キャリア相談室

IT業界(SE・プログラマー)から税理士業界への転身

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

年の初めから1か月、すでにお二人の方に税理士登録のための在職証明書を書きました。

税理士法人TOTALは、年々、税理士・有資格者が増え、30名を超えました。
先日、税理士の勉強会で
「どうして先生のところは税理士が採用できるのですか?」
とご質問いただきました。
経験を積んだ「税理士」の採用は、多くありません。
在籍中のスタッフに勉強してもらって税理士試験に合格してもらったり
未経験の税理士有資格者に実務経験を積んでもらって
地味ですが徐々に税理士が増えてきているのが実情です。
税理士になって、 税理士法人TOTALに残ってくれる方、独立して自分の力でやってみる方
どちらも頑張ってくれています。
今後も、より多くの税理士を生み出していければと思っています。

 

 

新規のご質問はここをクリック してください。

 

ろく 様からのお問合せです。
■年齢 28歳
■性別 男
■資格 簿記2級(昨年取得)
■職歴 ネットワークエンジニア 5年 勤務中
■学歴 MARCH(法律学科のため税理士の受験資格有・1浪入学)
■会計事務所経験 なし
■居住地 茨城 転職先付近に引っ越す予定

 

初めまして。コメント失礼いたします。
いつも興味深く拝読させていただいております。
私の悩みも相談させていただければと思います。

 

現在いわゆるSEで働いている私ですが、税理士に興味があり会計業界への転職を希望しています。
資格は簿記二級しかない現状ですが、現在の仕事は精神的にキツく早めに転職したいと考えております。
また受験に専念出来るだけの費用的な余裕もありません。

 

Q.この先私が考えているのは、
(1)転職活動をすぐ開始し、アルバイト・パートでも良いので会計業界に入る。
(2)6月の簿記1級を目指し、合格発表後の8月に転職活動をする。
(3)簿・財を取得するまで勤務しながら学習し、その後転職活動をする。
を選択肢として考えております。
この3つではどれが良い選択でしょうか。
心情的には(1)を希望していますが、やはり難しいのでしょうか。

 

 

A.
コンピューターが普及する一方で、成果主義的な評価がされる社会では、労働者は精神を病む方が全体的に増えてきています。

 

その中でも、IT業界(SE、プログラマー)は、
・厳しい納期
・不規則な仕事
・長時間労働
・外出が少なく運動不足になりやすい
・お客様との接触が少なく直接感謝されにくい
・35歳定年説がいわれるように技術についていかなくてはいけないというプレッシャーが強い
・真面目で責任感が強くやや内向的な方が多い
これらによりうつ病や統合失調症など精神疾患になる男性が多い仕事とされています。

 

一方で、女性にとってIT業界は、男女差別はないけれどその分男性同様に不規則で長時間の仕事のため、結婚・出産との両立が難しくなっています。

 

このため、IT業界から、長く安定して働ける税理士業界への転身は男女とも非常に多く、
税理士法人TOTALでもSE・プログラマーといった元IT業界出身者の方が多く(1割程度)在籍しています。

 

IT業界だと、作業を若いうちに体で覚えることが重要ですし、人不足もあり、若いうちの給与は比較的高めです。もっとも30代後半以降は、より上流工程をこなしたりマネジメント能力がないと給料が上がりにくくなります。

 

税理士業界は、複合的な知識、コミュニケーション能力、継続した人間関係が重要なため、どうしても経験年数が必要になり入社当初は給料は低めです。
逆に言うと、年々給料は上がっていき、国内産業で、国家の基盤となる税金に関する法律を扱うため他の業界に比べると大きな変化も少なく安定した仕事だともいえます。

 

一方で、税理士試験は

若さ=暗記力+速記力

がより必要とされます。

科目合格制ゆえに、逆に1つ1つの科目のレベルは高く、仕事と受験の両立は楽ではありません。
専門性、営業力(信用)で劣る無資格者の給与は、途中から上げにくくなり、年齢とともに作業処理能力は衰えるので、男性にとっては40代前半までに資格を取らないと給与が上がらなくなる可能性が高い仕事でもあります。

 

女性にとっては、家の近くでどこにでもあるため夫の転勤に対応しやすく、通勤時間を短くでき、家庭(家事や育児)との両立がしやすい数少ない事務系の仕事です。

 

若さは永遠ではありません。今、ろく様が思っているよりも、残念ながら税理士試験は正社員として働きながら合格するのは大変です。
頭の良し悪しはほとんど関係ありません。どれだけ詰めて覚えて、どれだけ速く字が書けるかが重要です。
受験に専念して本気で勉強すれば、若ければ比較的簡単に受かる試験です。

 

平成27年度税理士試験の科目合格率(国税庁)は
25歳以下 32.4% に対して 41歳以上は10.4%
実に3倍(トリプルスコア)以上、
見事なまでに年齢と相関関係があることがわかります。税理士業界を目指す男性には、声を大にして言いたい。

 

税理士を目指すなら、出来れば2科目は合格してから正社員になるべきです!

 

30歳前後までに2科目合格で、その後もあきらめずに勉強を続けられるなら、平均して30代半ば、(大学院進学も含めれば)おそくとも40歳頃には税理士になれるはずです。

 

本当は、人生をかけて親に頼み込んででも
1年程度は受験に専念するのが最善だと思っていますが、
ご家庭の事情もそれぞれおありでしょう。

 

親の協力が得られない場合、ろく様のご質問の回答ですが、
(2)はありません。
簿記1級は工業簿記中心の大企業経理のための資格で、税理士業界にとっては(努力は認めますが)簿記2級と大差がなく重要ではありません。

 

(3)は、仕事が時間的につらくないなら最有力なのですが、
精神的にきつい長時間労働なら難しいかもしれません。
頭が切り替わるか、時間の融通ができるかを考えてみてください。

 

(3)が難しい場合、消去法として(1)になります。
上記の理由から、税理士試験の受験をこれから始める ろく様には、正社員はやめてパート・アルバイトを選んでいただきたいですが、
給与が安いので、できれば実家から通える、通勤時間が短い(30分程度まで)会計事務所が望ましいと思います。

 

税理士は、社会的にも評価され、お客様にも感謝される安定した良い仕事だと思います。
ただ、税理士になるには、正社員になるまでに何科目合格しておくかと、あきらめない心が重要になります。

 

 

ご質問はここをクリック してください。

 

インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。

 

また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。 ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。

過去記事の検索」はこちらです。

 

 

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執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL
代表社員税理士

高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国17拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

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