上場企業メーカーから会計事務所への転職

2010年01月04日高橋

東京都と千葉県の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。
M様からのお問合せです。

 

内容:

■ 年齢 30歳
■ 性別 男
■ 資格 税理士試験未受験(簿記・財表勉強中)、1級FP、簿記2級
■ 職歴 一部上場企業(メーカー)で入社以来人事部門に在籍
■ 学歴 旧帝大(京大)
■ 会計事務所経験 なし
■ 居住地 関西
■ その他 今年子供が誕生、夫婦共働き(なお、妻の理解はあり)

 

入社以来(6年半)、報酬・評価関係の企画や事務取りまとめ、退職年金の制度管理に携わってきました。部下を持つ身分にもなりましたが、一方で社内の根回しや調整という「典型的サラリーマン業務」が相当増えており、自らの仕事への意義や満足感に疑問符がつきまとっています。

 

自問自答した結果、「高い専門性を身に付け、他人を助ける仕事がしたい(やる気のある人を応援したい)」「将来(40歳頃?)は独立して、自分のリスクの下で自分が決めたようにやりたい」という気持ちから、税理士を目指して今夏より勉強を始めました。

 

Q1. 職歴(未経験)や将来の独立計画から考えると、少しでも早く業界に入っておくべきかと思っており、具体的には、来冬の簿・財の試験結果をみて新卒並み給与も覚悟で転職しようと考えています。このタイミングの転職にあたってはどういう点に気をつけるべきでしょうか。

 

Q2. そもそも、独立に適した年齢とはどの程度までとお考えになりますか。

 

Q3. 現在の会社に在籍中に、特に重点的に学び、身につけておくべきポイントがあればご教示いただけませんでしょうか。

 

追伸
 当方のような全くの異業種の者からすると、こういう情報発信をいただけていることは大きな参考になり、大きな力となっています。お仕事がお忙しい中に、さらに情報発信で大変なこととは存じますが、今後とも楽しみにしております。

 

A.
税理士業界がより良い業界になるように、この業界を志す方がミスマッチで失望することがないように考えて書いているのでうれしいですね。

 

A1.
M様の場合、学歴・職歴ともしっかりしているので、簿財合格である程度、会計事務所を選べると思います。

 

注意点は、

 

(1)   8月の試験終了後、合格発表まで税法を勉強しておく

「やる気のある人を応援したい」場合、選択は大学院免除を狙わないなら法人税法、狙うなら消費税法がおすすめです。簿財はM様の頭脳なら、算数程度に感じて苦痛ではないと思います。税法は、逆にクレバーだと、はまると苦痛です。最終合格のためにも、就職のためにも出来るだけ先に進んでおくことをお勧めします。

 

(2)   自分にとって最初どんな事務所が良いか考える

最初の会計事務所の選択は、その後の技術の基本になるので決定的に重要です。候補としては

 

・     税理士が30代~40代前半、職員5~10人の会計事務所

 営業力があり、将来の参考にはなるが、粗くて、教育・管理は駄目なことが多い。待遇もあまり良くない。大企業出身者の場合、うんざりして離職する可能性も高い。税理士の人柄の見極めが大事。

 

・     税理士が50代、職員10人くらいで安定している

 会計事務所ベテラン職員も多く、業務は最先端ではないが安定している。待遇は相対的に良い

 

・     職員30人以上の税理士法人

 業務範囲を絞るか(医療・資産税等)、激務で受験と両立できないか(税理士法人TOTALは違いますが、給料が高い分、激務のところも多いです。)、極端な体育会系か、このクラスになると情報も入手可能なので良く調べましょう。

 

A2.
理想は30代後半です。起業家は、年齢的には30代中心で、自分より若干年上の税理士を選択される方が多いでしょう。税理士は、アラフォー(40歳前後)で独立するのが一般的です。普通は、技術不足で開業当初の2~3年は営業で苦戦します。
M様の場合は、企業での、しかも人事での経験は中堅企業に対して強みがあること、肩書きが優れていることを考えると40代半ばでも問題ないと思います。50歳以上になると、人脈、営業戦略等工夫が必要になります。

 

A3.
部下との接し方は会計事務所ではあまり習得できないスキルなので学ぶ良い機会です。税理士は、人使いが下手というか、技術のない方が多いです。私も、最近までこれもスキルだということ自体気づきませんでした。
また、在職中は、現在の会社にご迷惑をかけないように普通にきちんと働いてくださいね。独立すると、どこで誰が助けてくれるか分かりません。
最もすべきことは、税理士試験のための勉強です。絶対に確実に2科目受かるよう、努力してください。特に簿記論は前年合格率が低かった関係で油断は禁物です。
その他の勉強は、官報合格した後で、必要に迫られて本気でやった方が効率が良いでしょう。

 

M様の過不足ない文章を読むと、センスの良さを感じます。優秀な人材の参入を歓迎します。手強いライバルになられるかもしれませんね。

この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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