税理士試験の難化(会計事務所から30歳での転身)

2019年12月22日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「税理士試験の難化(会計事務所から30歳での転身)」

 

令和元年度(第69回)税理士試験の結果が発表になりました。

税理士法人TOTALは、今年も官報合格者を輩出できました

(これで9年連続官報合格者を輩出しています)。

 

連続合格記録が無事に途切れずに良かった。

今年の官報合格者は入社2年目、仕事と受験の両立はかなり大変だったはずです。おめでとうございます。

 

科目合格者の中には、出産明けのママさんスタッフもいます。
主婦の時間のやりくりの上手さは男性も見習わないといけないですね。

 

合格した皆さん、
おめでとうございます!

 

なお、税理士法人TOTALの受験生支援は
・税理士試験受験料の負担
・大学院進学費用の全額又は一部負担
・試験休み制度
・有給休暇の活用
・自習室の確保
・担当割の工夫(試験前にあまり担当をつけない)
・受験メインのパートである「受験スタッフ」制度
といった形になっています。

 

実際には、周りに働きながら頑張っている優秀な受験生が大量にいるという環境そのものが、最大の受験生支援なのかもしれません。

 

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だから様からのご質問です。

■年齢 30歳
■性別 男性
■資格 簿記論、財務諸表論
消費税6回受験
■職歴 会計事務所4年程度
(会計事務所1年程度を4箇所)
■学歴 march
march大学院で税法免除
■会計事務所経験 会計事務所正社員3年、アルバイト1年
■居住地 首都圏
■その他(特殊事情等)
こんにちは。
いつも参考にさせていただいています。

少しご相談がございます。
大学院を卒業し、卒業した後に会計事務所で働きながら、税法を受けていたのですが、どうしても受からず、資格が得られず、給料も上がらないためことから、会計事務所を離れようかと考えています。

恐らく事業会社に転職したあとも税理士試験は続けようと考えています。

Q.

高橋先生の会計事務所でも私と同じような状況で事業会社に転職された方はいらっしゃいますか?
また、試験が受からない場合にはこのような選択は間違っていないと思いますか?

30にもなりそろそろ自分の年収が気になりはじめ、結婚なども考えると年収350万でいる自分の給料が恥ずかしいと思うようになりました。

お時間あるときにでも、ご相談のっていただけたらと思います。

 

A.

うーん、きついですね。

今年の結果を踏まえて、税理士試験の難化が進んでいると感じています。

 

税理士試験は以前は、新規受験生の流入があったので、

名目合格率は10%台でも実質合格率は30%近い感覚でした。

実際、専門学校の上級コース(既修者コース)の合格率はかつて、クラスによっては30%以上ありました。

数年前までは、TOTALの科目合格率も25%くらいが普通だったのです。働きながらで大変ですが、優秀な真面目なスタッフに条件を整えてあげれば何とか合格して行っていました。

大学院進学・税法免除が一般的になったせいか、お試し受験、冷やかし受験がほぼいなくなり、受験生数は年率10%近い減少で以前の半分しかいません。

そうすると、酒税、国税徴収法を真面目に受ければ何年目かには合格するというかつての黄金パターンが通用しなくなってきています。

 

今年の結果を見ると住民税や事業税を受け続けて合格率が高い年を待つのが新攻略法かもしれません(みんな同じことを考えるので当たる保証はしません)。

 

消費税法の合格率は安定して11~12%くらいで、母集団のレベルはおそらく週1科目では一番高いでしょう。

実務に役に立つ科目を目指す真面目な人が多いはずです。

そうなると合格するまで10年近くかかる可能性があります。

 

税理士法人TOTALでも事業会社に転職していったスタッフはいます。

 

男性受験生の場合、税理士になった方、まだ受験生をしながら働いている方、受験はやめたけれど会計業界にいる方が多いですね。

正確ではありませんが、感覚的には約2割の方が安定を求めて事業会社に転職して行っています。

転職がうまくいった人もいれば、会計業界に戻ってきた人もいます。

 

だから様の選択が正しいかどうかは、価値観に何を置くかですから、私は軽々には言えません。

 

人不足の危機感を会計事務所経営者も強く持っており、

賃上げ、労働条件の見直しは進んでいます。

会計業界も徒弟制、丁稚奉公の世界から普通の産業に変わってきています。

税理士法人TOTALでも、受験生段階での結婚は増えています。

 

だから様で問題があるとすれば

MARCH卒、2科目持ち、経験4年で年収350万円は安いですね。

首都圏ではその条件だともう少し給与は高いと思います。

もっとも1年単位で転職しているためやむを得ないかな。

(会計事務所の場合、業務が標準化されておらず、転職して半年程度は事務所のルールの違いについていくのがつらいので生産性が上がりません)

 

税理士法人TOTALでも合格率の低下、受験生の点数の低さは悩ましい問題です。生産性を上げて何とか労働環境をより合格しやすいように整えてあげないといけないでしょう。

 

だから様の場合、親が助けてくれるなら(その他の方法でも外部環境を整えられるなら)受験専念がおすすめです。

そもそも6回も週1科目である消費税法を受験すると飽きて何をしていいかわからなくなっていませんか。新科目を追加すると刺激的です。もちろん手が回らなそうなら直前期でそちらを切っても構いません。

 

どうしても外部環境を整えられない場合、税理士法人TOTALで受験スタッフという方法もあります。念のため。

 

私も4年間の勤務を経てラスト1科目が合格できなかったので、親に泣きついて最後の年は専念して2科目を受験しました(6科目受験)。

その結果、そのうちの1科目に合格して税理士になることができました。

合格して嬉しいというより、ホッとしたというのがそのときの正直な感想です。

 

自分のつらかった経験を踏まえて、税理士法人TOTALでは受験生を本気で支援しようと思っています。

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税理士法人TOTALも、あと数点(50点台)で合格できない人が多くなってきました。

そういう方には、大学院進学を進めるのですが、本人はあと数点だとなかなか気持ちの切り替えができないようで、受験にこだわる方が多いですね。

会計人はそもそも変化を好まない、保守的な方が多い業界ですからなおさらです。

合格後の仕事で勝負すれば良いと思うのですが、意地もあって難しい問題です。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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