3科目合格 パート・元コンサルタント 地方の会計事務所の給与水準

2022年03月03日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

「3科目合格 パート・元コンサルタント 地方の会計事務所の給与水準」

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HN様からのご質問です。

■年齢 35歳
■性別 女性
■資格 簿記論・財務諸表論・国税徴収法
R4年3月大学院修了見込み
■職歴 新卒でコンサルティングファームに入社し7年勤務した後、地元(地方都市)に戻り会計事務所へ入社
■学歴 MARCH
■会計事務所経験 パートタイムジョブ 1年半
■居住地 地方都市
■その他(特殊事情等)
はじめて質問をいたします。よろしくお願いします。
私は大学を卒業後、東京にて日系のコンサルティングファームに5年勤務しておりました。働きながら税理士に3科目合格した後、退職し、大学院に入学のタイミングで地元に戻り会計事務所にパート(週5、勤務時間7時間、残業は不可)で勤務しています。育児があるため時短勤務ができるパートを選択しておりますが、業務内容は相続、株価評価、監査担当法人10件ほどございまして、正社員と変わらないと思います。大学院の修了が決まり、税理士の資格が見えてきたので、待遇の向上を所長にお願いしましたが、「税理士に登録となってから待遇面を検討したい」と言われました。

質問は以下の二点です。

Q.1

給与については、土地やその他の要因でも随分変わってくると思いますが、私のような状況の志願者に対して、時給いくらくらいが相場でしょうか。(賞与や資格手当、歩合による給与を除いた金額でお聞きしたいです)

Q.2

税理士資格は登録前と登録後で大きく違いますでしょうか。大学院を修了することが決まっている場合には、登録できない可能性は低く、同様の待遇を希望したいのですがそれはお門違いでしょうか。

繁忙期にまた応えにくい質問に大変恐縮ではございますが、率直なご意見をお聞かせいただきたく何卒宜しくお願いします。

A.1
この3月で大学院修了とのこと、おめでとうございます。
コンサルティングファームは、ほぼどこも激務なはずなので、そんな中、働きながら税理士試験3科目合格も素晴らしいですね。
かなり、ストイックな集中力や切り替える力をお持ちなのな。
私は、会計事務所の仕事に夢中になり過ぎて、働きながら税理士試験はなかなか合格できなかったのでうらやましい限りです。

その後、子育て、大学院進学と 計算通りに進めておられるということですよね。コンサルタントらしい、合理的な考え方が随所に文書から読み取れます。

ただ、所長には賃上げに待ったをかけられたのを疑問にお持ちだと思います。

会計事務所の経営者としてちょっと厳しいけれど本音で言うなら
人の評価は、色々なことを考えて決めるのでそんなに単純ではありません。

コンサルタントだったので、お分かりだとは思いますが、経営者は、実際には賞与や資格手当、歩合による給与も併せて評価するので、それを除いて時給を単独では評価はしにくいでしょう。

もっと言うと、時給の相場は、3大都市圏等の都市部と違って、地方都市ではあってないようなもので、私が答えても意味はありません。
率直に言って、地方都市で時給がいくらかは、その所長・経営者に聞かなければわかりません。

その経営者が、 「税理士に登録となってから待遇面を検討したい」と言ったということは、

おそらく、今は HN様の時給を上げる時期ではないと残念ながら判断したのでしょう。

A.2
税理士登録の前後で評価が大きく違うのは普通でしょう。
まだ、年数も経過していないし(パートで残業なし1日7時間だったので、他の正社員と同様にするために時間換算が必要です)、社会的評価も税理士とそれ以外ではかなり違います。
気になるのは、HN様は、税理士登録が要件が整えば当たり前だと思われていますがそうとも限りません。登録を認めない所長もかなりおられます。

なお、都市部では大規模税理士法人は例えばBIG4クラスでも、有資格者が税理士登録できるとは限りません。登録費用も馬鹿になりませんから、たくさんの未登録有資格者もおられます。

また、担当法人10件は、私の感覚で言うと3科目持ち経験1年半、元コンサルタントとしては、かなり少ないと感じます。

もっとも、顧問報酬等が高い、大規模法人中心なのかもしれませんが…。
その場合はなおのこと、税理士登録者と未登録者では評価・給与が違うでしょう。

給与は、所長の判断もありますが
最終的には、お客様にどれだけ支持していただき、

どれだけ事務所に貢献したか(又は 今後するか)が重要になるでしょう。

実際の給与の評価にあたっては、
 ①その方が事務所に売上、利益をもたらしてくれたか
 ②この後、どれくらい事務所に貢献してくれそうか
 ③事務所の文化、社風に合うか
  お客様にゆっくり寄り添うのか、合理的に素早く処理するのか等
  優秀な方でも社風に合わないと評価しにくいでしょう
 ④他のスタッフをどれだけ前向きに協調・教育等してくれたか
 ⑤既存の他のスタッフの給与とのバランス
 等 たくさんのことを考えて給与を決める方も多いでしょう。

 評価基準を作るのはかなり難しいのが実態です。

(記事は、2014年に書かれており、かなり古いので絶対水準の修正は必要ですが、比率等を参考にしてみてください)

いずれにせよ、もう少しでHN様は、税理士登録はできるようになります。
登録した後で、経営者とゆっくり話し合って、納得して残るのか
納得が出来ない場合、他の事務所に転職するのか、
地方で転職の選択肢が少ない場合、(子育てが落ち着いたタイミングで?)独立するのか

じっくり考えることになるのかもしれません。

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経営者とスタッフでは、考える視点がかなり違います。

TOTALも、たくさんの独立税理士を輩出してきました。
元スタッフで独立した税理士の方も、
『今なら(先の話をしたがる 私の)言っていることはわかるけれど、勤務時代はピンとこなかった』
という方が何人もおられます。

言葉で説明されても、実際に責任を持って経験しないとわからない。
人を採用する経営者は、その人の30年先まで考えてリスクを背負う覚悟が必要になります。
VUCAの先が見えない不確実な時代のため、
独立しない勤務税理士
独立しても人を最低限しか採用しない ぼっち税理士
も増えています。

私は、人の採用・育成こそ、事業の本質だと思っています。

TOTALは

 あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい

と考えています。

みなさんのご応募 お待ちしています。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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