税理士に向いている人

2015年01月31日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

税理士法人TOTALでは、資格を不問にしました。
(従来は受験生には一定の資格や受験経験を求めていました)

若い人や優秀な人で、未経験の素質のある方の採用を強化していく方針です。

 

~あなたと共に成長したい~

 

 

 

 

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TAX様からのお問合せです。

■年齢 25歳
■性別 男
■資格 財務諸表論
■職歴 会社経理(2年)
■学歴 地方大学(経済学部)卒業
■居住地 地方

先生、お世話になります。いつもタメになる話題を楽しく拝見させていただいています。

早速ですが、ふと思った事がありますので先生にお聞きしたいと思います。

 

Q.

ズバリ!先生が思う「税理士に向いている人」とはどんな人ですか?

 

というのも、自分は今税法の勉強に取り掛かっているのですが、あまりのキツさに「自分は向いていないのだろうか?」と不安な日々を送っています。やはり、税理士試験を突破された方々はあまりキツさを感じずに合格をされたのでしょうか?よくテレビや本で「好きな事は苦に感じない」と見聞きします。どうなのでしょうか?

 

ちなみに、自分は小学生の時そろばんを経験しており、1級を取得しています。その時の経験から、計算が得意ですし、接客も好きです。書類整理も苦にならない性格です。それに「税理士は会社のお医者さん」という記事を見たこともあり、そこに魅力を感じ、税理士を目指しています。

 

A.

「税理士に向いている人」という質問には

1.税理士にどういう人がなるのか、なれるのか?

2.税理士として成功するのはどういう人か?

という2つの側面がありますが、TAX様は受験生ですからご質問は1.ですよね。

 

そもそもどれくらいの比率で税理士になれるのでしょうか?

(1)税理士試験受験生 全体

税理士試験受験生のうち、受験者数からも周りの声を聴いても、1番最初の年は、簿記論・財務諸表論(及びこれに税法1科目追加)の同時受験の方が一番多く、次いで簿記論の単独受験でしょう。

エントリー科目である簿記論の結果を見ると(平成26年度)、受験生は17,742名、合格率が16.4%ですから、合格又は断念まで平均3年程度として逆算すると、簿記論初学者は年間7000名程度と考えられます。簿記まで1度もたどり着かずに税法だけ受験で断念する人もいるので8000名くらいが新規受験生でしょうか。

最終的に税理士になるのは、公認会計士や税務署OBを除いても、官報合格者・6科目受験で官報に掲載されない試験合格者・大学院免除者でおそらく2000名弱くらいだと思われるので5人に1人くらいが税理士になる計算になります。
(直近では大学院免除者が多くなっています)

 

(2)専門学校の通学生

私は、簿記論は大原簿記専門学校の平日に受講しました。知り合いになった方の半分近くが最終的に税理士になっています。少なくとも簿・財くらいは専門学校できちんと通学する人の方が合格しやすいでしょう。

 

(3)税理士法人TOTALのスタッフ
税理士法人TOTALでは、現在まで60名の男性税理士受験生を採用してきました(女性は退職後に家庭に入る人も多く、捕捉が難しい)。
そのうち、17名が税理士(有資格者を含む)になり、7名が税理士になりませんでした(企業経理、起業家等)。
確定した中では7割以上(17名/24名)が税理士になったことになります。

 

残る36名のスタッフ、元スタッフは、今も税理士試験をがんばって受験しています。
最終的には全員税理士になってもらいたいと思っていますし、多くの方が税理士になってくれるでしょう。
合格率が高いのは、受験環境を整える努力をしているのと、税理士になれそうな方を優先して採用しているからです。

 

 

それでは、どういう人が税理士になるのでしょうか。

 

決して

「頭の良い人」が税理士になっているわけではありません。

 

かなり古い話で恐縮ですが、私は簿記論の小テストを、クラスの3名で首位争いしていましたが、私以外の2名は実は税理士になっていません。
(美人で聡明な2名と首位争いをしたのは良い思い出です)

 

開成時代の同級生で、税理士試験を受験して、なれなかった人もいます。

 

3科目合格をした非常に頭脳優秀な元スタッフは、税理士業界を短期間で去りました(今は社長をなさっています)。

 

受験生にとって、税理士になることは唯一の目標・出口ではありません。

税理士試験は、受験期間が長くなりやすいのが特徴です。

受験に飽きてくると、経理の仕事、起業、投資の方が楽で儲かりそうに見えることもあるでしょう。
女性なら(家事・育児など)家庭を優先することも多いでしょう。
男性も、会計事務所は長く勤務すれば給料が上がっていくので、日常に流されて試験合格の優先順位が下がる人もいます。

 

勉強ができないと税理士試験に合格しにくいのか?

