30代前半、2科目経理から税理士法人への転職

2021年03月27日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「30代前半、2科目経理から税理士法人への転職」

 

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ムッシュ様からのご質問です。

■年齢 32歳
■性別 男性
■資格 日商簿記1級、簿記論・財務諸表論・FP2級技能士・TOEIC800点
■職歴 メーカー経理・経営企画 3回
■学歴 早慶上智のうちいずれかの文学部
■会計事務所経験 なし
■居住地 首都圏

こんにちは。いつも楽しく記事を拝見させていただいております。

 

私は新卒で入社した会社が、サービス残業が横行する会社でして、すぐに転職してしまった為、上場会社に入社するまで3回の転職を経験しております。
現在は日商簿記1級の資格と実務経験を生かして、上場子会社で課長をさせていただいております。

 

相談させていただきたかったことは、今後のキャリアプランになります。
税理士法人に行くべきか、企業勤めのままCFO等のポジションを目指していくべきか方向性が定まりません。

 

近況を書かせていただくと、昨年会計2科目に合格したので、今は腕試しで国税徴収法を勉強しているところでして2カ月で理論暗記を三分の一ほど終えたところです。なかなかに根比べの試験だなと感じています。
この先、数年かけて科目合格を目指していくべきか通信or夜間の税法大学院に行くか悩んでいます。妻は子供がまだ小さいので、あまりそこに時間と金銭を投資しすぎて欲しくないようです。

 

管理会計の歴が長かったせいか税務スキルを事業の為に役立てたいという思いがあるのですが、上記に書かせたいただいた通り明確なビジョンが定まっておりません。

 

Q.
この状況から何か思うところがあれば、ご指導もしくはご叱咤でも構いませんので、コメントいただけると助かります。

 

A.

30代前半だと迷いますね。
キャリアチェンジするならそろそろラストチャンスかもしれない。
今なら税理士として一定以上、専門職として成功するかもしれない。

上場子会社の経理では、裁量の幅は狭く、事業のために役立っているという実感も感じにくいかもしれませんね。

 

ただ、<妻は子供がまだ小さいので、あまりそこに時間と金銭を投資しすぎて欲しくないようです。>

奥様は小さいお子さんと24時間向き合い、ストレスを感じ続けているでしょうから気を使って家事や育児を二人で分け合う必要もあり、時間やお金を自分のためだけに使うわけにはいかないでしょう。

 

この時期の言動によっては愛情・信頼関係を失う危険性があります。
CFOのポジションがどれだけムッシュ様にとって魅力的か、

将来の年収、そこに至る確率・期間、成れたとして何歳くらいまで働けるか、

今いる先輩方からお話を聞いたりして調べてみましょう。

あとは奥様の将来の仕事、子育てをどうするのかを考えてみましょう。

直接、冷静に話し合いができるのが理想ではあります。
ただ、投資しすぎて欲しくない『ようです』という表現からも
目の前の子育て追われておりなかなかそこまで考える余裕はないのでしょう。

性格や今までの生き方から推論することになりそうです。

 

 

最終的には自分の心に聞くしかありませんが、

それらを総合的に判断してそれでも税理士法人で働きたいという思いがあれば受験しましょう。

 

>この先、数年かけて科目合格を目指していくべきか通信or夜間の税法大学院に行くか悩んでいます。

 

これは、国税徴収法に合格してから悩んでも良いと思います。

まずは、あまりお金と時間をかけずに、目の前の国税徴収法に合格しましょう。お気づきのようですが、ミニ税法も侮れないものがあります。
合格率はどの税法も似たようなものですし、税法受験生の多くは、簿記論・財務諸表論に合格しており、

受験生の母集団のレベルが会計2科目とは明らかに異なります。

 

上場子会社と比べて、税理士法人で働くことのいい点は、

(1)専門職として長く仕事ができる
上場(子)会社と違い、60歳定年はない。税理士は平均年齢で60歳を超えます。
おそらく、ムッシュ様の会社の社員の方の平均年齢は40歳前後でしょうか。
実際に働ける期間は10年くらいは後ろに伸びるでしょう。

人生100歳時代にはこれはかなり魅力的です。

 

(2)脇役ではなく、主役になれる

上場子会社では、経理課長やCFOは、バック業務の一部をになう脇役という面もありますが、
税理士法人なら、メイン業務そのもののため、主役になります。
ムッシュ様の管理会計・経営企画の経験を生かすのには、子会社では難しいような気もします。

子会社の裁量の幅がわからないので、確認してみてください。

 

(3)社の内外のたくさんの方から感謝の言葉がいただける

お客様や社内から直接、感謝の言葉をいただけることも多く、モチベーションが上がります。

 

熟慮してなお、転職する場合は、

サービス残業がない、いざとなったら大学院にも通うことができる税理士法人を探しましょう。
・残業代の取り扱い(みなし残業の場合はそれを超える部分も)
・今までに何人大学院に進学しているか
これらは、ホームページに書いてあることはある種の(採用)広告なので必ずしも真実とは限りません。
面接で 直接、実績等の数値を聞いてみましょう。
答えてくれないとことも多いでしょうが、その反応によってわかることもあります。
質問をしたことによって採用されにくくなるという面もあるでしょうが、
そういう税理士法人に勤務したいとは思われていないでしょうからむしろ助かるでしょう。

 

3科目あれば大学院進学さえできれば、いずれ税理士になれます。

(働きながら大学院進学もできる税理士法人は、TOTALを含めて確実に増えています)

繰り返しになりますが、税理士試験を受ける場合は、まずは3科目合格を目指しましょう。

 

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コロナウィルスの影響なのか、昨年からの特徴としては
新卒や、企業勤務者で今までにないタイプの方が会計事務所・税理士業界に入ってきてくれていることを感じます。
実際、TOTALでは新卒の若者が過去最高の人数になりましたし、しっかりした企業からの転職も増えています。
昨年春まで、『コンピューターやAIによって いずれ消滅する不人気業界』と言われていたのが噓のようです。

 

コロナによって、生き方・働き方をじっくり考える時間が出来ました。

先が見えない不安定な世の中だから、安定して長く社会の役に立ちたいと感じるのでしょう。
税理士は、国家権力の基盤になる税金を扱う仕事なので、安定性はあります。
経験の価値が高い、知識の蓄積が必要な仕事なので長く働くことも可能で、健康状態と新しいものに取り組む意欲さえあればいくつになっても働けるでしょう。
TOTALでは70代のスタッフも出始めました。

 

社員の個性を生かしつつ、どう育てていくか、どう成長してもらうか

これを考えるのが私たち経営者の課題なのでしょう。

 

TOTALグループでは
みんなちがって、みんないいい
~あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい~
で人と向き合う文化を目指しています。
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また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。 ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

いつもお世話になっております。
お忙しい中、ご回答ならびにご返信ありがとうございました。

拝読致しました。
思考が整理できました。まずは三科目合格を目指します。

2021年3月28日 6:13 PM | ムッシュ

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