キャリア相談室

公認会計士受験生の税理士法人・会計事務所への就職

東京都千代田区と千葉県船橋市の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

■年齢 23
■性別 男
■資格 簿記2級
■税理士科目 2年前に簿記論(B判定)・財務諸表論
■職歴 なし
■学歴 大学院在学(東一工)

■居住地 東京

Q.

私は大学時代に税理士を目指していましたが、現在公認会計士取得に方向転換し、勉強を始めました。大学院では会計・財務を中心に経営学を学んでいます。
就職先は、資格取得勉強が可能であると思われる会計事務所を希望しております。しかしながら、税理士科目合格者や受験生を募集されている事務所が多いようですが、会計士受験生を募集している事務所が少ないと感じています。税法のような知識がない分、会計士受験生に対する門戸は狭いのではないかと考えていますが、どうなのでしょうか?

税理士法人などでも私のような経歴の会計士受験生を受け入れてくれる可能性はあるのでしょうか?

A .

税理士法人TOTALは、公認会計士・論文式試験合格者は募集していますが、公認会計士「受験生」は募集していません。 受験生には受験に専念することをお勧めしています。 会計士の受験を断念した方で、優秀な頭脳と会計の知識を、税理士業務で生かしたいという方はお待ちしています。

公認会計士試験は、専業受験生の比率が高く、短期決戦型のため、仕事と受験の両立は難しいと考えるからです。これは、ほとんどの税理士法人で税理士主宰でも、公認会計士が主宰でもあまり変わらないと思います。

税務の仕事は技術性・専門性が高いし、さらに外回り(お客様を直接担当する)ならコミュニケーションスキルや安定した人間関係も必要で、人材の育成に一定時間かかるのです。

合格したら監査法人に転職するのがわかりきっている公認会計士受験生をじっくり育てる税理士法人はほあまりないと言って良いでしょう。

一部に公認会計士試験受験生を採用する税理士法人がありますが、その多くは、会計入力のためのパンチャーか、手っ取り早く利益を上げられる「派遣要員」としての採用でしょう。優秀な人材を安く雇えて税理士法人は儲かります。

もしかしたら、一緒に将来やっていきたいという「公認会計士の卵」を青田買いする税理士法人もあるのかもしれませんが、税理士法人のリスクが高いでしょう。

税理士法人に就職しようとする公認会計士試験受験生のメリットは何なのでしょう?

残念ながら、将来、独立して税理士を兼務するための経験としては会計入力や経理派遣はあまり役に立たないでしょう。それ以前に、公認会計士試験の合格までに余計な遠回りになる可能性が高いです。公認会計士試験は三大国家試験ともいわれる難関です。合格者の増加、採用枠の減少予測を考えると20代前半に一年でも早く合格されることをお勧めします。

公認会計士は、受験に専念して、できれば20代半ばまでに短期で取るべき資格

税理士は、最初に専念すれば、20代後半~30代でも働きながら合格できる資格

だと思います。

公認会計士は監査業務を中心に行う仕事で投資家保護という立派な社会的意義があります。公認会計士という仕事を選ぶ以上、税理士2世でもない限り、無理に税務にこだわる必要はないのでは。

公認会計士と税理士は同じ「会計」というフィールドにあっても、監査と税務という別の仕事だと思います。一部で税理士業務をするにも公認会計士になる方が良いと言う意見があるようですが、以前に比べて、それぞれがかなり高度化・複雑化した現在、知識のアップデートを考えると兼務は難しくなっていくと思います。

公認会計士になった後で監査業務に興味がない・向かいないで税理士業務にご興味があれば、そのときに会計事務所・税理士法人へ転職することを考えれば良いでしょう。

今はまず、目の前の公認会計士試験の合格に全力を尽くしてみませんか。

もし、税理士試験の免除も視野に大学院進学をされたのなら、会計士試験合格が難しいと判断した後でも、学歴や科目免除の状況から税理士に転じることはそう難しくないと思います。税理士は挫折や失敗の経験が生きる資格です。

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執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL
代表社員税理士

高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国17拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

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