というとそんなことはありません。

若くして(20代前半に)受験を始めれば、学力はほとんど関係ありません。
学力的には平均以下の普通科高校・商業高校の出身で税理士になっている人はいくらでもいます。

 

税理士試験は、スピードと暗記力が重要な試験です。
このため若さが一番重要になります。

30歳を過ぎて受験を始める場合は、若さを補うために(勉強の仕方を知っているという意味で)一定の学力が必要になる気はしますが。

 

自分は向いていないのだろうか?」と思うのも普通です。

税法は、「速記」と「暗記」の試験です。

・電卓は、左手でブラインドタッチができる必要があります。
・理論は、「て」、「に」、「を」、「は」まで覚えるくらいの覚悟が必要です。

 

人間がやるべきこととは思えませんし、試験の意義を最初は理解できません。

「アホみたいな試験だ」

「やってられないよ」

そう思えば思うほど、税理士試験に「不満」と「不安」を感じるでしょう。

 

私自身、税理士試験には苦労しました。

左手のブラインドタッチは半年でマスターしましたが、 何せ速記が苦手で

字を書くスピードが非常に遅く、理論の授業はクラスで2番目に遅かった。

 

また、司法試験を受験していたことがあるので、
(「自己紹介」参照)
ミニ税法の最初の授業で、ベテラン講師が基本的な法律用語を3つも4つも読み間違ったり、用法を間違っているのを聞いたときは辟易しました。

失礼ですが、「法律用語の基礎知識」くらい読んでほしいと本気で思いました。
(法学部の学生なら1年生でもわかります)

専門学校の「理論サブノート」も、条文の要約・引用が中途半端で、私には覚えにくかった。

5科目一発合格を目指したのですが、結局、最後まで残ったのがそのミニ税法です。
無駄な不満が、不安を誘発し、

自分は向いていないのだろうか?

と悩んだものです。

 

簿記論は、算数のパズルができれば簡単ですし、
苦手でもパターンさえ覚えれば、母集団のレベルが他の科目ほど高くないのでいつか合格します。

 

 

財務諸表論は、まじめにやれば誰でも合格します。合格しないのは努力やツメが足りないだけです。

 

 

税法は、

・計算は、問題をパターンで覚えて早くできるようにすること

・理論は暗記と速記以外ありません

(暗記を効率よく行うために正確に理解することは重要ですが)

税法は短期間で合格した一部の若い人を除くと、みんな「きつい」と感じるはずです。

 

どの資格もそうですが、専門学校のパンフレット広告ほど簡単ではありません。

 

 

あれほどきつかった税理士試験ですが、合格してしばらくたつと、いかに実務家登用試験として良くできているかがわかります。

 

お客様のところで本を開いて調べたり、回答に時間がかかるようでは仕事になりませんし信用されません。

体系的に膨大な知識を記憶し、素早く引き出し、その場で計算する能力が必要です。

相続税を苦手にしている公認会計士や税理士が多いのは、

税理士試験の「相続税法」を受験していないからです。

 

私自身、税理士「試験」に向いているとは今でも思っていませんが、

税理士という「仕事」は私の「天職」だと思っています。

好きな事は苦に感じない」というのは、私の場合は、税理士としての「仕事」であって、税理士「試験」ではありませんでした。

「仕事」は、受験生時代から楽しいし好きでした。

「試験」は、飽きてうんざりしたことはたくさんあります。
というか、3年目以降は同じことの繰り返しでずっと嫌になっていました。

 

ミニ税法は初年度から受け続け、7回目にして合格しました。

うれしいというよりほっとしました。

あきらめないで本当に良かった。

 

 

たくさんの受験生を見てきて一番感じるのは、

 

 

最後まであきらめない人が税理士に向いている

ということです。

あきらめさえしなければいつかは税理士になれます。

 

私が、受験生であるスタッフに対して一番心がけていることは、
・税理士になることをあきらめないように

・税理士試験の勉強のモチベーションが下がらないように

することです。

 

税理士は社長から税金はもとより、営業・労務など経営全般、そして、奥さんやお子さんの問題まで、幅広い相談を受けます。

「税理士は会社のお医者さん」という表現は適切です。

お客様と共に歩み、共に成長し、「ありがとう」と感謝される。

昨日もあるお客様に

「信頼しています」と言っていただきました。
良い仕事です。

 

TAX様は、計算力も書類整理能力もあり、接客も好きなら税理士の仕事に向いていると思います。

試験勉強についてはこれからも飽きることも、嫌になることもたくさんあるでしょう。
それでも合格するまであきらめずにがんばってほしいと思います。

 

 

 

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

お忙しい中、回答ありがとうございます!
読んでいて、安心する所が沢山あり、今は正直ホッとしています。自分だけがつらいのではないと思うと、これからも頑張れます!自分の性格上、税理士は向いていると確信が持てました!

モチベーションを維持するのは大変ですが、これからも頑張っていきます!

先生のこれからのご活躍を祈ってます!また何かありましたら、質問させていただきます!

2015年1月31日 3:05 PM | TAX

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