プロゲーマーからの転身 試験勉強に事前知識は必要か?

2025年03月13日高橋

ご質問いただいた内容

相談者

お名前:プロゲーマー
年齢:20代
性別:男性
学歴:私立大学 文系
職歴:なし
会計事務所経験:なし

相談内容

現在プロゲーマーを引退後、就職活動+資格獲得を視野にしてます。税理士か社会保険労務士を考えていてどちらも仕事内容や勉強内容について興味があり、事前知識が必要か知りたいです。

1.税理士については簿記検定の勉強をせずいきなり税理士の勉強を始めるのは困難でしょうか。やはり急がば回れで2級までは獲得した方が良いのでしょうか。

2.また社会保険労務士についても事前知識がないと難しいのでしょうか。

3.一般企業に勤めながら資格獲得を目指す予定です。個人的には比較したときに収入が多い税理士の方に挑戦したい気があります。

回答

プロゲーマーという仕事は、華やかで注目される仕事である反面、長時間の練習、健康管理の大変さ、収入の不安定さ、キャリアの短さなど大変な側面もあると聞いています。実はTOTALグループに、元プロゲーマーの方が在籍していたこともありました。質問者のプロゲーマーさんは、引退後のキャリアパスとして税理士と社会保険労務士、特に税理士に興味を持っておられそうなので、できる限りプロゲーマーとしての特性を踏まえながら回答していきたいと思います。

1.税理士試験勉強をするにあたって事前知識は必要か?

税理士や社会保険労務士の試験勉強をするにあたって事前知識は必須とは言えません。

税理士試験合格に簿記の知識は必須です。会計科目である簿記論や財務諸表論だけでなく、税法科目のうち所得税法、法人税法、消費税法にも簿記が必要です。ただ、一般的には簿記論、財務諸表論から勉強を始めますから、この過程で簿記の知識は自然と培われます。簿記2級の出題範囲は簿記論と若干異なりますから、税理士試験合格という点では、その勉強時間分の効率が悪くなります。

2.社会保険労務士試験についても事前知識がないと難しい?

社会保険労務士試験も特段の事前知識は必要でないと思います。

社会保険労務士試験は範囲が広く、膨大な量の暗記が求められます。事前知識があるに越したことはありませんが、普通の受験生が持つ事前知識よりも受験勉強で学ぶ知識の量が圧倒的に多いため、相対的に事前知識の優位性が薄まります。

3.プロゲーマー・税理士・社会保険労務士

プロゲーマーという仕事は、日本FP協会発表:小学生「なりたい職業ランキング(男子)」で、2021年度から最新2023年度版までずっとベスト10入りしていますね。競争相手も多い中、プロゲーマーとして活動し続けるために多くの練習時間を費やしたことでしょう。
またプロになるまで実力を上げられたということは、集中力や分析力が優れていた証左とも言えるでしょう。この時間、能力をぜひ、受験勉強と就職する一般企業での仕事に生かしてください。しっかり働いた勤務経験は、税理士や社会保険労務士になってからも必ず生きます。

ご自身で色々調べた上で、どちらかというと税理士の方に興味があると読みましたので、注目されている収入面を中心に税理士がよいとされる点を挙げてみます。税理士の平均年収は、日本税理士連合会:第6回税理士実態調査報告書(平成27年3月発表)によると、雇われている税理士(補助税理士)が597万円、税理士法人の役員税理士(社員税理士)が886万円、独立開業している税理士(開業税理士)が744万円(総所得金額)でした。開業税理士のうち、20人が1億円超、94人が5,000万円~1億円と回答していました。
また、平均の売上高(平均収入)は開業税理士が2,205万円、税理士法人が1億3,236万円でした。10年前の調査なので、現在は全体的に上がっていると思います。平均年収は20%前後増加しているのではないでしょうか。

一方で社会保険労務士は、調査によっては上記税理士の平均年収よりも高い数字が出てきます。ただこれは、大企業に勤めているいわゆる勤務社労士のデータが影響しており、一般的には税理士の方が平均年収等が高いとされています。

プロゲーマーの平均年収を調べようとしたのですが、確たる調査結果を見つけることができませんでした。プロゲーマーの平均年収を400万円、日本人プロゲーマーの最高年収を1.8億円としているHPがありました。

トッププレイヤーの稼ぎがいいのはどの業界でも変わらないでしょうが、税理士は平均年収が相対的に高く、ある程度稼げている人が多いというのが特徴です。

そしてその収入は長期的です。税理士の平均年齢は63歳くらいと言われていますし、実際に70代、80代で現役で働いている税理士もいます。開業していれば定年がありませんから、再雇用で給与が減るということもなく、所得面でも現役であり続けることが可能です。

また、その収入は安定的でもあります。税理士の主要収入は、顧問契約に基づく毎月の顧問報酬です。顧問契約は基本的に、信頼関係が崩れなければ解約されません。だからこそ、税理士業は他士業と比べて、経営として成り立ちやすいのでしょう。税理士一人の事務所でも、組織化して大人数でやる場合でも、それぞれの規模で、様々な経営スタイルができるのです。

プロゲーマーさんは「比較したときに収入が多い税理士の方に挑戦したい」とされていますね。最大瞬間風速ならもっと稼げる業界、職種もあるのでしょうが、税理士には長期・安定という側面もありますから、「収入」で税理士を選択しても後悔をしないかもしれません。

最後になりましたが税理士試験、社会保険労務士試験のどちらを選択するにしろ、大原学園(資格の大原)、TAC等の大手と呼ばれる専門予備校に通うことをお勧めします。WEB通信でも構いません。スタッフその他の合格実績を見ますと、大手に通っていた方が受かりやすい傾向です。

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税理士法人TOTALでも60代、70代の税理士が活躍しています。体力や気力の維持に努めていただいて、今後も元気で働き続けてもらいたいと思っています。

また、税理士法人TOTALでは税理士試験受験生の支援制度の一環として、大原学園(資格の大原)、TAC等の専門学校の受講費用について、年間で1科目20万円、最大100万円を補助しています。(※社内規定あり)TOTALの多くの税理士受験生がこの制度を活用し、仕事と試験勉強の両立を目指しています。

この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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