旧帝大卒 40代からの会計事務所への転職

2018年03月11日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「旧帝大卒 40代からの会計事務所への転職」

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マス様からのご質問です。

■年齢 41歳
■性別 男性
■資格 税理士5科目
■職歴 上場企業財務経理部門15年
学歴 旧帝大
■会計事務所経験 なし
■居住地 関西

はじめまして。
私は40代で一般企業の財務経理部門で勤務しております。
数年前にようやく税理士の5科目に合格しました。
当初は自己啓発的な位置づけで取得しましたが、取得すると
税理士として完全に資格を活かしたいと思い税理士事務所への転職を検討しております。

 

 

Q.

年齢と、既に5科目合格しているということで、なかなか条件に合う事務所がありませんが、やはり40代で5科目合格者は厳しいのでしょうか?

 

年齢的に転職活動自体難しいでしょうか?

 

A. 求めるもの次第ではないでしょうか。

1. 求めるものが 高い給与 の場合

上場企業の経理財務は、上場企業用の(通常の)会計基準、財務諸表規則に関する知識、監査法人による監査に耐えうる正確な処理が求められます。また、銀行との金利交渉、証券会社対応も必要になることもあるでしょう。

 

これに対して、税理士は、お客様の98%が中小企業なので、「中小企業の会計に関する指針」で柔軟に対応できますし、会計原則そのものよりも、税務に従った経理、税務調査に強いこと、銀行融資に有用な決算書を作れることの方が価値が高くなります。

 

もっと言うと、上場企業経理は、処理能力の正確さ、細かさと社内向けのコミュニケーション能力、社外向けの交渉力が重視されるのに対して

税理士は、処理は多少雑でも速さが重視されるし、コミュニケーション能力は社外に対する営業力が重視されます。

意外なほど、上場企業経理と税理士業務の適性には親和性がないのです。

このため、細かい作業が要求される女性はともかく、外回りや営業の主力である男性は、『堅苦しくて使いにくい』という理由で経理出身者を採用しない会計事務所さえあります。

 

上場企業経理という立派なキャリアが、プラスではなくマイナスに評価され、提示される給与が低くなる危険性もあるのです。

 

独身者や、奥様が正社員で子供がいなければそれでも説得できるでしょうが、家族の状況によっては一定以上の給与水準でないと、奥様やご家族から転職の承諾も得られないでしょう。

 

ある程度は高い給与がどうしても必要なら、税理士法人でパートナーをさがしているところに就職する方法がありえます。

 

上場企業での経理財務経験の長さからして、会社の協力を得られれば、税理士登録に必要な「職務概要説明書」(実務経験の証明書)を出してもらってすぐに税理士登録することも可能でしょう。

税理士事務所によっては、個人事務所から 法人成り したいと思っているケースや、支店出店をしたいケースなど、新規に「社員」税理士を必要とするケースも多くあります。

この場合は、実力よりも高い給与が支払われます。

経営者=トップは、その求職者がパートナーとして一緒にやっていけそうかどうか、相性を見極めることになります。

 

なお、登録してすぐに開業するという選択は理論的にはできますし、過去には知り合いでもおられましたが

(1)実務が技術的に差がある

(2)営業力がないと開業しても苦しい

ので私はあまり賛成できません。仮にスタートを何とか乗り越えても、その後の伸びが期待できません。

 

(1)実務が技術的に差がある

さすがに最低でも1年程度の実務経験がないと業務が回らない。

(税理士会が登録に2年の実務経験を求めるのはあながち不合理ではない)

実務が難しいから、私たち税理士は生き残れるのです。

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税理士法人TOTALの設立の際に、当時40代になっていて実務経験が全くなかった妻子持ちの沓掛さんに合流してもらい、東京出店も同時に行いました。

技術の習得にはかなりの苦労があったことと思います。

彼の決断がなければ今日の税理士法人TOTALはありません。感謝してもしきれません。

 

なお、税理士法人TOTALは全国展開を予定しています。今後、地方出店に関しては経験の浅いパートナーを求めることもあるかもしれません。

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(2)営業力がないと開業しても苦しい

以前はWEBで簡単に集客できましたが、最近はそんなに独立は簡単ではありません。しばらく働いて技術を身に着けながら 営業の勉強や開業準備をする方が現実的です。

人脈や営業力がある人もいますが、残念ですがおそらくそういう方は企業もあまり経理財務には配属しないはずです。

 

 

2. 求めるものが高い給与以外の場合

マス様の合わない条件が何なのかがわかりませんが、給与以外が問題なら 条件に合うような事務所をあきらめずに丹念に探せばいいのでは。

 

40代の税理士有資格者の転職が難しい時代とは思いません。

 

さらにマス様は旧帝大卒ということでポテンシャルの高さも証明されています。
30代後半以降は通常はすぐ使える職歴が重視されますが、旧帝一工卒は40代前半までは別格です。

小さな事務所、学歴コンプレックスのある所長では使いにくいかもしれませんが、一定の税理士法人なら給与次第で欲しいところはあるように思います。

小さな事務所で腰掛けで技術を学んで1年で早めに独立したいというのでなければ、マス様に合う会計事務所も人不足の今ならあるでしょう。

 

(マス様より具体的な求めるもの、ミスマッチが起きる事情があればコメントがあれば補足させていただきます)

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上場企業から会計事務所への最新転職事例

(1)地元に帰ってのんびり結婚したい

大メーカーは、地方の工場か海外勤務が多くなり、若いうちは生まれ育った東京や大阪といった都市部で働けないので、メーカー勤務の若者は都市部で結婚しにくくなっています(京浜工業地帯はもう4位にも入っていません)。地方で伴侶に恵まれないとさびしいですね。

 

(2)営業ノルマがきつい

地方銀行、都市銀行が女性にノルマをかけてお客様の役に立たない金融商品を売らせている(金融庁長官があえて 『ろくでもない商品を売るな!』と苦言を呈するレベルです)関係で、それが嫌な真面目な女性がたくさん辞めています。税理士法人TOTALにも何人も入社してきてくれています。

 

(3)今の会社の将来性に疑問がある

①企業経理にいると自社の先行きが見えすぎて、このままでは会社が持たないことがはっきりわかって逃げ出したくなります。

 

②旅行業、書店等の一部小売りなどITに置き換わる産業もあります。

時代の転換点で、上場企業というだけで安泰ではなくなってしまいました。

 

会計事務所もIT化は進み危惧されていますが、私はITを使いこなす側になればいいと思っています。

おそろしい時代だと思いますが、私も経営者である以上、
TOTALのスタッフやその家族の生活を
どうやってこれから30年以上守っていくのか、
そのために私が経営するあと10年くらいのうちに何をすべきか
考えていきたいと思います。

経営者は結果責任が求められます。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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