20代後半女性、税理士事務所に就職すべきか 科目合格を目指すべきか

2014年08月20日高橋

税理士事務所・会計事務所の就職情報 の 税理士 高橋寿克です。
税理士事務所・税理士法人の採用シーズンも佳境を迎えています。
今年は、例年になく売り手市場で大原やTACの就職情報誌がいつになく分厚くなっています。
従来の白黒1ページから、カラー2ページにアップグレードした会計事務所が目立ちます。税理士法人TOTALは白黒のままなので、若干?(相当?)古臭く見えるので頭が痛いです。
ちょっと出費は痛いけど次回はうちもカラー2ページかな。
特に中堅以上の税理士法人の人不足は深刻で、会計事務所「経験者」はどこでもひっぱりだこです。
未経験者の方にとっても、ずいぶん広き門になっています。
内定を複数持つ人も多く、中には5個以上という強者(つわもの)も。
税理士法人TOTALを選んでくれた方も多いですが、
他の会計事務所を選択なさって残念ながら縁がなかった方もおられます。

 

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maco様からのお問合せです。
■年齢 26
■性別 女
■資格 簿記2級
■職歴 アルバイトのみで接客業中心
■学歴 日東駒専よりワンランク上程度
■会計事務所経験 なし
■居住地 首都圏

 

お忙しい所申し訳ありません。
私は、大学卒業後は受験に専念し、今回で2回目の受験でしたが(簿記論
財務諸表論)、あまりいい結果が得られません。

 

Q.
アルバイトで構わないので、会計事務所さんに応募をしたいのですが、
(1)科目合格するまでは控えた方がいいのでしょうか
(2)社会人として、一旦社会に出ながら資格の勉強をするべきなのでしょうか
非常に悩んでいます。

 

A.
今年(平成26年 第64回)の税理士試験は、簿記論(と法人税法)が極端に難しかったようですね。
せっかく頑張ったのに手ごたえが感じられなかった方も多いのではないでしょうか。
財務諸表論も、難易度、分量共に例年以上で、経験が浅い方は苦戦しているようです。
こういう年は、合格ラインも読みにくいので過度に悲観しても仕方がないと思います。
無駄に試験結果を待つのではなく、今後に向けて人よりも先んじるように努力したいものです。
もっとも、「そんなに上手に切り替えできないよ」という声が聞こえてきそうですが。
maco様の場合、もうご自身の中で答えは出ていると思います。
(アルバイトで構わないので、会計事務所さんに応募をしたい)
(2)社会人として、一旦社会に出ながら資格の勉強をしましょう。
これを書くと、ネットでは男女差別・時代錯誤と非難されたこともありますが、一個人の私的見解だと、笑ってお許しいただけると幸いです。
女性の場合と男性の場合では、この問題に対する私の回等は若干異なります。

 

20代後半女性の場合は、
(1)の科目合格するまで就職を控えるべき人は、
人生の優先順位一番が、税理士試験の合格というかなり偏った方の場合に限られます。
会計事務所は、結婚、出産、旦那さんの転勤等にも対応できる、日本中どこにでもあり、経験さえあれば比較的中年になっても再就職が容易な素晴らしい仕事だと思います。
また、受験に長く専念すると、職業人としても育つ時期が遅れますが、それ以上に、恋愛・結婚等のプライベートを充実させることも難しくなります。
アルバイトで入っても、受験や仕事の状況で正社員になることは容易でしょう。
それに何より、今は空前の売り手市場です。アルバイトでも比較的、気に入った事務所を選びやすい状況です。
まずは、税理士事務所に就職し、大変ですが、試験との両立を頑張ってほしいと思います。

 

参考までに
20代後半男性の場合は、
税理士資格を取らないなら、会計事務所に勤務し続けても、いずれ無資格という負い目を感じ、
小さな会計事務所なら事務所の消滅時に転職できるのかという問題が生じますし、
(高齢の「男性」職員の転職は厳しいものがあります)
大きな税理士法人なら、無資格者のポジションには限界があります。
もちろん、税理士として独立することはできません。
他の仕事を探した方が良かったということになりかねません。
このため、男性は、30代のうちには税理士資格を取得できるようにすべきでしょう。
(1)税理士試験科目合格するまでは就職は控えた方がいいでしょう。
ただし、受験専念は最大3年までにすべきで、その時点で1科目の合格もないようなら、残念ながらあまり税理士試験に適性はないというべきでしょう。
この間に2科目以上、できれば3科目合格しておけば、官報合格も働きながらでも十分可能です。
また、どうしても残り2科目合格できない場合でも、大学院に進学ということもできます。
(2)税理士試験ゼロ科目で、社会人として、一旦社会に出ながら資格の勉強をする方が良いのは
経済的な事情で受験専念ができない場合や、地頭がかなり優秀かつ自分を律するのが得意な方の場合などに限られるように思います。
20代後半から記憶力やスピードは落ちますので、できるだけ若いうちに試験勉強を進めることを男性にはお勧めします。
今月末、男性税理士の結婚式が予定されています。彼は官報までに年数がかかり苦労していましたが、今は公私とも充実しておられます。
私はスピーチが苦手なので、頭を悩ませています。

 

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

高橋先生、お忙しい中での迅速な返信をどうもありがとうございました。
実は、先日の某専門学校での就職面談会に参加致しまして、質問への返答をいただいた昨日にアルバイトでの採用を3件頂きました。自分でもこの結果に大変驚いているのですが、正直どこへ行けばいいのか明確に答えが出せず、現在はそちらの方で頭を悩ませています。大手ですと、アルバイトでも忙しいイメージがあり、残業なし、試験前休みありの少し規模の小さい法人さんに行こうか、悩んでしまいます。
採用結果が出るまで、この活動を続けることに不安を感じたため、失礼ながら今回質問をさせて頂きました。
回答はとても参考になりました。本当にありがとうございました。

2014年8月21日 9:23 AM | maco

>maco様
未経験なのに、内定が3件(以上)とは素晴らしいですね。

パートでも、一部大手は忙しいのは事実です。
受験・家庭両立支援をうたっている職種のパートの方が、連日22時くらいまで残っていて、
正社員と違って時給計算なので正社員(見なし残業時間が多い)よりは給料が高いのが救い なんていう極端な例もあります。

もちろん、大手のパートのみんなが忙しいわけでも、中小だから時間通り帰れるというわけでもありませんが。

未経験者で受験生の場合、家の近くにある、落ち着いた(所長が50歳以上など若すぎない)、残業が少ない、試験休みがある事務所の方が良い可能性が高いと思います。
3年程度勤務して居心地が良ければ正社員になるも良し、会計事務所経験者として他の会計事務所に転職してキャリアアップを図るのも良いと思います。

2014年8月21日 11:53 AM | 税理士 高橋寿克

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