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税理士事務所に残ってほしい人、後継者

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

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辰巳様からのお問合せです。

Q.

私は会計事務所に勤めている人間です。
日頃より疑問に思っていることがあり、質問をさせてください。

 

 

記事「会計人の適性 みんなちがって、みんないい。」の本文中に

『所長と同じだけできる人間なら、そもそも独立して一人でやった方が良い』

とありますが、
税理士資格を持っている方は基本的に、社交性がない方が多く(私の周りだけかも知れませんが)、実力(実務・営業力等)が所長以上だから独立ではなく、組織適性が低いので独立する印象です

(そのような方を批判するつもりはなく、私自身が組織適性は低い方だと思います。)

そのような方は周りとうまくいかず、所長からもあまり会社に残って欲しいとは思われていないのではないでしょうか。
所長の御立場から会社に残って欲しい、或いは自分の後継者になって欲しい税理士とはどのような人物でしょうか。

 

A.1 事務所に残ってほしい人、残ってほしくない人

『所長と同じだけできる人間なら、そもそも独立して一人でやった方が良い』

と書いたのは、

「自分は所長と同じくらい出来る」と思っているくらいの人は、独立した方が良いと言っているだけで、そこまですぐれた人が多いという意味ではありません。

自己評価は誰でも高いですから、勘違いを含めて、

「そこまで思うならやってみなさい」というメッセージです。

 

税理士資格を目指す方は、営業適性がなく、資格があれば(勉強ができれば)安定してご飯が食べられると思って資格を目指した、社交性がない方が多いのは事実でしょう。また、実務能力がある方は、所長もそれなりに処遇します。

このため結果として営業力・実務能力が低い方が独立することが多くなります。

 

前回もお書きしたように

税理士事務所の男性はどちらかというと、
営業は通用しなかった。ノルマがきつくて嫌だった。
そもそも組織適性がなかった。
人付き合いが苦手で、勉強の方が好きだった。
ミスして怒られて、大企業では通用しなかった。
新卒で大企業に選ばれなかった。
体を壊していた。
メンタルがやられていた。

……

なんていう人が 私を含めて 多いのです。

 

そういう方も、きちんとした事務所で、お客様に育てられると
コンプレックスを糧に、人の痛み、お客様の気持ちがわかる、いい税理士になるのです。

だって、中小企業の社長さんは、
大企業にいるサラリーマンタイプではなく、
なんらかの挫折をしてきた、コンプレックスを持った方が多いのですから。

 

「会社に残ってほしい人」は「会社にとって必要な人」です。

現在のような人不足の時代には、ほとんどすべての人に残ってほしいと私や多くの所長は思っています。

昔は、たくさん採用して、合わない人を振り落とすような税理士事務所もありましたが、そんな余裕はありません。

せっかく採用できた人をいかに生かすかを所長は考えているのです。

 

社交性がない人は、黙々と嫌がらず作業をしてくれるかもしれない。
税務・会計の実務が苦手な方は、気が良く庶務をやってくれるかもしれない。
営業ができない方は、難しい調べ物は得意かもしれない。

 

それぞれの個性を生かせば

「みんなちがって、みんないい。」

ですし、

組織になれば、一人ですべてできる必要はないのです。

 

「残ってほしくない人」がいるとすれば、

所長の思いえがく組織像に入ってこれない人です。
自分勝手で、組織の方針に反対する人
所長の指示に無駄に反発して従えない人です。
自分の思い通りに働きたい人は自分で独立した方が幸せです。

そういう意味では、辰巳様がおっしゃるように組織適性が低い方が独立していると言えるでしょう。

 

A.2 事務所の後継者

会計事務所の承継も、最近ではビジネスになってきて、M&Aも活発です。
(高齢の所長の事務所で後継を狙うというのは逆に難しくなりました)

税理士法人TOTALは、4つの会計事務所の後継者として選んでいただきました。

その際に当社が選んでいただけた理由は、おそらく、

(1)税務の技術がしっかりしている

専門家ですから当然ですが、プロフェッショナルを束ねる以上、高度な技術は欲しいですね。

 

(2)お客様とうまくやっていける

技術よりも、むしろ人柄です。所長が大事にしてきたお客様をいかに失わずに、きちんと面倒を見てくれるか。

 

(3)既存のスタッフとうまくやっていけるか

所長は引退しても、スタッフは残ります。その人たちの人生を大きく左右するので、人に対して誠実で、かつ、管理能力があるかどうか

 

(4)自分が作ってきた文化をある程度尊重してくれるか

もちろん、企業文化は時代に合わせて変えていかなければならないことも多いでしょう。

それでも、今までやってきたことを否定するのではなく、その流れを一部背負っていってほしいという思いは創業者なら持つものでしょう。

 

金銭的なものとは別の理由で選んでいただいた方も多かったことと思います。

努力はしていますが、果たして先代所長の期待にどれだけ私はこたえてるのでしょうか…。

(会計事務所を売却したいと思っている所長先生からの直接のお問い合わせは今もお待ちしています)

経営者にとって、後継者の選定・育成は、最後の、そしておそらく最も重要な仕事の一つです。

 

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私自身、60代で後継者に税理士法人の経営を譲ろうと思っています。

その際に考えるのは、上記の4つに加えて、

 

(5)実績をきちんと出していること

その頃には税理士法人TOTALはおそらく1000人前後の組織になっています。

創業者ではない方が、それだけの人数を束ねるには、文句を言われないだけの実績を出して求心力を働かせる必要があります。

 

(6)時代が求めるものと合っていること

後継者は、10年以上にわたって、経営を見ていくことが求められます。

私と同じ時代を生きるわけではありません。来たるべき将来に必要とされる何かを持って、時代に合わせて組織や技術を変えていく必要があります。

 

今いるメンバーか、それともこれから入って来る人物か、

それはわかりません。

ハードルは高いですね。

でも、きっと見つかる、そして育ってくれると思っています。

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税理士 高橋寿克

この記事に関するコメント

  • 高橋先生
    お忙しい中御回答くださりありがとうございました。
    先生の
    『所長と同じだけできる人間なら、そもそも独立して一人でやった方が良い』
    という言葉の真意もよくわかりましたし、
    私が日頃感じていることについても、納得ができました。
    ありがとうございました。

    2017年4月27日 12:44 PM | 辰巳

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