キャリアコラム
年収の上がりやすさから考える社労士事務所選びのポイント
〜「スキルを活かしたい人」も「これから成長したい人」もまずはここから〜

転職や就職活動の中で、「どういう基準で事務所を選べばよいか?」は非常に悩ましい問題です。仕事内容、職場の雰囲気、将来性など色々な判断軸がある中で、今回は「年収の上がりやすさ」という視点から事務所選びの私見をお伝えしていきます。
「専門性を活かしてキャリアアップを狙いたい」方にも、「未経験・スキルに自信がないけれどこれから頑張りたい」方にも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
年収が上がりやすい職種・ポジションがあるか?
社労士事務所で勤務する場合、年収の伸びには明確な構造があります。ここでは主に2つの軸をご紹介します。
専門性の高い職種があるか?
年収が上がりやすい要因の一つは「希少性・専門性のある仕事に携われるか」です。医療法人や大規模法人を対象とした労務管理など、難易度や業務量の大きい分野では、自然と報酬水準も上がる傾向があります。
ただし注意点として、たとえば中堅〜大手企業の給与計算のうち、平常運用フェーズのルーチンワークは業務が固定化されやすく、年収の上昇は頭打ちになりがちです。一方で導入フェーズや設計工程に関わることができれば、スキルも付き、報酬も上がりやすくなります。
社員社労士になれるか?
社員社労士とは、株式会社でいうところの役員にあたるポジションです。部門や支店の責任者として業務を統括する立場となるため、相対的に年収も高くなります。
こうしたポジションを目指せるかを見極めるポイントは、「新規出店があるかどうか」です。新たに支店を出す場合、責任者である社員社労士が必要になるため、その分ポストが生まれます。面接時には出店計画や過去の出店実績について聞いてみるのもおすすめです。
評価制度が整備されているか?
評価制度が整備されていることは、年収が上がっていくスピードを左右する重要な要素です。
「がんばっているのに評価されない」「何をしたら昇給につながるのか分からない」という状態は、本人にとっても事務所にとっても不幸です。評価制度があることで、「どのようなスキルや行動が評価されるか」が明確になり、努力の方向性も定まります。
理想を言えば、評価項目が数値で表現できるような形になっていると、より納得感のある評価と昇給が実現します。
ここまで読んで少し不安に思った方へ
「評価制度があるってことは、ちゃんとできないと厳しいんじゃないか…?」
「専門性のある仕事って、自分にはまだ無理かも…」
そんなふうに感じた方もいるかもしれません。ですが、どうぞご安心ください。
TOTALもですが、いくつかの社労士法人では、未経験からの育成体制や段階的な成長モデルを整えています。評価制度は“厳しく選別する”ための仕組みではなく、むしろ「何をすれば評価されるか」=成長の地図です。
今はまだ専門知識や経験がなくても、意欲と継続力があれば、しっかり年収アップ・キャリアアップを目指すことができます。
未経験者の受け入れ態勢があるか?
上記の流れから続きますが、未経験者でも受け入れ可能かどうかというのが、実は年収アップのためのポイントにもなってきます。
年収を上げやすいポジションとして、「教育」というポジションがあります。未経験者を受け入れている事務所の場合、この「教育」も評価の対象となりますので、年収を上げていきやすくなります。
また、未経験で入る方にとっても、経験を積んで年収を上げていくためのキャリアプランが敷かれているので望ましいですよね。
未経験者を受け入れ可能かどうかの判断軸として、会社の規模もチェックしてみてください。会社規模が一定程度以上あると、教育も整い、未経験者を受け入れやすくなってきます。そして会社規模が一定程度以上あると、教育やバックオフィスを効率的に運用でき経営の面では有利になりやすいので、給与にしっかり還元される傾向があります。特に30名以上の会社だとこの傾向が強まるようです。
まとめ:事務所選びで見るべき年収の構造
まとめると、年収の上がりやすさという観点から社労士事務所を選ぶ際には、以下のようなポイントが重要になると思います:
- 新規出店があるか?(社員社労士のポストが生まれる)
- 専門性の高い仕事があるか?(希少性=報酬アップ)
- 評価方法が数値で見える形になっているか?
- 未経験で入社している人がいるか?
- 規模感がどうか?(教育・運営の効率化)
「できる人」も「これからの人」も、安心して成長できる環境を
社労士として年収を上げていくには、適切な評価制度と環境が必要です。
同時に、どんなに能力があっても、評価される仕組みがなければ報われませんし、どんなに未経験でも、評価制度と育成体制があれば成長できます。
「もっとスキルを活かして上を目指したい」方も、
「今はまだ不安だけど、これからしっかり学んでいきたい」方も、
自分に合った事務所を選ぶことで、キャリアと年収は確実に変わります。
社労士事務所で働くことに興味のある方はこちらの採用情報もぜひご覧ください。
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執筆者
社会保険労務士法人TOTAL
河瀬 務
特定社会保険労務士・税理士・相続アドバイザー。
大阪出身。智弁学園和歌山高校卒業、東京大学法学部中退。
会計事務所勤務後に平成30年税理士法人TOTAL入社、翌31年同社大阪事務所所長となる。