アラサー 高卒・未経験者の会計事務所への就職

2021年11月07日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

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S.S様からのご質問です。

■年齢 31歳
■性別 男性
■資格 日商簿記2級
■職歴 高校卒業後、アルバイトや派遣を続けてきました。
現在は契約社員です。
■学歴 高卒
■会計事務所経験 なし
■居住地 首都圏
初めて質問させていただきます。
今後、税理士を目指すべきか悩んでいます。
長文になりますが、よろしくお願いします。

高校卒業後、フルタイム・週5勤務でアルバイトや契約社員を転々としてきました。だらだらとそんな生活をしていたこと、職歴が酷過ぎるも猛省しています。ちなみに、現職は勤続4年ですが、接客業に携わっており、会計とは全く関係ありません。

そのため、日商簿記2級に合格して、未経験歓迎としている会計事務所や税理士法人に求人を申し込んでも、悉く門前払いされました。書類選考すら通りません。当たり前ですよね。

昨年、日商簿記2級に合格、1級は60点で不合格でした。次の11月に1級リベンジを果たしたいと思っています。

自分としては、来年の税理士試験に挑みたいと考えています。しかし、職歴に傷があるなか、仮に今後うまく頑張って科目合格し続けても、税理士法人に採用してもらえるか不安です。

ちなみに、勉強に専念できるだけの経済的余裕は全くありません。働いていないと生きていけません。

そのため、自分はこれからどうすれば良いか悩んでいます。

Q.1
正直言って、就職で税理士法人や会計事務所に相手にされる訳ないので、自己満足で日商簿記1級に合格した後、会計の資格勉強から撤退した方が良いでしょうか。

Q.2
今後、税理士試験に挑むとしたら、私のような職歴の場合、何歳までに何科目合格したあとに転職すべきでしょうか。
パートでも正社員でも構いません。
また、何歳までに合格できなければ、完全撤退すべきでしょうか。

A.1

S.S様は、自分の会計業界における価値は何だと思われますか。
自分の人生(キャリア)の棚卸から始めませんか。

日商簿記1級の知識は、税理士法人や会計事務所ではあまり必要とされません。
簿記2級に加えて、原価計算等が入ってくるのでメーカーの経理等では評価されますが、逆に、簿記1級を持っていてもメーカー経理では採用されないでしょう(基本は新卒で採用された人の中から適性を見て配属されます)。

会計事務所では通常、簿記2~3級の知識で足ります。簿記1級よりは消費税や法人税の基礎知識の方がはるかに重要です。

S.S様のように高卒の方の場合、簿記1級は税理士試験の受験資格としての価値はあります(受験資格には「会計事務所経験 2年」という方法もあります)

ところで、書類選考すら通らない税理士法人とはどのようなところなのでしょうか。業界紙やインターネットで求人しているような かっこいい・人気のある税理士法人が多くはないでしょうか。
そういう税理士法人は人気も高く、応募してくれる方も非常に多くなっています。そうするといわゆるスペックのいい方しか書類審査は通らないかもしれません。

そうした場合の対処法は、少し古い記事ですが
あきらめずに会計事務所に就職する方法
を参考にしてください。
S.S様の場合なら

① ホームページやハローワークで近くの求人している事務所を探す。
②パート・アルバイトで会計事務所にもぐりこむ
③テレアポ作戦

がその順でおすすめでしょう。

・年齢が高い科目合格者
・若干若い簿記2級合格者
の比較では パート、アルバイトなら後者の方が採用されやすいでしょう。

実は、科目合格は多くの会計事務所の経営者にとってはそれほど重要ではありません。

未経験でどこか小さな会計事務所にでもパート・アルバイトで入所できれば、数年後には会計事務所経験者として税理士法人に正社員として転職することも可能でしょう。

A.2
結論から言うと、SS様の場合、一刻も早く転職活動をすべきだと私は思います。
簿記1級を取ってから税理士試験を受け科目合格後となると順調でも転職活動は来年の年末になります。どこかでつまずくと より先が見えなくなります。

S.S様は、おそらく、今までの人生について

会計とは全く関係ない仕事をしてきて
「未経験歓迎」としている会計事務所や税理士法人に求人を申し込んでも、悉く門前払いされ、書類選考すら通らないのが当たり前だと思っておられますよね。

過去を変えることは、誰もできません。
実は、30歳前後で、悔いがなく生きていると言い切れる人はあまりいません。
今から先をどうやって変えていくかが求められているのです。

ところでキャリアの棚卸はいかがですか。

①高校卒業後、ずっとフルタイム・週5勤務で働き続けてきた(健康は問題がない)

②接客経験が4年ある(接客がしたくない・苦手意識がある受験生も多い中、接客の経験は貴重だ)

③働きながら勉強する意識も強い(すぐ辞められる心配も少ない)

④独学・初学?で簿記2級に合格し、70点で合格の簿記1級も60点取れて、リベンジに燃えている(独学の努力を惜しまず続けられそう)

⑤パートでも正社員でも構わない(パートから採用して良さそうなら正社員にすればいい。柔軟な雇用ができるのは助かる)

( )内は、会計事務所経営者の心の声だと思ってください。

それでも選ばれないとしたら希望する事務所とのミスマッチが起きているのか、書類でその辺のアピールが上手くいってないのかもしれませんね。

何歳までに合格できなければ完全撤退すべきかを迷うようなら転職しない方が良いのかもしれません。

税理士試験はあきらめない人だけが合格する試験です。

ただ、会計事務所業界は、士業の中では無資格者の処遇が普通な珍しい業界なのも事実です
(税理士事務所では、そもそも受験しないスタッフも男女を問わず多くおられます)

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

この記事へのコメント

税理士法人TOTAL 高橋様

お世話になっております。

お忙しい中、私の質問に答えていただきまして、ありがとうございました。

私自身が卑屈になっており、自分の人生を振り返ってみても、会計業界における自身の強みが分からずにいました。どうせ、自分は必要とされていないと考えていました。

高橋様のアドバイスの内容を参考に、自分が今後どうするかを決めていきたいと思います。まずは、パートでも関係なく、地元の会計事務所を探してみます。

道のりは長いですが、最後まで諦めずに、5科目最終
合格を勝ち取ります。

貴重なアドバイスを、ありがとうございました。

S.S

2021年11月8日 12:38 PM | S.S

S.S様

この後も大変なことも多いと思います。
税理士事務所への転職や税理士試験の合格を祈念いたします。

2021年11月9日 5:44 AM | 税理士 高橋寿克

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