BIG4税理士法人で働くということ

2019年07月28日高橋

税理士事務所就職相談室の税理士 高橋寿克です。

 

「BIG4税理士法人で働くということ」

 

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TRO様からのご質問です。

■年齢 36歳
■性別 男性
■資格 簿記論、財務諸表論、消費税
→同時並行で大学院により院免除
■職歴
メーカー2年 (技術系)
専念
中小税理士法人2年
ビッグ4に5年
■学歴
マーチ法学部卒
マーチ院卒
■会計事務所経験 7年
■居住地 首都圏
■その他(特殊事情等)
【経歴】
新卒で大手メーカーに採用、海外赴任経験あり。だが会社経営難により退職。25歳
その後司法試験を受けるも合格が遠いことから税理士試験に切り替え。27歳
切り替えと同時に大学院も合格。簿財消を2年で取得し、大学院を卒業し、税理士に。29歳
2年弱中堅の税理士法人で働いたが、幅の広さと深さからビック4へ転職。31歳

5年程頑張ってみたものの、法人税と所得税の知識の浅さと激務からビッグ4の中でついていくことに苦しさを覚える。

【税理士志望動機】
悩み事を共に解決し、人に会社に寄り添っていく人になりたいとかんがえたから。
また専門家として活躍できるフィールドに魅力を感じたから。

【背景】
大手税理士法人で生きて行くために私生活を全て捨てて望まなければならないのを見て苦しくなっています。

税理士取得を主眼に置いたため、試験勉強はそこそこであり、法人、所得がビッグ4レベルにいないと自覚しています。

【家庭】
30で結婚、31で子供1人目誕生、32で家を買い、34で2人目誕生。
共稼ぎ

 

Q.
辞めるか悩んでいます。待遇はいいのですが、激務であり非常に苦しいです。
当初開業を視野に入れていたものの、ビッグ4で実力が足りないことを痛感していることと、小規模事務所に勤めたことがないため、開業に二の足を踏んでいます。
このまま苦しくとも我慢してビッグ4にしがみつき、マネージャーレベルに到達してから開業が良いのか、小規模事務所に移り、広い経験を積んでから移るべきなのか、どのように考えられるかご教示いただけませんでしょうか。
激務が苦しいため、待遇面から事業会社へ転職も検討しています

 

A.

以前は、BIG4税理士法人の採用基準は、

(1)税理士・有資格者又は法人税を含む3科目合格以上

(2)学歴はMARCH卒以上(できれば早慶が望ましい)

(3)年齢は20代まで(零細会計事務所経験はあまり評価しない)

でした。

最近では、社会全体、そしてそれ以上に税理士業界の人不足もあり

BIG4税理士法人といえども採用基準はだいぶ下がっています。

 

 

現状は

(1)税理士・有資格者又は科目合格者(1~2科目もOK)

(2)学歴は日東駒専以上(できればMARCH卒以上が望ましい)

それ以下でも科目が進んでいたり経験が厚ければOK

(3)年齢は30代まで(零細会計事務所経験も評価する)

といったところのようです。

 

BIG4は、待遇面では非常に恵まれており、

中小税理士法人の1.5倍~2倍近い給料になります。

若くして税理士になり、処理能力も高い人には恵まれた環境かもしれません。

ただ、昔からBIG4は激務で有名です。

電通の新入社員の労災事件が起きたときに とあるBIG4税理士法人の産業医の方が、

「電通は甘いよ。うちの方が厳しい」

と言っているのを聞いたことがあります。

繁忙期は、終電、タクシーも当たり前のように行われていた(いる?)ようです。

また、採用基準が下がったからと言って、クライアントに求められる基準が下がったわけではありません。結果を出すための努力は同じように要求されます。

疲れすぎて目的と手段が混同されているように感じますが、残念ながら私生活を仕事に全て捧げては、共稼ぎで子育てをしていくことは難しいでしょう。

奥様が同じBIG4勤務で理解があるというのでなければ不満がたまって離婚危機になったり、子供の成長を見られずに何のために生きているのかわからなくなったりするかもしれません。
TRO様の処理能力が大幅に向上しない限り、BIG4はいずれお辞めになることになるように思います。

