キャリアコラム

行政書士業務で稼ぎやすい分野と今後伸びる分野は?

行政書士業界の現状:年収の二極化と「土俵選び」の重要性

行政書士業界は現在、大きな転換期にあります。日本行政書士会連合会の調査では、年間売上が500万円未満の層が約7割を占める一方で、1,000万円を超える層も一定数存在しており、顕著な二極化が進んでいます。この差を生む最大の要因は、どの業務分野を専門にするかという「土俵選び」の戦略にあります。

特に2025年から2026年にかけては、改正行政書士法の施行や行政手続きのオンライン化が加速します。求職者の皆様にとって、現在の安定的な収益源となる分野と、将来的に爆発的な成長が見込まれる分野を理解することは、長期的なキャリア形成において不可欠です。

現在において安定的に「稼げる」主要業務分野

現在、行政書士の実務で高い収益性を維持しているのは、企業の事業継続に直結し、かつ継続的な需要がある分野です。

建設業許可および関連業務

建設業許可申請は、1件あたりの報酬が10万円〜15万円前後と高く、行政書士業務の「王道」です。最大の魅力は、毎年の決算変更届や5年ごとの更新申請、公共工事への入札に必要な「経営事項審査」など、一度の受任から継続的な業務が発生するストック型の収益構造にあります。

 国際法務・入管業務(ビザ申請)

労働力不足を背景に、外国人材の受け入れに関するビザ申請の需要は非常に強固です。1件あたり5万円〜10万円前後が相場ですが、企業の大量採用や高度人材の招聘など、専門性の高い案件では単価がさらに上がります。特に英語などの語学スキルがあれば、海外からの直接受注も可能になり、大きな差別化要因となります。

今後、飛躍的な拡大が期待される「伸びる」分野

技術革新や法改正に伴い、従来の枠を超えた新しい市場が次々と誕生しています。

特定技能制度と登録支援機関業務

2024年から2025年にかけて対象分野が拡大されている「特定技能」は、現在最も勢いのある市場です。行政書士はビザ申請を行うだけでなく、自ら「登録支援機関」として外国人の生活支援業務を継続的に受託できます。これにより、月額1.5万円〜3万円(1名あたり)といった安定的なストック収益を構築することが可能になります。

ドローン(無人航空機)および観光法務

ドローンの産業利用拡大に伴い、飛行許可申請のニーズは右肩上がりです。また、インバウンド需要の復活により、民泊の届出や旅館業の許可、さらには夜の街の営業許可(風俗営業)なども、対応できる専門家が不足しており、チャンスの多い分野です。 

DX支援と高単価コンサルティングへの進化

行政手続きのデジタル化(DX)は、行政書士の役割を「代書屋」から「コンサルタント」へと変貌させています。

補助金申請支援と経営サポート

ものづくり補助金やIT導入補助金などの申請支援は、採択額の10%〜20%程度の成功報酬が得られる、極めて収益性の高い分野です。また、2025年以降は電子申請が原則となる手続きが増えるため、企業のデジタル化そのものを支援する顧問業務の需要も高まっています。

求職者が成功するためのキャリア戦略

行政書士として成功するためには、幅広い業務を浅くこなす「ゼネラリスト」よりも、特定の分野を深く掘り下げる「スペシャリスト」を目指すことが近道です。

  • 専門特化のメリット:特定分野に絞ることで業務効率が向上し、他士業からの紹介も得やすくなります。
  • 求められるマインド:制度改正やIT化をチャンスと捉える柔軟性と、クライアントの悩みを引き出すコミュニケーション能力が、AI時代に生き残る武器となります。
  • 採用市場での評価:未経験であっても、正確な書類作成能力やスピード感、チームワークを大切にする姿勢は高く評価されます。

結論

行政書士は「稼げない」と言われることもありますが、建設業や入管業務といった安定基盤を持ちつつ、特定技能やDX支援、ドローンといった成長分野に挑戦することで、高年収と社会貢献を両立できる魅力的な職業です。変化を恐れず、自らの専門性を磨き続けることが、明るい未来を切り拓く鍵となるでしょう。


