中卒者の税理士事務所就職

2016年03月20日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

経営コンサルタント、ショーンK(こと川上伸一郎)さんの学歴詐称が問題になっています。
テンプル大学卒、ハーバード大学院MBAではなく、
日本の高卒、ハーバードの誰でも受講できるオープンコースを受講しただけだったとのこと。
コンサルタントにとっては、学歴は大事な看板です。
「これはダメ」(by加藤浩次)ですね。

ただ、事実を認めて謝罪したので、落ち着いたらやり直してほしいものです。

税理士業界でも、早稲田大学卒や 慶応大学大学院法学研究科修了としていながら
税理士なら受講できる「税理士のための法律講座」を修了しただけの方もいます。
(学生時代の話が、まるでかみ合わないのでわかったりしました)
一定規模の税理士事務所・税理士法人のトップだったり、
セミナーをする上でかっこ悪かったのでしょうが、
学歴誤認を狙って意図的に使うのはやはり、
「これはダメ」でしょう。

もっとも、学歴コンプレックスは私にもありますね。
息子にはできれば、東大に行ってほしいなあ。

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希様からのお問合せです。

■年齢 29歳今年で30歳
■性別 男性
■資格 簿記一級、全経上級、簿記論、財務諸表論取得、消費税法受験経験あり
■職歴 接客業中心に転々としてきました
■学歴 中卒
■会計事務所経験 未経験
■居住地 地方
■その他 無し

高橋先生始めまして、希と申します。

今回の相談に関してアドバイスを頂けたら幸いです。

私は今現在受験専念をしており、
2014年に簿財に合格し、2015年消費税法A判定不合格、
そして今年は消費税法を受験しようと予定しています。
今年でもう30歳になりますし受験専念も3年目、今年の受験後にどうしようか悩んでいます

Q.1
以下は私が考えているプランです。
(1) 今年の受験後8月に就職、その後は働きながら官報合格を目指す
(2)今年の受験で消費を取得、さらに専念し、翌年にもう1科目受験し8月に就職、その後は働きながら官報合格を目指す
(3)今年の受験後8月に就職、その後は働きながら通信制の大学に行き、大学卒業後仕事をやめ大学院に入学し院免、再就職

私の中では(1)が一番いいのではないかと思っていますが、仕事しながら難関の税法に合格できるのか不安でしょうがないです。
ただ年齢も高いので受験専念を延長するのはやめたほうがいいのではないかと思っています。
そもそも私のような「学歴」、「職歴」、「若さ」など何もない者が就職できるのかという疑問もあると思いますがアドバイスお願いします。

Q.2
そして最後に大学入学からなので年数はかかりますが院免も選択肢に考えています。

A.1
私も(1)がお勧めです。

「学歴」

税理士の学歴」を参照してください。
税理士事務所の職員の学歴は、上記に比してやや高卒と短大卒が増えるくらいでしょう。
税理士法人TOTALでも、高卒の方はそれなりにいますし、
高校中退で高認(高等学校卒業程度認定試験)の方は数名いますが
中卒の方は残念ながらいません。

ただ、簿記1級を持っており、
簿記論、財務諸表論を初年度で合格、
消費税法も初年度でAなら、
「学歴」に代わる「学力」「地頭の良さ」の証明はある程度されていると思います。

「若さ」
今より若いときはないので、2科目持ち、税法受験経験ありなら就職は早い方が有利です。
売手市場の今、1年でも早い方が良いので(2)はあまりお勧めできません。
20代はともかく、30代になると、1科目進むよりも1歳若い方が価値は高くなります。
長い受験専念もマイナス評価になります。

「職歴」
接客業だと、にこやかに話すことはできると評価されます。

接客業から30歳前後で会計業界に入って来ると、
①コミュニケーションの質
その場の単発のコミュニケーションではなく、継続して安定した信頼関係を築くためのコミュニケーション能力
②事務処理能力
パソコンを駆使して速く正確な同時並行能力、期日と品質の管理が求められます。

この2つの差に戸惑います。

(職歴の中で店長等を経験していると、並行処理能力、管理能力もある程度鍛えられているはずです)

責任ある仕事ですし、当初の2年くらいは仕事中心でないと回らないと思いますから(3)は難しいでしょう。
通信制大学は入学のハードルは低いですが、卒業のハードルはかなり高いです。
文部科学省の学校基本調査(平成26年度)によると、
通信制大学の入学者12,310名 正規の過程の学生数166,778名です。
仕事が忙しい中、通信制の大学を4年ちょっとくらいで卒業するのは厳しいかもしれません。
学費を払うだけになってしまう人も多いでしょう。
放送大学や産業能率大学を選ぶ等の工夫をすれば多少は楽にはなると思いますが。

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税理士法人TOTALでも、通信制(大学院ではなく)大学に通っておられる方がいます。
大学院免除のためではありません。
勉強そのものがお好きなようです。
素晴らしい!
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まずは、今夏まで受験勉強を頑張って、試験後に求職活動をしてください。
そうすれば、税理士業界からの評価もわかるはずです。
ある程度の評価は受けられるような気がします。
駄目だとしたら、
・人柄・ポテンシャルが足りないと思われるケースか、
・お住いの地方では適当な求人がないケースでしょう。

最近は、地方の疲弊が止まりません。その中でも中小企業の衰退は進んでいます。
地方の税理士業務は大都市圏よりも厳しいでしょう。
希様も、場合によっては首都圏など、大都市圏に来た方が良いかもしれません。

A.2
大学院は、あまり知られていませんが、実は大学を卒業しなくても入学できます。
大学院が個別の入学資格審査により認めれば高卒等でも入学できます。
ただし、個別の入学資格審査を実施するか否かなどは、各大学の判断となっておりますので、実際に受験資格が認められるか否かは各大学にお問い合わせ下さい。

首都圏なら、働きながら週末・夜間で大学院に通うことができます。
このため、一部の大学院から、税理士試験の2科目合格者について入学資格審査の推薦依頼が私の所にも来ています。
大学院も受験生確保に必死です。

なお、大学院免除では、通信制の東亜大学院が有名ですが、入試倍率は3倍程度と高いしなかなか大変とお聞きしています。
実際に通える大学院の方が、やはり修了・論文作成をするのは楽でしょう。

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税理士法人TOTALでは、東亜の通信制大学院1名を含む4名が、働きながら大学院に通っています。
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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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