キャリア相談室

会計事務所勤務の魅力(30代女性編)

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

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りんご様からのお問合せです。

■年齢 34歳
■性別 女
■資格 簿記論、財務諸表論、消費税、相続税、所得税
■職歴 営業職 2年、メーカー企画職5年、資格学校講師2年
■学歴 MARCH
■会計事務所経験 アルバイト1年
■居住地 大都市圏

 

こんにちは、受験生の頃からブログを拝見し、励みとさせていただいておりました。

 

繁忙期でお忙しいところ恐れ入りますが、ぜひ先生にご相談にのっていただきたくメールいたしました。

急ぎではございませんので、お手すきのときで構いません、繁忙期明けてからでも結構ですのでご回答いただければと思います。

 

以前私は会計経理とは全く関係のない仕事をしておりましたが、夫の転勤で他県へ引っ越すこととなり、それがきっかけで税理士の勉強を始めました。

 

試験合格後に会計事務所での勤務を始めましたが、経験が1年しかないまま、また転勤でその事務所を退職することになりました。

 

引越し後新しい仕事を探したのですが、現在妊娠中のため正社員の仕事を見つけることができず、確定申告時期のみの派遣社員として仕事をしています。

 

出産後の予定では、来年四月から子供を預けて仕事をしたいと思っていますが、子供の体調により遅刻、早退、欠勤せざるを得ない状況になることも多いと聞きます。

 

そこでご質問ですが、
Q.1
小さな子供を持った母親が正社員を希望して就職活動を行った場合、どの程度就職の可能性があるのでしょうか。また、正社員が難しかったとして、資格を持った税理士としてパートで働くことは一般的に可能でしょうか。

大都市圏では保育園の入所も厳しいということで、就職の可能性があるなら早めに保活を始めようと思っており、ご質問した次第です。

 

Q.2
次に働くまで1年以上ありますが、その間にしておいた方がいい勉強や、就職に有利になるような勉強があれば教えていただければと思います。

会計事務所の経験が1年しかなく、また小さな個人事務所だったため、税理士に必要なスキルや知識を全体像として把握することができず、どういった方面の勉強をしようか決めかねています。

長い文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

どうぞよろしくお願いします。

 

A.1
営業、企画、講師経験、
そして30代半ばで税理士試験官報合格、かつ実務経験あり。

優秀ですね

 

女性の場合、新卒で大企業に入社して一生懸命良い仕事をしてキャリアを積んでも、結婚、そしてその後の旦那さんの転勤により住む地域が大きく変わり、それまでのキャリアが中断されることがあります。
夫が大企業の総合職なら、若いうちは地方(あるいは海外)に異動になることが多くなります。それも一度でなく数年のローテーションということも普通です。

 

出産すると子育てはどうしても母親である女性が中心になり、
家事、育児(子育てに休みはありません)、保育園や学校の行事の出席まであり、転勤族で両親が近くにいないと時間的な制約が大きくなります。
都市部では、働きたくても保育園に入るのが厳しいエリアもあり、待機児童問題は解決していません。
(税理士法人TOTALでも、認可保育園に入れなければ、保育料が高い認証保育園に入ってでも復職したいと言ってくれているスタッフがいます。認可保育園に入れるといいなあ)
保育園に入園した後も、急な発熱、発疹、下痢、風邪、インフルエンザでいつ呼び出されるかわかりません。

 

ちなみに、最近では人不足が深刻ですが、実は不足しているのは、建設、介護、飲食、運輸等、現場で体で頑張るタイプの仕事かノルマ・プレッシャーのきつい営業職です。
有効求人倍率は、全体では1.15倍程度(平成26年12月現在 数字が大きいほど人不足が激しい)ですが、業種・職種による偏りが大きく、介護やIT関係は1~2倍、営業は2倍台、建設は3倍を超え社会的にも問題になっています。
逆に事務職は0.24倍と際立って低く、4人に1人も採用されていないことになります。
安定した仕事として女性は事務職の希望が多いのに対して、実際にはIT化で企業の需要が減り続けているためです。

 

そういった中で、税理士事務所は、
日本中どこにでもある事務職・専門職であり、
経験さえあれば比較的中年になっても再就職が容易です。
家から近い郊外の会計事務所なら女性の比率も高いことが多く、比較的、子育てに理解があります。

