税理士事務所への就職 はじめの一歩

2015年03月08日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

 

ちょっと気が早いですが、税理士法人TOTALでは税理士試験後に9月入社する方向けの採用を春から始めています。
来月から新卒の新人も入ります。新しい風を巻き起こしてくれるか楽しみです。

 

先週、来年の新卒採用に向けた動きも始まりました。
経団連加盟企業はまだ内定は出せませんが、
うちは、もちろん経団連には加盟していないので
ちょっとではなく、ずいぶん? 早いけれど
(入社は来年の春、まだ一年以上あります)
内定第1号を出しました。

 

 

 会計業界は、会計事務所経験者、経理経験者 優先で新卒採用が少ない業界でした。中小企業の社長、資産家という社会的地位の高い方、年齢が高い方をお客様にするという仕事の性質上やむを得ない面もありす。

 

それでも、最近の採用難、人不足を考えると、会計業界も新卒採用をして、自前で人材を育てる力を競う時代になっていくのでしょう。

 

 

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カフェイン様からのお問合せです。

■年齢 29歳
■性別 男
■資格 日商1級・簿記論・財務諸表論・消費税法
■職歴 アルバイト程度
   (19歳~21歳引きこもり)
■学歴 19歳でIT系専門中退
    21歳で簿記系専門再入学
■会計事務所経験 なし
■居住地 福岡
■その他(特殊事情等)

高橋先生。いつも拝見させて頂いており、会計業界がどのような所かを勉強させて頂いております。

私は、現在小売店でアルバイトをしながら所得税の勉強をしておりますが、年齢・学歴・職歴に相当な不安を抱えており、かなり焦っております。

 

私が目指し始めた当初会計事務所へ持っていたイメージは、デスクとパソコンに向き合うというものでした。

 

会計事務所へ就職して行った友人の話を耳にすると
・休日もなく朝4時帰り朝8時起きの生活が1月以上も続いている
・何もわからないまま担当を持たされてお客様の所へ訪問させられる
・外回りでお客様に質問されてもわからないことだらけである

など聞かされ、労働時間と外回りへの不安、動く事が多いという不安が大きくなり、会計事務所への就職がとても怖くて不安でたまらず二の足を踏んでいる状態です。

 先生にご質問させて頂きたいのですが

Q.1
税理士試験3科目合格は、私のような経歴でも面接の際にプラスの材料に働きますでしょうか?

 

Q.2
私のような会計事務所への恐怖心を持った者はやはり、会計事務所への就職は向いていないでしょうか?

 

Q.3
会計事務所で男性が外回りをせずに正社員として採用されるような例はありますでしょうか?

 

Q.4
私の持つ不安を少しでも解消する方法があればご教授お願いします

 

A.1
税理士試験3科目自体が希少です。もちろんプラスに働きます。
税理士試験受験生が減っており、科目合格者の取り合いが起きています。
今では、2科目合格でもいいというところが増えています。

 

A.2
福岡は、会計事務所激戦区で、大手税理士法人の出店が続いており、防衛する側の地元会計事務所との競争が厳しいでしょう。

それでも、
「休日もなく朝4時帰り朝8時起きの生活が1月以上も続いている」
などという職場はちょっと考えにくいです。
月間400時間くらい、残業でも200時間超ですよね?
友人の話は、割り引いて聞いた方が良いと思います。
入社当初は、仕事の段取りが悪くて、たまたま遅くなった日があるというならわかりますが…。
そんな状態を続けたら、普通、労災になります。
月間残業時間が100時間を超えると労災事故が起きやすくなります。
労務管理者・経営者の責任が問われます。
最大手や若手の税理士法人の一部が労働環境が厳しいのは事実ですが…。

 

「恐怖心」は「無知」から生まれます。

「知識」があれば、「恐怖心」は克服できます。

 

きちんと就職活動をして、若手の荒い事務所や給料が高い大手税理士法人を避ければ極端な残業はないはずです。
普通の会計事務所の職員は、無理な残業ができない主婦が多いのですから。

 

3科目合格者を欲しがるような税理士事務所が最初から給料が高いのには、当然理由があります。早目に結果を求めるため、教育が不十分な状態でレベル的に無理な仕事を投げるか、長時間残業をさせるかしかなくなるのです。

 

カフェイン様が、会計事務所の就職に向いていないと考える必要はありません。
自分に向いた会計事務所を探せばいいだけの話です。

 

A.3
多くの中堅会計事務所は、教育・管理体制が不十分なため(個人別)担当制で、外回り担当者が(会計入力や)税務申告書作成等も行っています。

 

この場合は、男性正社員は外回りをすることを求められます。
デスクでパソコンに向き合うというよりは、専門知識を持ったルートセールス営業マンに近いでしょう。

 

受験生に人気のある成長著しい若手事務所や、人使いが下手で離職率が高い税理士事務所などでは男性正社員が足りませんから、外回りをせずに正社員として採用されるのは難しいでしょう。

男性が外回りをせずに正社員として採用されるのは

 

(1)小さな税理士事務所
外回りするのは所長が原則。担当者は入力とかばん持ち。
長期間勤務のお局さんがいると教育してもらえるので理想的。

 

(2)製販分離のできている中堅以上の税理士事務所
スタッフが落ち着いている事務所なら、外回り担当者と入力担当者を分けることが可能です。

 

どちらかというと、所長税理士が50代~60代くらいの方が大丈夫な事務所の確率は高いような気がしますが、事務所によって差が大きいのでよくお聞きしないと実際のところはわかりません。
とりあえず、たくさん履歴書を送って、面接の際に直接聞いてみるしかありません。

 

ただし、外回りをしない以上、他の正社員より給与が安くなることは少なくとも最初は甘受する必要があります。

 

===================
税理士法人TOTALでは、一定のジョブローテーションののち、徐々に製販分離を進めています。
最近では外回りをしない男性正社員も採用しています。
また、コミュニケーションや営業力を見て外回りの担当を減らしているベテランや中堅の男性正社員もいます。
===================

 

 

A.4

繰り返しになりますが、
まずは、その会計事務所の情報をきちんと集めて「知識」を増やすこと

 

ホームページがあるところならそれをじっくり見る

 

年齢構成:若すぎないか(30才ちょっとなら離職率が高い)
男女比:男の比率が高いと外回りは必須。
明るく元気、体育会系のノリはカフェイン様は難しいかもしれません。

ホームページがなくても、求人票に社歴や男女別従業員数はのっています。
日税連のHPで税理士検索をすれば、税理士の登録年はわかりますからイメージしやすくなります。
面接訪問時の他のスタッフの様子も参考になるし、不明点は聞けばいいだけです。
最初は誰でも、不安ですし、出来ることも限られます。

カフェイン様の場合は、ひきこもり経験があること、アルバイト程度しか職歴がないことを考えると、給料は安くても、落ち着いたゆっくりしたペースの事務所が良いかもしれません。

 最初は外回りができなくても、社内でコミュニケーションスキルを磨けば、いずれ外回りもできるかもしれませんし。

 

税理士事務所への就職という
 はじめの一歩を
  勇気をもって踏み出してみましょう。

 

 

 

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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