キャリアコラム
行政書士の転職・就職活動に転職サイトやエージェントを活用すべきか?最適なキャリア戦略とは

行政書士の就職・転職市場の「リアル」
行政書士資格を取得し、いざ就職・転職活動を始めようとした時、「行政書士の求人ってどこで探すんだろう?」「他の士業のようにエージェントに頼るべき?」と悩む方は少なくありません。まず、他の士業(税理士、司法書士、社会保険労務士など)と比較した、行政書士の転職市場の「リアル」を理解することが、適切な戦略を立てる第一歩となります。
求人数の少なさと「買い手市場」
行政書士事務所の多くは、所長(行政書士)一人、または家族経営や少人数の補助者で運営されている個人事務所です。そのため、「行政書士資格者を専門職として雇用する」という求人自体が、他の士業と比べて圧倒的に少ないのが現状です。
求人が少ない一方で、行政書士資格の保有者は年々増加傾向にあります。これは、求職者側が厳しい選択を迫られる「買い手市場」であることを意味します。特に「未経験」「特定の専門分野の経験なし」といった場合、大手転職サイトや一般の求人広告で希望に合致する案件を見つけるのは困難といえます。
求人の「質」と「種類」の偏り
行政書士の求人は、その多くが以下の2種類に大別されます。
- 特定分野に特化した事務所の「専門職」求人: 例:入管業務(外国人関連)、建設業許認可、相続・遺言専門など。専門性が高いため、未経験者は採用されにくい傾向があります。
- 一般企業における「法律知識を活かせる」求人(インハウス): 例:企業の総務・法務部門、コンプライアンス関連部署。この場合、「行政書士」として登録(行政書士会入会)することはできませんが、資格取得で得た知識が歓迎されます。
転職サイト・エージェントの活用は「マストではないが、有効な手段」
結論から言うと、行政書士の就職・転職活動において、転職サイトやエージェントは必須ではありません。しかし、適切なものを賢く選んで活用すれば、非常に有効な手段となり得ます。
一般的な転職サイト・エージェントのメリットと限界
メリット
- 広い選択肢:一般企業の法務・総務部門など、「行政書士資格を歓迎する」インハウス求人を見つけやすい。
- 非公開求人:大手企業や優良企業の管理部門の非公開求人にアクセスできる可能性がある。
- 市場の把握:自身の市場価値や、他の職種・業界の給与水準を把握するのに役立つ。
限界
- 行政書士専門求人の少なさ:「行政書士事務所での専門職」の求人は非常に少ない。
- 担当者の専門性: 担当者が行政書士業界や業務内容に詳しくなく、適切なアドバイスを得られない場合がある。
「士業特化型」エージェントの活用メリット
行政書士の求職者が最も活用を検討すべきなのが、士業・管理部門に特化した転職エージェントです。
- 専門性の高い求人:一般には公開されない行政書士事務所や、複数の士業を抱える合同事務所などの求人情報を持っていることが多い。
- 市場への深い理解:エージェントが行政書士業界の動向、各事務所の専門分野、所長の志向性などを理解しており、ミスマッチの少ない提案が期待できる。
- 面接対策:事務所ごとの特性を踏まえた面接対策や、未経験者のアピールポイントについて具体的なアドバイスをもらえる。
特に、「行政書士事務所で実務経験を積みたい」「将来的な独立を見据えて、特定の専門分野を深めたい」と考えている方にとっては、士業特化型エージェントの活用は大きな武器となります。
転職サイト・エージェントと並行して取るべき「王道」戦略
行政書士の就職活動は、サイトやエージェントへの登録だけで終わらせるべきではありません。むしろ、能動的に動くことで道が拓ける資格と言えます。
行政書士会・業界団体の活用
最も確実で信頼性の高い情報源の一つは、各地域・分野の行政書士会や業界団体です。
- 求人情報の掲示:行政書士会によっては、会員事務所からの求人情報を掲示している場合があります。
- 研修会・交流会への参加:実務研修や交流会に積極的に参加することで、実際に人を募集している所長と知り合い、直接交渉できる可能性があります。行政書士の採用は、多くが「人からの紹介」や「コネクション」で行われているのが実態です。
専門分野の深耕とブランディング
求人を探す前に、自分が「何をしたい行政書士なのか」を明確にすることが重要です。
- 専門分野の決定:「何でもやります」ではなく、「私は入管業務で外国人のサポートをしたい」「建設業の許認可に特化したい」など、熱意を持って取り組みたい分野を一つ決めましょう。
- 経験の補完:未経験であっても、その分野に関する法律書籍を読み込む、関連セミナーに参加する、ブログなどで情報発信するなど、「熱意と学習意欲」を示すことで、未経験のハンデをカバーできる場合があります。
補助者としてのキャリアスタートも視野に
行政書士資格は持っているが、まずは実務に触れたいという方は、行政書士補助者としてのキャリアスタートも有力な選択肢です。補助者として働くことで、事務所の雰囲気、業務の流れ、所長の考え方などを肌で感じることができます。数年後に改めて「行政書士」として登録する際に、大きな財産となる実務経験を積むことが可能です。
まとめ:行政書士の活動は「情報収集」と「主体性」が鍵
行政書士の就職・転職活動は、一般的なビジネスパーソンのそれとは異なります。
- 士業特化型エージェントを活用して、専門的な求人情報を得つつ、
- 行政書士会や業界団体の情報を活用し、
- 自身でキャリアの専門分野を決め、能動的に行動する(人脈作り、研修参加)
この三段構えで活動を進めるのが、行政書士として成功するための最短ルートと言えるでしょう。
転職サイトやエージェントは、あくまで「情報収集とチャンスを広げるツール」の一つに過ぎません。最終的に採用を勝ち取るのは、あなたの「この事務所で、この分野の専門家として貢献したい」という強い主体性と熱意なのです。
行政書士法人TOTALではコミュニケーション能力を重視しており、未経験の方も積極的に採用しています。行政書士業務に関する専門的な知識が無くても、経験豊富なスタッフによるOJTと豊富な案件数により、専門スキルを身に付けることが出来ます。
不安を希望に変え、行政書士としての新たな一歩を踏み出しましょう。
行政書士事務所で働くことに興味や関心がある方はこちらの採用情報もぜひご覧ください。
皆様のご応募をお待ちしております。
執筆者
行政書士法人TOTAL
徳地 悠一
行政書士。中央大学卒業。
特に医療法人の設立・届出に精通。多様なニーズに応えるべく、きめの細かく満足度の高い技術・専門サービスを目指す。
学生時代に鍛えた体(箱根駅伝に3度出場)で、フットワーク軽く業務に当たる。