中規模以上の会計事務所希望(未経験者の場合)

2010年06月09日高橋

東京都と千葉県の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

ご質問はこちらをクリックしてください。

 

S様よりのお問合せです。

年齢  27歳

■性別  女性

■資格  簿記2級(簿記論、消費税法2011年受験予定)

■職歴  メーカー(子会社)で一般事務に就業(経理1年、営業事務2年)

     (転職1回) 

■学歴  上智大学

■会計事務所経験 なし

■居住地 首都圏

 

経理のような数字を扱う仕事が好きなことや、長く仕事を続けたいという思いから、将来は税理士として働きたく、仕事の傍ら専門学校に通っています。

 

今の会社では経理に戻れる可能性はあまりなく、また上場企業の経理ではないので、税理士を目指す者としては経理経験が足りないように思います。

 

科目合格者として転職し、税理士として働くなら、先生のところのような人数のいるしっかりした会社がいいと思っています。

 

Q.1

転職するならいつの時期が妥当でしょうか。

 a)今の会社で働き、来年科目合格後に会計事務所(零細以外)の就職を目指す。

 b)今から会計事務所のスタッフとして経験を積みながら科目合格を目指す。

 

Q.2

実務経験(経理、会計事務所)があまりない場合、何科目合格であれば会計事務所に転職可能でしょうか。

 

Q.3

その他、税理士を目指す上でやっておくべきことがあれば教えて下さい。

 

A.1 

企業の経理と、税理士業務は、会計という点で類似性はありますが、実はあまり、時重複する部分は多くありません。税理士業務は、会計入力という作業にかかわる部分はありますが、個別企業の内部ルールにとらわれず、より汎用的な会計的分析力や、税務に関する専門知識を武器に、中小企業経営者や資産家の相談相手としての側面が強くなります。

 

就職時期について

a)とb)ならa)です。

記憶力もあり、モチベーションも高い早い時期にどれだけ先に勉強が進んでいるかによって、どのくらいの期間で税理士になれるかが決まります。

油断すると、10年かかったり、合格できなくなったりする試験です。今の環境が3年たってなじんできて、それほど激務でないなら、現職でもう少し勉強した方が楽でしょう。職種や環境が変わると精神的・時間的余裕がなくなります。

また、足元は、未曾有の就職難で、景気変動の影響が遅れて来る会計事務所も採用をかなり絞っている状況です。首都圏ではS様が希望するような一定規模の会計事務所は科目合格者を優先的に採用するところがほとんどなのでb)では採用されにくいはずです。

 場合によってはもう一年働きながら勉強して、出来れば簿記論・財務諸表論は合格して、税法も1~2科目受験経験済というのが中堅以上の税理士事務所に入る有利な時期です。

BIG4等なら3科目合格以上が必要なことも珍しくありません。

 そのくらいまでくれば、大学院免除も可能なので税理士になれる確率は高いでしょう。

さらに、一箇所で5年程度働いたという事実は採用の際に、しっかりした職歴・責任感がある人柄という評価を得やすくします。

 

.2

会計事務所の採用では、会計事務所の実務経験がかなり高く評価されます。言いかえると会計事務所未経験者の就職はかなり狭き門です。

必要科目数は、就職時の状況により差があります。人手不足の時期なら、簿財受験経験ありでも一部中堅事務所では採用されたでしょうが、もうしばらくは、3科目程度の受験経験、最低でも税理士科目合格を目安としている中堅税理士法人も多いでしょう。

この場合の税法は、法人税、消費税法、相続税のいずれかが望ましいです。

 

A.3

税理士を目指す上では、まずは税理士試験の勉強が重要になります。両立は大変ですが、努力を続けるしかありません。

それ以外では、

(1)会計事務所選び

会計事務所は、最大手でも500名程度という中小事業所のため、トップの個性が色濃く影響し、事務所によって内容がかなり違います。転職経験もおありで、リサーチ力もあるでしょうから、じっくり会計事務所選びをしてみてください。

参照) 会計事務所の規模別・種類別の特徴

(2)上司・経営者の立場からものごとを考える

20代のOLは、多くの場合、組織の下側(自分の側)からものごとを考えることでしょう。同じ光景でも、同僚との愚痴をほどほどにして、上司や会社の経営陣の考え方を意識して見ると全く違って見えるはずです。税理士のお客様は経営者です。経営者の苦労や喜びが理解できないと良い税理士にはなれません。

 

(3)組織の仕組みを考える

同じ会社に5年くらいいると、会社の良い点も、悪い点もだいぶ見えてきて、会社の仕組み自体が分かってくるでしょう。現在の職場が、もし一定規模以上なら、小さな会計事務所ではなかなか経験できない組織的な動きや仕組みが経験できているはずです。

このことは税理士業務で、中堅以上のお客様を担当する場合、強みになります。

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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