税理士事務所と企業経理

2017年12月03日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「税理士事務所と企業経理」

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カワハラ様からのお問合せです。
■年齢 今年度中に24歳
■性別 男性
■資格 今年11月に日商簿記2,3級受験
■職歴 なし
■学歴 MARCH
■会計事務所経験 なし
■居住地 地方在住
こんちには。税理士・会計事務所で働くことを志望している者です。

 

私は大学在学中から社会に出てどのように働くか具体的な目標やイメージを持つことができず、何をすればいいのかわからないまま就活もほとんど行わずに卒業し、卒業後も1年近くは働かずに何もしない日々が続いていました。
今年の初めから事務職志望者を対象とした職業訓練に通うことになり、その際に簿記の勉強を進めること、また企業内の経理事務だけではなく税理士・会計事務所で働くことも選択肢の一つであるとアドバイスを受けました。
今年の夏に訓練が終わり、簿記の学習を進めて11月19日に日商簿記2級と3級を受験して今に至ります。

 

簿記試験の手応えも良好で、税理士・会計事務所を有力な選択肢として位置付けて求人を探そうと考えているのですが、社会人としての経験もなく、この業界についてもお話を伺いたいと考えて質問を送ることにいたしました。

 

Q.1
企業内の経理担当と比較して、税理士・会計事務所の業務の特徴は何かあるのでしょうか。

 

Q.2
税理士科目合格者は税理士事務所・法人に採用されやすく、入社後も早い段階で難しい業務を任されることで早く成長できると認識しているのですが、税理士志望でなくても科目合格で優遇されることを目的として税理士試験を受ける方はかなり少数派なのでしょうか。

 

Q.3
この業界で働き、成長していく上で持っておくべき心構えや(自主的なことも含めて)行うのが良い思われることはあるのでしょうか。先生が今まで大切になさってきたこと、この業界で大きく成長した方がどのように行動されていたか等の視点から伺いたいです。

 

A.1

前提としての採用のされ方ですが、

・中小企業の経理

企業は、本音でいうと女性を募集していることが多く、男性は採用されにくいです。もっとも昨今の人手不足で多少緩んでいるかもしれません。

 

・上場関連企業

新卒を中心とした一括採用のため、中途の専門職以外は職種別採用する企業はほぼありません。適性や人事の事情で配属されるのが一般的です。簿記2級程度では経理には配属にはならない可能性が高いと思ってください。

 

・外資系企業の経理

未経験者を経理としては採用しません。

 

・会計事務所

中小企業の社長と話す上で挫折経験がプラス評価のため、第2新卒、フリーターやニート経験者にも比較的優しい業界です。もちろん専門職採用です。

このため、カワハラさんに職業訓練校は、現実的な選択として会計事務所を勧めたのでしょう。

 

(1)企業内の経理担当

社内のバックオフィス業務です。

社内のルールに従って

中小企業なら社長と、中堅企業以上なら社内の他セクションの人々と

いかにうまく人間関係が築けるかが重要になります。

求められるスキルは、中小企業と上場企業ではまるで異なります。

上場関連になると、会計基準の厳格な適用が必要です。

社外とはあまり関係がありません。

①中小経理は、会社のルールが標準化されていないため、30代後半以降は徐々に転職が難しくなります。

②上場関連企業や外資系企業の経理で育てば、経理基準がしっかりしているので転職は容易です。

 

 

(2)税理士・会計事務所の業務

専門職であり、法人に対するルート営業に近い側面があります。

お客様は(社外の)社長であることが多く、幸いにしてお客様の方が一担当者を「先生」と呼ぶなど気を使ってくれます。ノルマは通常ありません。

零細税理士事務所は担当制で一人で仕事を完結するため、所長以外の社内の人間関係をあまり気にする必要がありません。他方、大規模税理士法人は分業制になっていることが多いです。

税理士は、中小企業のよろず相談相手です。税理士業務に必要とされる知識は、会計、税務、労務、法務、金融など幅広くなっています。最初のうちはつらいですが、年数がたつにつれて経験値・キャリアが積み上がります。このため、会計事務所経験者は、会計事務所でも中小企業経理でも重宝され、転職がしやすいのが特徴です。

 

一般的に言うと

かためにかっちり仕事がしたいまっすぐな人は「経理」
柔軟に、勉強しながら成長したい人は「税理士事務所」

の方が向いているような気がします。

 

もっとも

「経理」も管理職は、柔軟性が求められますし、

「税理士事務所」もバックの作業担当者は、かための人が向いています。

 

 

A.2

税理士を目指していなくても、会計事務所の仕事の役に立てようと税理士試験科目を勉強している人はいます。少数派ではありません。税理士事務所で働くなら、男性や若い女性は、まずは税理士試験の勉強がおすすめです。

税理士試験は、税理士業務を行う資格があるか、国家が判定するための試験です。税理士試験の勉強を通じて効率的、体系的に仕事を覚えることができます。

また、会計事務所経験者で税理士試験科目合格者なら転職活動の際に有利なので保険の意味で勉強している方もいます。

 

A.3

まず自主的にやるべきことは税理士試験の勉強です。仕事ができなければスタートに立てません。それを前提にすると…

 

 

ビジネスの基本は、

(1)お客様の役に立つことです。

中小企業は苦しい環境の中、日々戦っています。

お客様のために頑張ろうと思い続ける必要があります。

 

 

大きく成長できるかどうかは、

(2)本気で大きく成長しようと思い続ける強い意志

があるかどうかが一番重要になります。

 

実は、士業事務所を目指す人は必ずしも大きく成長しようと思っていません。

『資格で楽をして飯を食えればいい。(一人)ぼっち事務所は楽でいい』

と思っている人の方が多いのです。

 

税理士事務所で大きく成長するのは大変です。かなりの困難をともないます。

ついてこられない人が辞めて嫌になったり、それが続いて心身ともに疲れて体を壊したり、中には家庭を壊す人もいます。成長を続けている間はあまり儲かりません(成長をやめると意外と簡単に儲かります)。

会計業界で大きく成長している方は、困難が長い間続いても、それでも大きく成長しようと思い続け、やりきる、やらせきるだけの強さを持った方です。

 

TOTALグループの企業理念は

あなたと共に成長したい

です。

「あなた」とは、お客様 と TOTALのスタッフです。

 

『サービス業として産業化して日本一の総合士業事務所になる』のがTOTALのミッションです。

企業は、たくさんのスタッフと一緒でないと大きな成長をすることはできません。

経営者である私は、スタッフ一人一人の今後30年間の幸せを考え、

『最大多数の最大幸福』を実現すべく、

自分の至らなさを実感しつつも日々努力を続けています。

 

 

 

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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