60代後半の公認会計士の国際会計事務所からの転職

2019年04月30日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「60代後半の公認会計士の国際会計事務所からの転職」

 

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めい様からのご質問です。

 

■年齢 28歳
■性別 女性
■資格 日商簿記2級 TOEIC 835
■職歴 現在、零細会計事務所(国際系)にて約2年勤務。その前はIT系の会社にて勤務。
■学歴 地方国立大
■会計事務所経験 所長が60代後半公認会計士の会計事務所(国際系)にて2年程勤務。諸事情により現在所員は私1人です。
■居住地 東京
■その他(特殊事情等)
現在(2月)、外資系法人の法人税・消費税申告と個人の所得税申告で完全に仕事が回っていない状態です。私の主な仕事は小規模の会社の経理・総務周り(領域が違うはずなのですが算定基礎届まで作成しています…)かつ税務申告とその他雑用です。

 

所長が高齢でPC周りも疎く、英語の能力もそれほど高くないため、国際系の仕事を私が回している状態です。

 

今の状況になるのは簡単に予想が出来ていたので、半年前程から価格の改正(外国籍の顧客に対して顧問契約等は基本的に結んでいないため、確定申告業務以外に対しても作業が発生しますが、それに対して所長からは「たいした仕事じゃないから料金なんて請求できない」と言われています。そのため、業務他の会計事務所に比べて、報酬価格が低すぎる状態です)を申し出て、実際に他の会計事務所の価格を参考に価格表まで作成したのですが、価格が改正されることはなく、今も安価で仕事を受注しています。

 

それならばせめて記帳業務はアウトソーシングしてくれと頼んでも秘密を保持する目的で断られ、代替案として所長も記帳業務を手伝うことを申し入れられましたが、結局、所長は私に仕事のすべてを押し付けて海外旅行に2週間行ってしまいました。ちなみにお土産は前回の海外旅行(所長はよく海外旅行に行きます)の余りものでした。

 

もう限界で、外資系法人を顧客に持つ中規模税理士法人等に転職を検討しています。
ただ、私のスキルに不安があります。税務申告書などの作成経験等はあるものの、確認作業を行う先生が前述した通りですから私の税務申告書は不正確なものだと自覚しています。また、クライアントとの面談の際にも私の知識、英語力では満足なやりとりができていないと感じることが多々あります。仮に転職に成功したとしても業務についていけないのでは?と不安で転職するのが怖いです。

 

Q.

知識、経験がつくまで今の職場で耐えるべきでしょうか?

 

A.

まずは返事が遅くなってすみません

(ぎりぎり今日まで「平成」、明日から「令和」です)。

 

おそらくもう結果は出ていますよね。

耐える必要はないし、転職すべきだと思います。

 

外資系の法人は決算が個人の確定申告時期と被ることが多く大変ですよね。

お疲れさまでした。

 

月額算定届の作成は社会保険労務士の仕事で、営業として行えば違法です。

個人の公認会計士の事務所は、(今の)BIG4出身者は古巣の人脈で外資系のお客様を取りやすい若い時期があったのでそれなりに潤っていましたが、60代になると人脈は枯れています。

PC周りも疎く生産性が低く英語の能力もないなら、厳しい言い方ですが事務所の上がり目はありません。

 

品質で勝負できないと、後は価格しか差別化要因がないので、お客様の言いなりで作業を請け負うしかありません。値上げはもちろんできませんし、値下げされてしまうかもしれません。

 

めい様への労いはなく、繁忙期に2週間も海外旅行に出かける。前回のお土産をここで渡す。気遣いが足りませんよね。

いやあ、すごいですね。ある意味その自由さはうらやましい。

 

人に辞められると面倒だ、人は新たに採用しにくくなったなと思いつつも

もう、所長公認会計士は、何かに縛られずに、自由に生きたいのかもしれません。

今後は、徐々に仕事も減らして自由に一人でできる仕事だけをやっていけばいいと本音では既に思っているのでしょう。

 

めい様が心配しなくても、転職して通用するかどうかは、次の会計事務所が判断してくれるはずです。国際税務もそこまで高度でも特殊でもありません。

不足する技術は仕事の中で教えてもらったり学んでいけばいいのです。

 

経営者との信頼関係が全くないまま働いてもつらいだけでしょう。

きちんと探せば、次の会計事務所では少なくとも今よりは嫌な思いはしなくて済むでしょう。

 

 

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真面目な経営者は、部下との信頼関係を築くために、部下のことを考え

労働者が思っている以上に努力をしています。

 

部下の知識が足りなければ知識を与え、

業務が難しければ標準化して簡単に見せ

人を育てて管理体制も整えます。

新しい来たるべき時代を予測して組織を率いていきます。

 

先日、TOTALを辞めた税理士数人と飲みましたが、

「独立したら高橋代表が言っていた意味がわかりました」

「勤務のままなら永遠にわからなかったかもしれませんね」

と言われました。

労働者と経営者は立場が違うので完全に分かり合うのは難しいのかもしれません。

 

経営者は日々、努力を続けています。

経営者が成長するためには

「人に会い、旅に出て、本を読む」

必要があると 私は思います。

 

海外旅行は、異なる文化に触れて視野を広げるまたとないチャンスです。

 

家族が許すなら、海外旅行に行きたいのですが、

どうしても、仕事の都合やスタッフ・お客様の気持ちを考えると

3連休、お盆、年末年始、GWといった超ハイシーズンにいくことになり、旅費がかなり高くなります。

貧乏性な私は、それでもなんとか工夫してかなり節約して旅行をしています。

 

英語が得意な方はうらやましいですね。

私は英語が苦手なので、TOTALでは国際業務は私以外のスタッフが進めてくれています。

最近は中国人スタッフも増えてきており、入管業務を考えると令和の開国に向けてベトナム人スタッフも募集中です。

 

史上最長の10連休、スーパー・ゴールデンウィークの真っ最中ですが、

今年は子供の受験で家族旅行・海外旅行はお預けです。

 

その分、人に会い、本を読み、

そして文章を書いています。

なんとか、本日4本目の記事を書き終えました。

 

ご質問をしてくれた皆さん、

回答が大変遅くなって申し訳ありませんでした。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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