 

りんご様の場合、大都市圏ですし、会計事務所の人不足も深刻なので、仕事でつちかったリサーチ能力を生かしてさがせば、小さい子を持つお母さんでも正社員OKの会計事務所はそれなりにあると思います。
ただ、さすがに1歳児で保育園に入りたての頃は病気をもらうことが多く、正社員では難しいという事務所もあるでしょう。この辺は所長(経営者)の考え方次第です。

 

子育てに対する理解がどれくらいあるかを重視し、
子育て中の主婦が実際にどれくらい在籍しているのかを基準に、
丹念に正社員で採用する事務所をさがしてみてください。
都心部(家賃が高いので激務が予想されるし、住所地の近くでないならお勧めしません)には少ないかもしれませんが、
郊外なら珍しくないはずです。

もっとも無理に正社員スタートでなく、子育てをしばらくは優先して家の近くのパートで数年過ごしても良いと思います。

 

正社員では納得できる税理士事務所に入れなくても、パートなら(給料さえ一時的に低くても我慢できれば)一般的にもいくらでも入れると思います。パートで入社しても、家庭の状況が許すようになれば正社員になることは容易です。営業力・企画力がある話せる有資格者にやめてもらっては困りますから。
もっともその時点で事務所を変えても構いませんが。

 

なお、スキルはきちんと仕事を考えながらやり続ければ徐々に経験と共に身に着きます。また、全体像は、何年かするうちに自然とわかってきます。専門職ですから時間がかかるのはやむをえません。

 

 

A.2
りんご様の場合なら、消費税法、相続税法、所得税法を合格しており文句なく「法人税法」です。

普通の会計事務所の場合、
会計入力のために、簿記・財表・消費税の知識が必要ですし、
申告書は、所得税より法人税の方が圧倒的に重要です。
専門書を読んでも(所得税法を勉強しており重複する範囲も多いのでいけると思います)、専門学校のWEB講義でもどちらでも構いません。

 

専業主婦が長い方の場合は、これにPCスキルが加わりますが、
ワード、エクセル、ネット検索が普通に使えればいいという程度で、りんご様は問題にならないでしょう。

 

ここまでで十分だと思いますが、何かしてないと落ち着かない、頑張るのが大好きというなら、しいて言うなら早くから外回りをしたいなら新聞の政治・経済・国際面を読んでおくと採用では重視されませんが働く上では役に立つでしょう。
(営業ご出身なので私に言われなくても読んでおられるかもしれませんね)

 

最初のお子さんで、実際には子育ての準備やイベントも結構あります。生まれたら乳児は365日24時間母親を休ませてくれません。

子育ても、過ぎてしまえばあっという間です。ゼロ歳のその子と過ごせるのはその瞬間だけです。

この一年は、あまり無理をせず、子育てを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

===================
税理士法人TOTALは、現在子育て中のお母さんは35名 うち正社員20名、パート15名です。産休はのべ15名がお取りになり、今も産休・育休中の方が4名います。
これだけ多いと遅刻、早退、欠勤はお互い様で誰も驚かないし、助け合う文化になっています。
税理士・税理士有資格者は、正社員もパートもいます。
多店舗展開もしているので、船橋で勤務していたスタッフが他のエリアで復職してくれたケースもあります。
最近では、採用の段階で子育て支援を念頭に、女性に選んでいただいていると感じることもあります。ありがたいことです。

 

子供って良いですね。うちは子供たちも大きくなってきて、親離れが始まっており、あと何回一緒にディズニーランドに行けるのかと考えるとパパはちょっとさみしかったりします。
===================

 

 

 

 

 

 

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執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL
代表社員税理士

高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国17拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

この記事へのコメント

  • 繁忙期でお忙しい中、大変丁寧なご回答を頂きましてありがとうございました。
    ちょうど引越しのタイミングでの妊娠ということで、今後のキャリアについて悩むことも多く、頑張ってとった資格を活かすことができるのか不安に思っていましたが、先生からのご返答を読ませていただき、安心して出産に臨むことができそうです。

    なかなかない機会ですから、出産・育児を楽しみつつ、時間を見てアドバイス頂いた法人税の勉強を進めたいと思います。
    ありがとうございました。

    2015年2月8日 1:53 PM | りんご

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