行政書士事務所で働くことに興味や関心がある方はこちらの採用情報もぜひご覧ください。
皆様のご応募をお待ちしております。


この記事をシェアする

facebook x line hatena-bookmark copy
URLをコピーしました

執筆者

徳地 悠一

行政書士法人TOTAL

徳地 悠一

行政書士。中央大学卒業。
特に医療法人の設立・届出に精通。多様なニーズに応えるべく、きめの細かく満足度の高い技術・専門サービスを目指す。
学生時代に鍛えた体(箱根駅伝に3度出場)で、フットワーク軽く業務に当たる。

コメントを投稿する

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

コメントは管理者の承認後に反映されます

CAPTCHA


関連するコラム

  1. 行政書士の新たな可能性:税務の知識が拓くキャリアの「掛け算」

    行政書士
    士業で働く
  2. 行政書士になるために。資格・制度や勉強法について徹底解説

    行政書士
    業界未経験就職活動試験勉強士業で働く行政書士試験
  3. 行政書士・司法書士・社会保険労務士・税理士-各士業の特徴と連携

    税理士社会保険労務士行政書士司法書士
    士業で働く

サイドメニュー

カテゴリ

  1. キャリア相談室
  2. キャリアコラム
  3. 採用ニュース

タグから探す

よく読まれている相談

  1. BIG4税理士法人で働くということ
    BIG4税理士法人で働くということ
    2019.07.28
  2. 税理士の学歴
    税理士の学歴
    2015.12.26
  3. 会計事務所の転職(離職率、マニュアル化、新人教育、残業時間)
    会計事務所の転職(離職率、マニュアル化、新人教育、残業時間)
    2020.10.24
  4. 会計事務所への就職~社会人経験なし、科目合格なしの場合
    会計事務所への就職~社会人経験なし、科目合格なしの場合
    2026.08.26
  5. 高卒での大学院進学(税理士試験免除)
    高卒での大学院進学(税理士試験免除)
    2018.04.14

最新の記事

  1. 会計事務所のパートと正社員の選択と転職時の評価
    会計事務所のパートと正社員の選択と転職時の評価
    2026.09.02
  2. 会計事務所への就職~社会人経験なし、科目合格なしの場合
    会計事務所への就職~社会人経験なし、科目合格なしの場合
    2026.08.26
  3. 会計事務所は新卒ではいるべきか、中途入社が良いか
    会計事務所は新卒ではいるべきか、中途入社が良いか
    2026.08.17
  4. 最終回:時間はかかったけれど、合格した今だから言えること
    最終回:時間はかかったけれど、合格した今だから言えること
    2026.08.12
  5. 「就職と専念、どちらを選ぶべきか」新卒の判断基準
    「就職と専念、どちらを選ぶべきか」新卒の判断基準
    2026.07.23

最新の採用ニュース

  1. 関東学生新聞連盟合同新聞に掲載されました
    関東学生新聞連盟合同新聞に掲載されました
    2026.08.24
  2. 横浜市立大学の学生へ向けた税理士業界講義に登壇しました(7月28日開催)
    横浜市立大学の学生へ向けた税理士業界講義に登壇しました(7月28日開催)
    2026.08.05
  3. 大原キャリアナビHPにて「会社紹介動画」を公開中
    大原キャリアナビHPにて「会社紹介動画」を公開中
    2026.08.03
  4. 合同就職説明会に参加します【TAC主催:8月7日(東京)・8月8日(大阪)、大原主催:8月8日(東京)】
    合同就職説明会に参加します【TAC主催:8月7日(東京)・8月8日(大阪)、大原主催:8月8日(東京)】
    2026.07.17
  5. TOTAL Groupオンライン会社説明会(7月・8月)のご案内
    TOTAL Groupオンライン会社説明会(7月・8月)のご案内
    2026.07.17
TOTALグループ採用サイト
  1. お役立ち資料
  2. 士業キャリア相談室とは
  3. 執筆者紹介