税理士事務所の労働環境
2013年09月15日/ 高橋
東京都新宿区・千代田区と千葉県船橋市の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。
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この秋も、税理士法人TOTALに定期採用でたくさんの新人が入社してくれました。
新人研修、新人歓迎会と続き、若いエネルギーからたくさんの刺激を受けています。
中には、このサイトの読者だった方もおられました。
なぜか、私は小柄だと思われていたようです。
実際は、
179㎝、××㎏の大男?です。
ご興味がある人は、履歴書をお送りください。面接でお会いしましょう。
M様からのお問合せです。
内容
■性別 31歳
■資格 日商簿記2級
税理士試験 財務諸表論・所得税法合格
■職歴 接客業のアルバイト経験のみ
■学歴 4大卒
■会計事務所経験 なし
■居住地 首都圏
内定をもらったが揺らいでいる者です。
相手は個人で経営している事務所で所員は10人以下の規模です。
悩んでいる事項は次の通りです。
(1)履歴書を送ってから面接・採用まですべて相手の携帯電話から連絡
(相手事務所のホームページには固定電話番号が記載されています)
(2)残業手当なし
(3)面接を受けた時間帯の同じ日の2時間後に採用の連絡。
(4)内定後に書類は送られてこないようで、住民票などは勤務日の当日に持参
Q.これは世間でいういわゆる「ブラック企業」なのか?
正直な気持ち、不信感がぬぐえません。
教えてください。
A.
(1)携帯電話からの返信
①所長が忙しくて、固定電話からゆっくり電話する余裕がない。
②所長が採用を一手に担当している。
ということなのではないかと思います。
(2)残業手当なし
①昔ながらの感覚で順法意識が低い
②労働時間はある程度長いことは覚悟しなければならない
税理士は税務に関する法律家なので、きちんと法律を守るべきなのですが
残業手当を付けていない会計事務所もそれなりの割合でいるのは事実でしょう。
みなし残業制度を採用して、残業代の精算をしないところも増えています。
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税理士法人TOTALは、従来、1分単位で残業手当を付けていましたが、
最近、みなし残業制度を採用することにしました。もちろん、みなし残業を選択した場合も定額部分を超えるときは1分単位で残業手当を付けています。
1分単位はもしかしたらやりすぎかもしれませんが、スタッフも法律家なのできちんとしたかったのです。
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(3)面接終了後、2時間で採用の連絡があった。
①採用基準をはっきりと超えていた。
又は
②人不足が著しく、早めに抱え込む必要があった。
最近は、中堅の会計事務所は人不足で悩んでいる所長税理士が多いのが実情です。
8月終わり又は9月初めが普通、新人の入社の季節なので、9月に入ると少し焦りはあると思います。
M様のように、会計科目と税法科目を持っている人は特に不足しています。
(4)入社資料が送られて来ない。
10人くらいの会計事務所では、業務手順がきちんと決められていなかったり、文書化がされていないのは普通かもしれません。
零細事業所が多い業界で、文書化・標準化に対する理解は一般に低いように思います。
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私が8年前に事務所の標準化・文書化を進めたころは、業界ではかなり珍しく、職員の皆さんの理解を得るのに苦労したことを思い出します。
税理士法人TOTALは、入社内定者には、入社準備資料を大量に!(笑) お送りしています。
また、今年から、一部の社会人経験の少ない新人には、ビジネスマナー等の外部研修を受けてもらっています。
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最近、ワタミやマクドナルドなど、労働問題を抱える企業の話題がインターネット上では盛り上がっています。
会計事務所は、個別には以前ネットをにぎあわせていた派遣系会計事務所や、今、暴力事件で訴訟になっている会計事務所も知っていますが、労働環境が特別に厳しい業界だとは思っていません。
(飲食や運輸、一部ITほど特別にきびしくはない、普通の業界だと思います)
ただ、上場企業のように、コンプライアンスが重視される環境にはありませんし、
人気がある成長中の会計事務所の多くが最近では過重労働になっているのは感じています。
労働時間については、「会計事務所・税理士事務所の労働時間」参照
こういう事務所は離職者も多いため、インターネット上には会計事務所の労働状況について実態以上に厳しい評価があふれています。
私は体を壊し、大学卒業後4年も無職だったのに恩師のY先生は正社員として迎えてくれました。
税理士法人TOTALでも30歳前後の職歴なしでも優秀な人は採用しています(税理士受験生は2科目合格程度は求めますが)。
営業職を除くと、他に新卒での就職に失敗しても未経験OKの事務職で、正社員で最初こそ300万円台スタートでも、いずれ無資格でも500万円くらい、資格者になれば役職者でなくても600万円くらい、マネジメントや営業ができればそれ以上になるかもしれない仕事はそんなにない気がします(大企業を除く)。精神的にもお客様と利益相反は少なく、その点のストレスもほとんどありません。
また、有資格者になってきちんと研鑽を積めば、技術と経験が生きて40代後半以降も安定したキャリアを築けるのも会計人の魅力でしょう。
大企業でも50歳以上は保証されない厳しい時代です。
「ブラック」とは、「労働関係法令を遵守することなく、使用者の義務である残業代を支払わず、従業員に対し、長時間労働を強制する企業」と判例で定義されていますが、
残業代が払われない今回の件は、労働法例を軽視し、長時間労働が強制されていれば、該当することになります。
長時間労働の目安としては、過労死になりやすい、残業が月間80時間以上が続くことがあるのかが一つの目安になります。
書かれた情報だけでは、申し訳ありませんが、私には判定できません。
どちらかというと、もし40代までの税理士の事務所だとしたら、残業手当を支給しないことは論外として、こんなものかもなあという気もします。
実際には、M様が不信感を持っているという事実が重要なのかもしれません。
採用担当者(おそらく所長)とお会いして、M様の直感が違うと言っているのではないでしょうか。
どうもこの人を好きになれそうにない。一緒に仕事したいと思えない。パワハラがありそうだなどなど…。
10人程度の会計事務所なら、所長と合わないのは致命的です。
多少、承諾までにお時間をいただけるなら、他の会計事務所も面接を受けてみるといいかもしれません。
そうではなく、漠然とした不安だけなら、実際に働いてみるのも手かもしれません。
残業時間が(月80時間を超える等)多すぎる場合は心身の異常をきたす前にすぐやめるべきでしょう。
労働環境がそこまで悪くなければまずは2~3年程度働いて、もし納得できないならば、他の会計事務所に移ってもいいような気がします。
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そういえば、今回、他の税理士事務所で2年程度働いてから税理士法人TOTALに来てくれた方が2名いました。
うち一人は、2年前はうちの受験資格がなかったので科目合格を待って応募してくれたそうです(追記:受験資格を廃止しました)。
ありがたいことです。
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※なお、
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