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税理士法人TOTALの出身者のBIG4で働いている方に

今年、久しぶりにお会いしました。

やはり激務らしく

「給料が半分になっても、労働時間を3割減らしたい」
と言っておられました。

いつか税理士法人TOTALに戻ってきてくれないかなあ

うちは『出戻り』が多いです。

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そもそもBIG4は税理士の開業には向きません。縦割りで狭い範囲を極める形ですし、業務範囲も通常の中小企業にはあまり縁がない国際税務等が多くなります。

BIG4でマネージャーになるまで待つ意味はあまり感じません。
BIG4は、激務でも安定した地位と高い給与を求める昔の大企業に近い形態と言っていいでしょう。

 

小規模税理士事務所は、入ってみないと内容がわかりません。

そもそも給与は安いでしょう。住宅ローンの返済や子育て費用を考えると長居はできません。

広い経験を効率的に短期間で積めるほど、教育や仕組みが整っている小規模事務所は少ないでしょう。

 

中堅の税理士法人は、ある程度教育や管理について整っていますが、事務所の大きさが足りない分、一人の職掌の幅が広いし、担当制だと一定の仕事の深さ・責任も求められることが多いでしょう。

通常の従業員教育では一人前の「専門家」になるには3年や5年の月日はかかるものです。最初のうちは自分の至らなさに耐えきれなくなったりして転職する人も多いでしょう。

 

事業会社は、会計業界に比べれば働き方改革が進み、残業時間は減って労働条件・待遇面はだいぶ良くなってきています。

ただ、TRO様自身も経験しているように、事業会社は経営難に陥ると従業員レベルでは転職以外には手がありません。

海外旅行に行くと感じられると思いますが、日本のメーカーは電機だけでなく頼みの綱の自動車も以前に比べると急速に海外で通用しなくなってきています。

事業会社に転職する際は会社選びが何よりも重要になります。

また、事業会社の経理・財務は専門家・プロフェッショナルではなく地味な裏方の専門職という位置づけで、範囲がせまく仕事も飽きやすいでしょう。
このため税理士法人を一度経験した後に事業会社に転職しても、ふたたび税理士法人に出戻る人も多いようです。

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税理士法人TOTALでも、経営不振の上場企業の経理から転職してきた方がいます。
また、会計業界を離れて一度企業経理になり楽だし給料も悪くないのに、やりがいが見いだせずに税理士業界に戻ってきた方はそれなりの数がいます。

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うーん、難しいですね。

日本全体の経済力が世界の中で相対的に落ちてきており、以前のように決まったわかりやすい正解はないように思います。

高齢化社会で、夫婦そろって長く働くことが求められます。その間には色々な問題が起きるかもしれません。

そのとき後悔をしないために、

1.本当に自分がしたいことは何なのか?

・独立開業したいのか

・専門家として尊敬されたいのか

・お客様に寄り添って悩み事を共に解決していきたいのか

2.本当に譲れない条件は何なのか?

・手元資金とローンの返済を考えた時、どのくらいの年収が必要なのか

・子育てや夫婦関係の維持をしていく上でどれくらいまでの労働時間が許されるのか

これらを自分自身にじっくりと問いかけて、

優先順位をつけてそれに向いている仕事を選択すべきだと思います。

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・専門化として、やりがいがある楽しい仕事

・給与も労働条件も上場事業会社並み

この両立に対する答えは、
私は士業を「産業化」して事業会社並みに生産性をあげることだと思っています。

TOTALグループはいつかその課題にこたえられる存在になりたいと思っています。

 

士業は本来、やりがいがあり、お客様にも感謝されるし、経験の蓄積がものをいう高齢化社会に向いている素晴らしい仕事なのです。

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この記事の執筆者

高橋 寿克

税理士法人TOTAL 代表社員税理士 高橋 寿克

千葉県船橋市生まれ。農家の12代目。税理士・行政書士・CFP®・医業経営コンサルタント。
開成高校、早稲田大学政治経済学部卒。
1999年 高橋寿克税理士事務所を開設。現在は全国16拠点に拡大したTOTAL Groupの代表として、税理士法人をはじめ、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を擁する。
徹底した業務の標準化やクラウドシステム(マネーフォワード、freee)活用で業務効率化を推進。「あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい」を理念に日本一の総合士業事務所を目指している。

TOTALグループでは一年を通して採用活動を行っています

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